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HIGASHI TOKIO RIOT PART10

事実を事実のまま 完全に再現することは
いかにおもしろおかしい
架空の物語を生み出すよりも
はるかに困難である
(アーネスト・ヘミングウェイ)

これは事実談であり……この男(MUNE)は実在するッ!!


紙芝居のおじさんを尾行しましたね

MUNE 小学校のときは外でも遊んでましたね。ひたすらチャリンコで近所を流して。
―ウロウロして(笑)。
MUNE 駄菓子屋まわったりとか。
―その当時はけっこう駄菓子屋があったんですか?
MUNE ありましたよ。紙芝居もありましたし。
―紙芝居見たことないんですよ。
MUNE 東京でももう少なくなってたと思うんですよ。演目は「黄金バット」なんですけど。
―うわー!
MUNE その黄金バットの紙芝居の中にクイズがあるんですよ。そのクイズに答えられた人は20円券とかもらえて。
―見るのは無料なんですか?
MUNE 見るのは無料だった気がするなあ。で、紙芝居が終わった後は、並んで好きなお菓子を買ってくみたいな感じで。亀とかスーパーボールをすくうモナカみたいなの(※1)にグラニュー糖をつけてソースかけて、「はい、シュガー10」とかいって、10円でただの砂糖売ってて(笑)。で、梅ジャムちょっとペロッと乗せて「梅ジャム20」って、それは20円なんですよ。
―ちょっと高くないですか(笑)。
MUNE それが高いのかどうかも分かんなくて(笑)。そのシュガーに水あめを差したのがあって、それは3、40円したかな。そのソースを付けながら食うのがめちゃめちゃうまくて。砂糖とソースって不味そうじゃないですか。でもこれがめちゃくちゃうまかったんですよ。忘れらんない、あの味(笑)。
―わははははは!
MUNE あと、へんな謎のジュース。焼肉のたれを入れるような容れ物にピンク色の液体が入ってて、飲んでみると缶のジュースではない味なんですよ。へんな味のジュース(笑)。みんな飲んでましたよ。
―これも2、30円ですか?
MUNE や、これはもうちょっと高かったですね。あと、クルクルパーっていう、モナカに全部のせみたいなのがありましたね。ひどい名前ですよね、クルクルパーって(笑)。

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―クルクルパー(笑)。
MUNE あと焼きそばもあったな。焼きそばがタッパーに作ってあって。もちろん冷えた焼きそばなんですけど。
―自家製の焼きそばなんですか?
MUNE 自家製なんですよ。具もなんか少ない感じで。それをモナカの上に載せて、「はい20円」とかやってて、それがまたうまかったんですよね。
―基本的にモナカが皿代わりなんですね。
MUNE 合理的な食べられる皿なんですよ。小学校の時って、学校に食べ物とかお菓子を持ち込んじゃいけないじゃないですか。けどこっそり持ち込んで、こっそり食べるとめちゃくちゃうまかったりして。
―かくれてうまい棒食べたりとか。
MUNE そうそうそう。あと給食で出たチーズとかそういうのを残しといて、5時間目終わりとかに食うとめちゃくちゃうまいじゃないですか。
―あはははは!
MUNE その感じだと思うんですよ。環境が味をうまく感じさせてるみたいな。
―40年くらい経っても憶えてるっていうのは、かなりうまかったんですよ。
MUNE うまかったんですよ(笑)。で、姉ちゃんとふたりで、(紙芝居の)おじさんがどこに住んでるのか突き止めようってなって、こっそり追っかけたことがあったんですよ。
―尾行ですね(笑)。
MUNE どこ住んでんだろうって気になっちゃって。で、ふたりで追いかけてったら、家までついて行ったところで「だめだよ、来ちゃ」って振り向かれて。トタンのバラックみたいなところに住んでたんですよ。「ちょっと待っててな」っていって、市販のソフトサラダみたいなやつを持ってきて「これあげるからはやく帰りな」って。それがすげーがっかりした憶えがありますね。俺は紙芝居のお菓子が好きなのに、市販のお菓子が食べたくてついて来たんじゃないんだよって。グラニュー糖のせられて「はい」ってやられた方がうれしかったのに。「それじゃないんだよ」って(笑)。
―それからも紙芝居のおじさんとは交流あったんですか。
MUNE それで若干冷めた部分もあって。そしたらいつの間にかいなくなっちゃいましたね。俺が中学の時にはもういなかったです。貴重な経験をさせてもらいましたね。

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寅さんみたいなおじさんがあやしいものを売ってましたよ

MUNE 小学校の前でなにか売ってるとかありました?
―私の小学校ではなかったですね。
MUNE うちはそういうのが結構あって。校門から出て行くとそこで飴細工とかやってるから、もうみんな集まっちゃって。
―あはははは!
MUNE みんなお金持ってないんで、ランドセル置いて、お金握りしめてまたやって来るんですよ。飴細工はだいたい200円から動物を作ってくれるんですね。100円上がるごとにいい動物になっていって。700円ぐらい出すと恐竜とか作ってくれるんですよ。
―うわー。
MUNE でも100円だと、丸めた飴を棒の先につけてぷーっとふくらませた風船なんですよ(笑)。
―ずいぶん手抜きじゃないですか(笑)。
MUNE そうそうそう。みんな風船持ってましたよ(笑)。今じゃ考えられないですよ、おっちゃんがきたない手でごちゃごちゃ飴をこねて恐竜作って。それをペロペロなめるんですから。失われた職業ですよ(笑)。
―わはははは!
MUNE あと、なんかオバQとかの顔が書いてある筒みたいなのを下からマグネットで動かすやつ。それでコントをやるんですよ。その登場人物セット、たとえばドラえもんだったら、ドラえもん・のび太・ジャイアン・スネ夫・しずかちゃんのセットにマグネットが付いて500円みたいな。そんなめちゃくちゃあやしいのも来てましたね。
―あやしいですね。
MUNE まあ寅さんみたいなもんですかね。マグネットと飴細工は年に1回は来てました。あれは巡業してるんでしょうね。2日連続同じところでやったら、苦情来ますよ。お母さんがこども連れてきて「こんなのが500円ってありえないでしょ」って。
―そうなる前に姿を消すんですね(笑)。
MUNE そうそうそう。で、ほとぼりが冷めた頃にまた来るんですよ。いい時代ですよね。
―下町の風景だったんですかね。
MUNE そうじゃないですかね。それがまだギリ残ってたというか。
―そういう中を自転車でわーっと走り回ってた感じですか。
MUNE みんなで集まって「今日は何しようか、あいつん家行ってみるか」とかって。でも、「あいつん家襲撃しようぜ」のあいつは俺たちが襲撃することを知らないんで。
―あはははは!
MUNE 「遊ぼうよ、家入れてよ」とかって言うと「いま、じいちゃんと水戸黄門見てるんだよ」って。そこをどかどか上がっていくんです。だから嫌われてたと思いますよ(笑)。
―そうかもしれないですね(笑)。
MUNE 女の子が公園でゴムとびとかやってると、そこに乱入して、ゴム切ったりとかして。砂場でなんか作ってる子がいたら、わーって行って壊して帰るとか。ひどいですよ。野球やってたら「ちょっと一発だけ打たして」って打って帰るみたいな。
―あはははは! いましたいました。
MUNE いたでしょ。それ俺です。

<HIGASHI TOKIO RIOT PART11 につづく>


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【本文脚注】
亀とかスーパーボールをすくうモナカみたいなの(※1)

モナカポイ


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