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全然堂歳時記【夏】

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全然堂歳時記【夏】
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#夏の俳句

全然堂歳時記 夏 【素麺】

素麺の入りし桐箱平べつた ハードエッジ 素麺に願ひの糸の如き赤 ハードエッジ 素麺に繙くといふ事始 ハードエッジ 素麺の湯を沸かしつつ胡瓜揉み ハードエッジ 素麺を翻弄すべき湯の滾り ハードエッジ 煮え滾る湯に素麺を突き立てて ハードエッジ 素麺を冷やす蛇口の露まみれ ハードエッジ 素麺を茹で上げる水冷ます水 ハードエッジ 素麺の細く長くと流れ来る ハードエッジ 印度人も素麺すする暑さかな ハードエッジ 素麺の細さを伊太利亜人が言ふ ハードエッジ 素

全然堂歳時記 夏 【薄暑】16句

葉書俳句: テキスト: 旅に良し家居また良し薄暑かな ハードエッジ 白雲の夜空に遊ぶ薄暑かな ハードエッジ 通り雨薄暑疑ひなかりけり ハードエッジ そよ風に吹かれ薄暑の旅へかな ハードエッジ 信号を軽く抜けたる薄暑かな ハードエッジ 旅ゆけば薄暑の町のベーカリー ハードエッジ 薄暑なり銀座へ出れば画廊あり ハードエッジ 軽暖のオープンカフェに人を待つ ハードエッジ 見て楽し薄暑の街の人通り ハードエッジ 軽暖の街に薄暑の人通り ハードエッジ 高校生に薄暑の町の狭さか

全然堂歳時記 夏 【若葉】20句

葉書俳句: テキスト: 若葉とは日に透きとほる薄みどり ハードエッジ 青春の光と影と若葉風 ハードエッジ 若葉して光合成の出番なり ハードエッジ 若葉していよよ小枝のゆれ止まず ハードエッジ 鳥の餌のこれつぽつちよ朝若葉 ハードエッジ 週明けの駅前若葉まぶしけれ ハードエッジ 良き風と若葉の道を共にして ハードエッジ 若葉して早も摘まるる茶の木かな ハードエッジ 黒き枝も見えて若葉の木なりけり ハードエッジ 若葉して滝の飛沫を弾くなり ハードエッジ 若葉して水の音さへ

全然堂歳時記 夏 【豆飯】

初夏の青を散らして豆ごはん ハードエッジ このごろの夕餉明るし豆ごはん ハードエッジ 赤飯は祝ぎ豆飯は睦まじく ハードエッジ 翌朝の分も炊きたる豆ごはん ハードエッジ 豆ごはん豆のごはんと口々に ハードエッジ 豆めしを炊きたる母も嬉しさう ハードエッジ うす塩の仄かに甘し豆ごはん ハードエッジ 目に見えぬ塩の恩寵豆御飯 ハードエッジ 食べられる水玉模様豆御飯 ハードエッジ 豆飯の豆の二つに割れたるも ハードエッジ 豆飯の豆の芯まで緑色 ハードエッジ 豆飯の豆の偏る一処

全然堂歳時記 夏 【梅雨3】20句

葉書俳句: テキスト: 傘の骨ぐいと曲げたる梅雨入かな ハードエッジ 梅雨空のグラデーションの濃きところ ハードエッジ 梅雨の日々梅雨曇りなる日を挟み ハードエッジ 時差呆けのやうな雲行く梅雨の日々 ハードエッジ 水嵩を楽しむ梅雨の大河なり ハードエッジ 雨の字の中も雨ふり梅雨つづく ハードエッジ 蝶ひらり梅雨の影なき世界へと ハードエッジ 梅雨深し昼は灯らぬネオン塔 ハードエッジ 梅雨深く書類に印を点じたる ハードエッジ 教室やあかあか梅雨の灯を点し ハードエッジ

全然堂歳時記 夏 【紫陽花】

3ヶ月ぶりの全然堂歳時記です 紫陽花が朝日のごとく卓の上 ハードエッジ 紫陽花や目に見えねども低気圧 ハードエッジ 紫陽花は気圧の谷に咲くといふ ハードエッジ 明け方の霧の中なる濃紫陽花 ハードエッジ 舟が消え湖が消え濃紫陽花 ハードエッジ 紫陽花にこの曇天のいつまでも ハードエッジ 紫陽花や砂利敷き詰めて変電所 ハードエッジ 紫陽花や雨戸を叩く雨の音 ハードエッジ 水を得ていま紫陽花の濃紫 ハードエッジ 紫陽花も金魚の墓も雨の中 ハードエッジ 紫陽花やズボンの裾がびし

全然堂歳時記 夏 【螢】20句

葉書俳句: テキスト: 螢火は螢の闇の中にこそ ハードエッジ 螢来よ小学校は真の闇 ハードエッジ 冠に二つ火のある螢かな ハードエッジ 螢火の飛んで光の速さかな ハードエッジ 螢火を裸火とこそ言ひつべし ハードエッジ 雨に来て葉先に滲む螢かな ハードエッジ その中に燻る螢ありにけり ハードエッジ なれそめの十五十六螢の夜 ハードエッジ 戦にも恋にも果つる螢かな ハードエッジ 降り出して恋の螢の行方かな ハードエッジ ほうたるの余命を刻む点滅ぞ ハードエッジ 晩年の光尊

全然堂歳時記 夏 【雲の峰】

葉書俳句: テキスト: 日本の海の守護神雲の峰 ハードエッジ ふるさとに入道雲のある限り ハードエッジ 峰雲の中で働く神仏 ハードエッジ また一人行者降りくる雲の峰 ハードエッジ 善は白、正義は力、雲の峰 ハードエッジ 虹よりも雷に親しき雲の峰 ハードエッジ 峰雲や数多の雷を産み捨てて ハードエッジ 閻魔への供物の如し雲の峰 ハードエッジ 太陽の彼方に続く雲の峰 ハードエッジ 雲の峰見ゆるオープンカフェ香る ハードエッジ 白飯はカレーに埋もれ雲の峰 ハードエッジ ベ

全然堂歳時記 夏 【夏休】20句

葉書俳句: テキスト: 夏休み第一日目日の出前 ハードエッジ こんなにも早き日の出や夏休 ハードエッジ 朝顔と共に目覚めし夏休 ハードエッジ 夏休お代りをして褒めらるる ハードエッジ この赤き野球帽こそ夏休 ハードエッジ どこへ行くにも立ち漕ぎの夏休 ハードエッジ オキシフル&ヨードチンキの夏休 ハードエッジ 保健室も音楽室も夏休 ハードエッジ 美術館へ博物館へ夏休 ハードエッジ 週明けの後もずずいと夏休 ハードエッジ 夏休み父母も祖父母もみな若し ハードエッジ 「

全然堂歳時記 夏 【昼寝】20句

葉書俳句: テキスト: ふるさとに昼寝をせよと言はれけり ハードエッジ きこしめて旅の昼寝の楽しさよ ハードエッジ 人生の午後を楽しむ昼寝かな ハードエッジ 白桃を水に浮べて昼寝せり ハードエッジ 昼寝してわが再起動(リブート)を試みる ハードエッジ 吾輩と苦沙弥先生昼寝の図 ハードエッジ 座布団を腹に乗せたる昼寝かな ハードエッジ 魂を滝に打たせて大昼寝 ハードエッジ 汗かかぬ齢さびしや昼寝して ハードエッジ 母あらばその傍らに昼寝せん ハードエッジ うすぐらき蚊帳

全然堂歳時記 夏 【打水】20句

葉書俳句: テキスト: 打水を幾たび今日の暑さかな ハードエッジ 炎帝に敵はぬまでも水を打つ ハードエッジ せめてもの打水を打ち重ねたり ハードエッジ 石段の石のいきれに水を打つ ハードエッジ 打水に襷掛なる心意気 ハードエッジ 打水をけふは神輿の男らに ハードエッジ 蜻蛉も揚羽も来よと水を打つ ハードエッジ 打水に刹那の虹を賜りぬ ハードエッジ 打水の狙ひ定めし処かな ハードエッジ 打水を固き大地が吸ひ込みぬ ハードエッジ 打水の余りは庭の箒にも ハードエッジ 打水

全然堂歳時記 夏 【香水】14句

葉書俳句: テキスト: 封切や明日の映画も香水も ハードエッジ 香水は枯草色に透き通り ハードエッジ 小癪なる香水瓶の小兵ども ハードエッジ 反時計廻りに香水瓶を開け ハードエッジ 剃刀は香水瓶のすぐそこに ハードエッジ その人に香水の香のあらずとも ハードエッジ 香水の後を黒衣の揚羽蝶 ハードエッジ 香水や両肌脱ぎの夜会服 ハードエッジ 若き日の香水の香よ旧本社ビル ハードエッジ 香水の匂ふが如き斜陽かな ハードエッジ 深窓に香水の香と黴の香と ハードエッジ 空つぽの香

全然堂歳時記 夏 【蟬生る】20句

葉書俳句: テキスト: 蟬の穴地下から掘つて来りけり ハードエッジ 暁闇や決死の蟬が穴を出づ ハードエッジ その辺の地べたにほろと蟬の穴 ハードエッジ 伸び初めし蟻の列あり蟬も出づ ハードエッジ 改案: 蟻の列伸び始めたり蟬も出づ ハードエッジ 2023.8.13 庭掃けばまだ新しき蟬の穴 ハードエッジ 蟬の殻ぬるりと抜けて生れけり ハードエッジ 改案: 蟬殻をぬるりと抜けて生れけり ハードエッジ 2023.8.13 目も眩むほどの地上に出でし蟬 ハードエッジ 産

全然堂歳時記 夏 【金魚】20句

葉書俳句: テキスト: 鯨より金魚小さく美しく ハードエッジ 金魚屋の後見怒る仁王尊 ハードエッジ 改案: 門前の仁王に仕へ金魚売る ハードエッジ 2023.8.19 花種の如き金魚の餌なりけり ハードエッジ 赤々と金魚の夢は何ならむ ハードエッジ 長生きの屑と云はれし金魚かな ハードエッジ 蘭鋳や足腰弱き火星人 ハードエッジ 金魚ゆらゆら母船を待つてゐるやうな ハードエッジ 眠くても眠くなくても金魚の夜 ハードエッジ 真夜中に浮んでゐるは金魚かな ハードエッジ 死な