マガジンのカバー画像

全然堂歳時記【夏】

21
全然堂歳時記【夏】
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

全然堂歳時記 夏 【薄暑】16句

葉書俳句: テキスト: 旅に良し家居また良し薄暑かな ハードエッジ 白雲の夜空に遊ぶ薄暑かな ハードエッジ 通り雨薄暑疑ひなかりけり ハードエッジ そよ風に吹かれ薄暑の旅へかな ハードエッジ 信号を軽く抜けたる薄暑かな ハードエッジ 旅ゆけば薄暑の町のベーカリー ハードエッジ 薄暑なり銀座へ出れば画廊あり ハードエッジ 軽暖のオープンカフェに人を待つ ハードエッジ 見て楽し薄暑の街の人通り ハードエッジ 軽暖の街に薄暑の人通り ハードエッジ 高校生に薄暑の町の狭さか

全然堂歳時記 夏 【若葉】20句

葉書俳句: テキスト: 若葉とは日に透きとほる薄みどり ハードエッジ 青春の光と影と若葉風 ハードエッジ 若葉して光合成の出番なり ハードエッジ 若葉していよよ小枝のゆれ止まず ハードエッジ 鳥の餌のこれつぽつちよ朝若葉 ハードエッジ 週明けの駅前若葉まぶしけれ ハードエッジ 良き風と若葉の道を共にして ハードエッジ 若葉して早も摘まるる茶の木かな ハードエッジ 黒き枝も見えて若葉の木なりけり ハードエッジ 若葉して滝の飛沫を弾くなり ハードエッジ 若葉して水の音さへ

全然堂歳時記 夏 【梅雨3】20句

葉書俳句: テキスト: 傘の骨ぐいと曲げたる梅雨入かな ハードエッジ 梅雨空のグラデーションの濃きところ ハードエッジ 梅雨の日々梅雨曇りなる日を挟み ハードエッジ 時差呆けのやうな雲行く梅雨の日々 ハードエッジ 水嵩を楽しむ梅雨の大河なり ハードエッジ 雨の字の中も雨ふり梅雨つづく ハードエッジ 蝶ひらり梅雨の影なき世界へと ハードエッジ 梅雨深し昼は灯らぬネオン塔 ハードエッジ 梅雨深く書類に印を点じたる ハードエッジ 教室やあかあか梅雨の灯を点し ハードエッジ

全然堂歳時記 夏 【螢】20句

葉書俳句: テキスト: 螢火は螢の闇の中にこそ ハードエッジ 螢来よ小学校は真の闇 ハードエッジ 冠に二つ火のある螢かな ハードエッジ 螢火の飛んで光の速さかな ハードエッジ 螢火を裸火とこそ言ひつべし ハードエッジ 雨に来て葉先に滲む螢かな ハードエッジ その中に燻る螢ありにけり ハードエッジ なれそめの十五十六螢の夜 ハードエッジ 戦にも恋にも果つる螢かな ハードエッジ 降り出して恋の螢の行方かな ハードエッジ ほうたるの余命を刻む点滅ぞ ハードエッジ 晩年の光尊

全然堂歳時記 夏 【昼寝】20句

葉書俳句: テキスト: ふるさとに昼寝をせよと言はれけり ハードエッジ きこしめて旅の昼寝の楽しさよ ハードエッジ 人生の午後を楽しむ昼寝かな ハードエッジ 白桃を水に浮べて昼寝せり ハードエッジ 昼寝してわが再起動(リブート)を試みる ハードエッジ 吾輩と苦沙弥先生昼寝の図 ハードエッジ 座布団を腹に乗せたる昼寝かな ハードエッジ 魂を滝に打たせて大昼寝 ハードエッジ 汗かかぬ齢さびしや昼寝して ハードエッジ 母あらばその傍らに昼寝せん ハードエッジ うすぐらき蚊帳

全然堂歳時記 夏 【打水】20句

葉書俳句: テキスト: 打水を幾たび今日の暑さかな ハードエッジ 炎帝に敵はぬまでも水を打つ ハードエッジ せめてもの打水を打ち重ねたり ハードエッジ 石段の石のいきれに水を打つ ハードエッジ 打水に襷掛なる心意気 ハードエッジ 打水をけふは神輿の男らに ハードエッジ 蜻蛉も揚羽も来よと水を打つ ハードエッジ 打水に刹那の虹を賜りぬ ハードエッジ 打水の狙ひ定めし処かな ハードエッジ 打水を固き大地が吸ひ込みぬ ハードエッジ 打水の余りは庭の箒にも ハードエッジ 打水

全然堂歳時記 夏 【香水】14句

葉書俳句: テキスト: 封切や明日の映画も香水も ハードエッジ 香水は枯草色に透き通り ハードエッジ 小癪なる香水瓶の小兵ども ハードエッジ 反時計廻りに香水瓶を開け ハードエッジ 剃刀は香水瓶のすぐそこに ハードエッジ その人に香水の香のあらずとも ハードエッジ 香水の後を黒衣の揚羽蝶 ハードエッジ 香水や両肌脱ぎの夜会服 ハードエッジ 若き日の香水の香よ旧本社ビル ハードエッジ 香水の匂ふが如き斜陽かな ハードエッジ 深窓に香水の香と黴の香と ハードエッジ 空つぽの香