俳壇賞 2018 落選作 30句
古雪の解けて流れて消えてさて
飛花の山落花の谷と続きをる
花びらは箱根の山を越すつもり
鬨の声あげよ無頼の花篝
この先は闇へと続く桜かな
花の名の海に目出度し桜鯛
だぼ鯊の子を孕みたる日暮汐
蒲公英に地べたの冷ゆる夜なりけり
初夏や肩甲骨を背に掲げ
田を植ゑて初めての夜来りけり
クロスワードパズルの中のさくらんぼ
早起きのお城を巡る捕虫網
金魚玉時の流れを聞かんとす
紫に黄を打つたる茄子の花
地の味は地味に滋味なる新牛蒡
原つぱも喇叭も消えて秋の暮
鬼の子が稲妻捕り