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抗がん剤 気になる汗と匂い 帽子の肌感覚リポート

私は帽子を色々買って触感を試しているうちに、頭の汗と匂いを吸い取る役割の大きさに気付きました。

医療用の帽子は病院内の売店などでも売っていて、意外と種類も豊富です。
その多くは、皮膚にやさしいとされるオーガニックコットンを使っています。免疫力が低下している皮膚に刺激が少なく、肌触りが柔らかいのですが、厳選されたオーガニック素材は値段もそれなりにします。
店頭で購入する場合はサンプルが展示されていて触ることができますが、自分の頭で直接スリスリして触感を確かめたい…でも出来ませんよね?そんなこと。ましてインターネット通販では触ることが出来ません。
でも肌触りが気持ちいいかどうか、それは本当に大切なのです。
これから帽子が必要な方に、私が体感した帽子の肌感覚を可能な限りお伝えします。
 
抗がん剤治療中は1日24時間のうちをほとんど寝て過ごす生活でした。
枕に接している時間が長いので、さっぱり系の保湿ローションをコットンパフに含ませて頭皮や首筋をパタパタ拭いてから帽子を被って寝ていました。
これで気分的に少し楽になるものです。
外出用のオシャレな帽子よりも、パジャマみたいな自宅用が増えていきました。

抗がん剤を打って数日は、汗と一緒に薬の強い成分が排出され皮膚がピリピリ痛みます。
また抗がん剤の匂いなのか判別は出来ませんが、頭皮や首筋を流れる汗が独特の匂いを発している気がして仕方がないのです。
私は枕にタオルを敷いて、更に帽子を被って寝ていました。
写真の右端にある水色と灰色の生地は、クタクタになるまで着古したTシャツか、緩くなったパンツのような肌触りなのですが、このゆる~い材質がじつは一番重宝しました。
柔らかくてよく汗を吸い取ります。
暑い日は保湿ローションでパタパタして帽子とパジャマを着替えて気分転換。
この繰り返しです。

次に写真の右から三番目、四番目。
細めの糸でサマーセーターのような感触で編んであります。
これは抗がん剤を全て打ち終わり、少し毛が生えはじめてから使っていました。
私はナイロンやポリエステルの成分が多い生地が肌に直接触れると、チクチクしてストレスを感じやすくなるのですが、このニット帽の肌触りは柔らかく、安心感がありました。
ちょっとだけ芽を出した毛髪が絶妙な具合で網目に引っ掛かり、フィットするのです。
この摩擦が「やっと毛が生えて来た」という喜びでもありました。

そして写真のシロクマさんが被っている赤色帽子はざっくりとした太めの糸で編んであり、風がひんやりする晩秋の頃に好んで被っていました。
気温が下がっても、頭皮は汗をかくのです。
夏のように大量に汗が流れ落ちることはありませんが、逆に汗の成分が濃縮されているのではないかと思うような…
(不快な表現で気分を害された方には申し訳ありませんが)
だから結構まめに帽子を洗濯していました。
抗がん剤治療中は匂いや味覚が敏感になるのです。恐らく自分が思うほど、他の人は気にならない程度のものだと思いますが、一人で神経をすり減らしていたような気がします。

それでも抗がん剤治療を終えて半年を過ぎた頃には、しばらく気になっていた独特の汗の匂いのことは忘れ去っていました。
毛が生え始めて、仕事に復帰して、闘病中に出来なかったことが減って、少しずつ出来ることが増えて、他に気を取られる事が増えて行く。当たり前の日常をゆっくり取り戻すうちに帽子も段々と必要がなくなるのです。

肌感覚はそれぞれ違いますが、少しでも快適な睡眠の参考になれば幸いです。

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