原浩一郎
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「深海魚族」と「文芸エム」
甲南高校文学部、そう口にすると関西では大概勘違いされ、戸惑いを与える。関西には「ええとこの子」が集まる「金持ち大学」甲南大学があるからだ。甲南高校と言えばその高等部だ。しかし文学部であれば、甲南大学だろうと話は混乱する。おまけに私がもとより「裕福さ」とは縁遠い。「お前の口から甲南大学の話が出るなんて」と驚かれるのが落ちだ。だから、私は慌てて付け加える。鹿児島に甲南という公立の高校があり、そこでは文
もっとみるシェイクスピア「リア王」
リア王の王権譲渡をめぐる約ひと月の騒動の間に関係者のうちほとんどが非業の死を遂げ、生き残るのはほんのわずかだ。この凄まじい急転直下の崩壊はどういうことか。
冒頭リア王は、旺盛な我が権力を生前に譲渡するため国土の分割を自身への賛美の度合いで決めようとする。これが崩壊への幕開けとなるのだが、臣民を預かる王とは思えない愚かしい戯事である。おそらく王は、権力は盤石のうえ娘たちの婚姻も進み、栄華の絶頂にあっ
ソポクレス「アンティゴネー」
どうしても気になり、ソポクレス自身の「アンティゴネー」の戯曲台本を読んでみたくなった。長く借りていた本を抱え県立図書館へ向かったが、長期延滞の小言をもらうだけで図書を借りることはできなかった。やむなく、BookOffまで出かけ、呉茂一訳の岩波文庫を入手した次第。
展開がスピーディで凝縮されている。登場人物はわずかだ。先に読んだサマリーも呉茂一によるものだったので、すんなりとそしてしっかりと読み進め
ソポクレス「オイディプス三部作」
狭義の三部作とは言えないらしいが、ギリシャ神話のオイディプス(エディプス)を題材としたギリシャ三大悲劇詩人ソポクレスによる戯曲三作品「オイディプス」「コローノスのオイディプス」そして「アンティゴネー」である。
よく知られるオイディプス王自身の父殺害と母姦淫の悲劇は「オイディプス」に描かれる。自ら目を潰し盲目となって町を去ってそののち、老いて娘とともに故国近くの丘を訪れ昇天するまでを描いた「コローノ
「何かと闘っている人は、すべて格闘家です」(船木誠勝)
僕は格闘技が好きだ。しかし格闘技どころか、スポーツの経験もほとんどない。学校の部活も美術に文芸だ。だからコンプレックスの裏返しなのだと思う。
格闘技という言い方をしたが、十代の頃夢中になったのはプロレスだ。力道山の創設した老舗団体日本プロレスが存在していた頃から、「月刊プロレス&ボクシング」(「週刊プロレス」の前身)を購入していた。何に惹かれていたのだろう。ウルトラマンの怪獣についてそれぞれデータ