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【種の奇言】

進化の過程で誕生した、数多の希少生物。
地球に生まれて良かったー!

アバレウグイス
スズメ目ウグイス科に属する。風情のある鳴き声からは想像もつかない乱暴者で、ホーホケキョと鳴きながら他の鳥たちを追い払い、エサを食べつくし、フンを撒き散らし、森林を根こそぎ枯らして去っていく。近年では「森の反社会的勢力」とも呼ばれる。

アホウウナギ
ウナギ目ウナギ科に属する。ウナギならではのヌメリがなく、わりと捕まえやすいのが名の由来。だが、どう料理しても臭みが残り、残念ながらおいしくない。捕獲しても需要がなく、おかげで生息数が保たれた。人間から身を守るのが、最大の防御である。

アリクイクイ
食肉目ネコ科に属する。ピューマに似た風貌で、おもにアリクイを主食とする。アリ塚でアリを食べているアリクイから出るフェロモンを感知すると、背後から近づいて、尻にかぶりつく。ちなみに実験では、8割のアリクイが食べられながらも食べ続ける。

アリクイクイクイ
食肉目クマ科に属する。クマに似た風貌で、おもにアリクイクイを主食とする。アリ塚でアリを食べているアリクイを食べているアリクイクイの背後から近づいて、尻にかぶりつく。それでも足りない時は、アリクイも食う。食後のデザートで、アリも食う。

イザカヤアリ
ハチ目アリ科に属する。女王アリや働きアリなど、役目を担って社会生活を営むアリは多いが、このアリは疲れた働きアリが巣のとある場所に集まり、エサを食べて解散する習性があり、サラリーマンが通う居酒屋のような部屋を有するのが名の由来である。

オオナマケモノ
有毛目ナマケモノ科に属する。ナマケモノに比べて、さらに動きが遅い。エサを食べるのも、外敵から身を守るのも、排便のため地上に降りるのも、ほんの少しだけ遅いのだが、並べて観察しないと判別は困難である。ちなみに、死んでしまうのは少し早い。

オナガメガネキジリザル
霊長目クモザル科に属する。尾は長いわ、目は大きいわ、尻は黄色いわ、やたら特徴が多い。他にも毛は赤いわ、鼻は背中にあるわ、口はかかとにあるわ、耳は3個あるわ、足は7本あるわ、爪はラベンダーの香りがするわで、進化の過程の解明が待たれる。

カリフォルニアエンジェル
フクロネコ目フクロネコ科に属する。遺伝子上はタスマニアデビルの近縁にあたり、生息地であるロサンゼルスにちなんで名付けられた。気性は天使のように穏やかで、エサを譲り合う。鳴き声は児童合唱団のハミングに似ており、聴くだけで心が洗われる。

カワリカッコウ
カッコウ目カッコウ科に属する。特に変わった格好はしていないが、別の鳥の巣に卵を産んで育てさせる一般のカッコウと異なり、自ら卵を温め、孵化させて、エサを与え、巣立ちまで世話をする。何なら巣立ったあとも子に近づき、疎ましがられたりする。

ケンカインコ
オウム目インコ科に属する。まぶたの上の毛が太く濃いだけでなく、Vの字の角度で生えているので、怒った眉毛に見える。激しいセリフが似合うため、悪口を教えられることも多いが、逆手にとって温かい言葉を教えるのも人気。例「花って癒されるなー」

ココノツコブラクダ
偶蹄目ラクダ科に属する。コブの数が増えすぎて、人が背中に乗るには熟練を要する。何個目のコブの前に乗るかは、民族で傾向が異なる。近縁種のヤツコブラクダとは争いが絶えず、お互い殴られたコブができると、どっちがどっちか良くわからなくなる。

ゴチソウクジラ
偶蹄目ナガスクジラ科に属する。身体の隅々までグルタミン酸で満たされ、とにかく食べたが最後、おいしくておいしくて、必ず再び食べたくなる。国際環境保護団体の主力メンバーを次々に脱退させるほどの威力があり、鳴き声は「タベテー」と聞こえる。

サソリコロシサソリ
サソリ目ウシコロシサソリ科に属する。仲間を攻撃するサソリとして、サソリ界では警戒されるが、ごく限られた環境でしか攻撃しない。上に30分ほど乗られたり、脇腹を150回ほど突かれたり、尻をハサミで270回ほど挟まれると、烈火の如く怒り出す。

シャクレクマノミ
スズキ目スズメダイ科に属する。元々すべてオスなのだが、群れの中で一番アゴがしゃくれている個体が、メスに性転換して繁殖を行う。どんどんしゃくれると、イソギンチャクに引っかかって出られなくなり、次にアゴがしゃくれている個体がメスになる。

ショクヨウコアラ
双前歯目コアラ科に属する。オーストラリアの先住民はワニもカンガルーも食べていたが、コアラはまずいわ毒があるわで、どうしても食べられなかった。そんな厄介者の改良を重ね、ついに無毒化に成功。オージービーフをめざして、さらに研究中である。

シリカブトムシ
コウチュウ目コガネムシ科に属する。頭にあるはずのツノが尻から生えており、餌場に尻から突っ込んで戦いを挑む。相手を追い出しながら、自分は口から樹液を味わい、もみ合っている間に食事を終え、早足で後ずさりするかのように去っていく奇妙な虫。

シロシマウマ
ウマ目ウマ科に属する。一般のシマウマは黒地に白の縞と考えられているが、これは白地に黒の縞の個体である。どちらか判別するのは難しく、中世においては熟練の技官でも1か月ほど悩みに悩み、シマウマの柄に禿げてしまう悲劇があとを絶たなかった。

セツデンクラゲ
アンドンクラゲ目アンドンクラゲ科に属する。いわゆる電気クラゲと呼ばれる中の一種だが、とある一定の圏内で別の個体が動くのを察知すると、自らは仮死状態になる。常にどれか一匹しか動かず、こまめに電気を消すかの如く、体力を温存するのが特徴。

タカラバコフグ
フグ目ハコフグ科に属する。他のハコフグと同じく、全身に箱状の堅い甲羅がある。光るものを飲み込む習性があり、石や貝のみならず、貨幣や貴金属が入っていることも。捕獲して中を見るのが楽しく、一時期は漁師たちが獲りすぎ、絶滅の危機に頻した。

ダマリゼミ
カメムシ目セミ科に属する。オスもメスも一切鳴かないばかりか、他のセミの鳴き声が疎ましいかのように、鳴いているセミを見つけては攻撃する。だいたい勝利をおさめるが、戦う際に激しく威嚇する音が、鳴き声の3倍うるさい。別名「クレームゼミ」。

テナガスズメ
スズメ目スズメ科に属する。羽の一部が腕のように進化した、腕羽と呼ばれる器官で、頭を掻いたりする。シベリアの凍土から発掘された化石では、進化を遂げる過程が見られ、現在では独立した器官である腕羽は、1億年前は短く突き出ている程度である。

テノリカバ
偶蹄目カバ科に属する。手乗りと名が付くものの、一般のカバと同じ大きさ。木の枝に登って暮らす習性があり、人が手を差し出すと乗りたがる。拒むと目の色を変えて、意地でもよじ登ろうとするので注意。骨折で済めばラッキー、圧死したらアンラッキー。

トウガラシウオ
有尾目サンショウウオ科に属する。山椒の香りがするサンショウウオのように、舐めると唐辛子の味がする。腹を裂いて内臓を取り出し、5日ほど風通しの良い場所で干して乾燥させ、細かく刻んで、沸騰したお湯で煎じて飲むと、不思議と無味無臭である。

ドクペンギン
ペンギン目ペンギン科に属する。毒を持つペンギンは珍しいが、それよりも珍しいのが、体長が10m以上あること。食べて命を落とした発見者の功績を偲んで付けられた名前だが、やはりジャイアントペンギンの方がしっくりくる、との論争が今も絶えない。

トビワニ
ワニ目クロコダイル科に属する。トビウオ、トビハゼ、トビネズミなどを総称した「トビトビ軍団」の中では最も巨体で、最も獰猛な性格。そして、最も飛ぶ。飛びすぎて川から出ることも多いが、陸地では本来の力が出せず、歩いて戻るのに時間がかかる。

パンダモドキ
食肉目イヌ科に属する。世界中で愛されるパンダに憧れ、徐々にパンダに似てきた悲しい過去を持つ。体毛は進化の途上で、完全な白黒とは言いがたいが、目の周りの黒毛は死守している。しかし、笹はどうしても口に合わず、いったん食べるが隠れて吐く。

ビックリマンボウ
フグ目マンボウ科に属する。深海を悠々と泳ぐ姿とは打って変わって、求愛の時にはメスの周囲を激しく動き回る。その忙しそうな姿が面白いと共感を呼び、水族館でも人気だが、右に左に巨体を揺るがすので、衝突された生物はビックリしながら絶命する。

ヒルフクロウ
フクロウ目フクロウ科に属する。すべてのフクロウの中で、もっとも知能が低いとみられ、夜行性であるのを忘れて昼間に活動し、日光が眩しくて倒れる。また、うっかり肛門からネズミを食べようとする。首は左右に480度も回転するが、たまに戻らない。

モリモリ
齧歯目リス科に属する。井戸を守るイモリ、家を守るヤモリと並び、モリモリは森を守る動物として、古来から尊ばれてきた。彼らが大移動する時は、森に異変が起こる前兆と言われ、実際に富士山もマウナケア山もピナトゥボ山もベスビオ山も大噴火した。

ヨーロッパゾウ
ゾウ目ゾウ科に属する。アフリカゾウ、アジアゾウと並ぶ第3のゾウだが、現在はヨーロッパ各国の動物園で数十頭が生息しているのみである。他のゾウと比べて動作に気品が感じられ、貴族にやさしい。フランス料理が好きで、ヨーロッパから出ると死ぬ。

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