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電子媒体専門のエロマンガについて

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始めに

はじめまして。一般~R18漫画で細々とマンガの編集をしている者です。まず初めに、この記事は自分の独断と偏見に基づいた、一個人の見解ということを念頭に入れて頂ければと思います。

本記事の目的ですが、この記事を読んでこのジャンルに興味を持ってくれた方からの連絡が欲しいなあ…という極めて邪なものです。が、まあそのあたりは大目に見てください。決して作家スカウトが面倒になったからではないです。……ないです。

この記事では「電子媒体専門のエロマンガ」について語っていこうと思います。全2回の予定です。

さて、まずは、電子媒体専門のエロマンガとは何ぞや?というところなのですが、スマホでネットサーフィンをしているとよくエロマンガの広告が出てきませんか?ざっくり言うとアレの事です。

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…こんな奴↑です。最近では同人作品もちょこちょこ出てきたりしてその限りではないのですが、電子媒体専門のエロマンガ。古くは「携帯コミック」と呼ばれていたりします。

この電子エロマンガですが、印象としては「うさんくせー」というものでしょう。はい、僕も最初はそう思いました。

※ちなみに電子エロマンガ(長かったので訳します)と似ているようで全く違うのが快楽天、ホットミルク、コミックアンスリウム…などなどのコンビニ(今は売っていませんが)や書店のR18コーナーで大人気の紙雑誌です。いわゆる、エロマンガと言われてパッと思いつく先ですね。自分も普段から公私含めて大変お世話になっています。

さて、この電子エロマンガですが、単純なクオリティでいえば紙雑誌に掲載されている作品に負け、ネットサーフィンをしていたらちょくちょく広告として出てきて鬱陶しく、その上現実世界では手に入れる手段がなく「うさんくせー」と思ってしまうのも無理はないと思います。
※実際はごく一部の人気作品に限り紙で出版されています(落とし穴アリ)

ですが、このうさんくさい電子エロマンガ。これで中々事情を知っていくと面白かったりもします。

電子媒体専門のエロマンガはどこでつくられている?

まず、この電子エロマンガを作っている会社ですが、大体2パターンあります。1つ目は出版社がやっているケース。2つ目は、出版社以外の普通の会社がやっているケースです。

出版社がやっているケースですが、これは出版社と言われて思い浮かぶ漫画の会社(集英社、小学館、講談社)……ではなく、そこよりさらに規模の小さい、小説や図鑑、楽譜、雑誌など漫画以外の様々な出版物を主軸に取り扱っている会社を指します。

出版社以外の会社がやっているケースですが、これは名前を出すと僕が怒られてしまうので…まあ、そういう、エロマンガ作ってますよ!とは公には言えない普通の企業が作っていたりします。

電子エロマンガは、こういった会社が自分のところの社員であったり、自分みたいな雇われ編集者を使い、最低限のクオリティは担保されたエロマンガを量産します。

じゃあなんでこの2種類の企業がわざわざ紙ではなく電子でエロマンガをつくっているの?といった疑問が出てきますが、理由は単純です。儲かるからです。

電子媒体専門のエロマンガはどうやって売り上げを立てているか?

元手は原稿料と人件費だけの電子エロマンガは一般のエロマンガと違い
・在庫を置く必要がないので、在庫を抱える心配もなく、
 沢山刷って売れ残る心配もない
・そもそも印刷費がかからない。印刷の工程がないので、
 売り場に出るのが早く、かつ入金も比較的早い
 スケジュールも立てやすい
・人と金さえあればすぐ始められる
・海外への輸出も容易(専門の業者がいる)
・エロマンガなので常に一定の需要はある
・そもそも本よりマンガの方が売れる
…等々メリットがたくさん挙げられます。

特に
・在庫を置く必要がないので、在庫を抱える心配もなく、
 沢山刷って売れ残る心配もない
が凄いですね。在庫はないのに商品はあるとか、ほんの10年前の出版業界の人に言ったら「は?」となると思います。
ウェブが発達して色々と商売の形も変わってきましたが、電子エロマンガもその内の1つだったりします。

また、現在コロナの影響で多くの出版社に影響が出ていますが、電子エロマンガは実際の書店ではなくウェブで売り上げを作るので、こういった時勢の影響にも比較的強いです。 

……さて、こうやって作られた電子エロマンガですが、めちゃコミック、Renta!、コミックシーモア、Fanzaなど、あらゆる電子書籍を取り扱っている会社に卸され、売り場(各配信サイト)に並べられます。

そして、たとえ一つ一つの売り場での売り上げが小さくとも、塵も積もればなんとやら…という感じで、色々な市場に卸された電子エロマンガはコツコツと利益を上げていきます。

また、ヒット作品となると、あらゆる会社でその作品を売ろうとサイト内で広告が作られ、時にはいろいろなサイトへ広告が飛んでいき(これが上に挙げた良く見るエロマンガの広告のことです)サイトに誘導されたユーザーがお金を落としていきます。

さらに、基本的に電子エロマンガは1話完結ではなく連載物が殆どだったりします。ですので、1話で人気のあった作品は2話目が販売サイトに並ぶと、まあ~~~売れます。これが3話、4話、5話……と続くのですから、たくさんのお金が販売サイトと会社に転がり込んでいきます。

そして過去の作品であっても、電子書籍界隈の大御所kindleがよくやっているセールよろしく、サイト内では○○セールや○○特集といったものが組まれて一定の割合で売り上げを出していきます。

こうして電子媒体専門のエロマンガは着々と儲けを出していきます。

作家さんに入る印税額と原稿料について

電子エロマンガですが、売り上げられたお金は、会社とその作品を売った販売サイトに振り分けられます。例えば100万円であれば50万、50万といった具合です(割合はてきとーです)。振り分けられた50万から会社にもよりますが、数十パーセントが作家さんの手元に入ります。これが、いわゆる印税と呼ばれているやつです。

ちなみにこの印税、自分が把握している限りだと人気作で大体100~1000万ほどあります。これが年に数回、作家さんの銀行口座に振り込まれます。
※印税を出さない会社もあります。
 こういうところで執筆している方は自分に連絡いただければ
 もっと良いところ紹介します……!

また、原稿料ですがこちらもピンキリで、大体6000円~7000円スタートで
キャリアと実績に応じて金額が8000、9000、10000…と上がっていきます。

ですので、例えば原稿料8000円の作家が、月24頁の漫画作品を連載して
ヒット作品を出すと、印税の支払いが年二回の会社の場合
印税:100万×2=200万
原稿料:8000円×24頁×12か月=約230万
合わせて年間430万ほどと、入社してそこそこ経つ
平社員の給料位の年収になります。

また、余談ですが大手出版社と違い超大御所作家さんの原稿料が1ページ数十万…みたいなのは聞いたことがありません。エロマンガはユーザーの絶対数が限られているので、そんなに原稿料を払ってしまったら利益が全然上がらなくなってしまいます。そこは売れ幅の天井が果てしない、一般向け漫画を出版する出版社との違いでしょうか。

電子媒体専門のエロマンガのメリット

①紙のエロマンガより求められるクオリティが低い
②収入が安定しやすい
③線画納品が出来る(カラー作品)
④一般、エロ、両方の漫画を描く勉強ができる
⑤売れなくても次作にチャレンジしやすい

①紙のエロマンガより求められるクオリティが低い

紙雑誌のエロマンガですと、定期的な現行の納品は求められますが、それは毎月ではありません。対して、電子エロマンガは毎月16~24Pほどの原稿を求められます。ですので、それに間に合うよう1話ごとのリテイク作業や作画に何か月も時間をかけるのを良しとしません。

ざっくり言ってしまうと
紙雑誌はクオリティ重視 
電子エロマンガは納品ページ重視
という感じでしょうか。

さらに、電子エロマンガは作家さんに線画を貰い、それを会社側で着色しカラーエロマンガとして世に出すという選択肢もあります。その場合、線画納品となりますので通常の原稿で必要なトーンの作業が必要ありません。これにより、より作家さんに求められる画力の幅は狭まります。

②収入が安定しやすい

上記の電子エロマンガは納品ページ重視という関係上、新人漫画家であっても¥6000~7000×24Pが毎月の収入として入ってきます。加えて、1話24Pを公開するごとに印税が計上される仕組みとなっていますので、ヒット作が出せれば年に何回かまとまったお金が入ってきます。

単行本の場合、大体200頁ほどクオリティ重視の原稿が求められるので単行本を出すまでには年単位の時間が必要となります。
ただ、本として手に残ったり、重版が掛かるごとに爆発的な収入
例)重版がかかり、一万部増刷された場合
10,000(部)×1,000(単行本の値段)×10%(印税)=100万
が得られます。

③線画納品が出来る(カラー作品)

上記に少し記載しましたが、電子エロマンガ市場ではモノクロ原稿の漫画よりカラー原稿の漫画の方が数が出ている現状です。ただ、納品ページ数が重視される電子エロマンガで作家さんにカラーまでお願いしてしまうと結局時間がかかってしまいます。ですので、通常カラーに関しては、フリーの塗り師さんやカラーリングを専門に行う企業に任せます。

また、線画納品の場合原稿料が-1000円となります。別に本業があり、漫画が副業の方の場合や幾つか連載を掛け持っている方、またはトーン作業にそこまで執着のない方などは「1000円もらうからトーンまで貼るぞ!」より「-1000円なら線画原稿の方が…」とこちらを選択されたりします。

④一般、エロ、両方の漫画を描く勉強ができる

電子エロマンガは連載物という性質上、”しっかり使えるか”という部分と、面白さが求められます。圧倒的なエロさで突き抜ける!という作品でもない限りは、続きが気になったり内容にのめりこませるような面白さも必要となります。

この、エロと面白さが両立した内容を毎月求められますので必然的に量を作ることになり、しっかりと両方の上達を意識して作業をすれば大変ですがとても勉強になります。

⑤売れなくても次作にチャレンジしやすい

何度もネームに没を食らい、厳しい原案会議を潜り抜け、やっと漕ぎ着けた連載は超レッドオーシャン(競争の激しい既存市場のこと)の一般向け漫画業界と異なり、描き手が少なく、右肩上がりの業績を更新している電子エロマンガ業界は比較的作家を長い目で見て、連載も通りやすい気風にあります。

電子媒体専門エロマンガのデメリット

①知名度が稼げない
②あまりハードなものは作りづらい
③単行本がほぼ出ない
④毎月の納品が求められる

①SNS等での知名度が稼げない

電子エロマンガをメインで購入しているユーザー層はSNSをあまり使わない人が多く、電子エロマンガ業界では大成してもSNSでの知名度に繋がりにくいです。

②あまりハードなものは作りづらい

電子エロマンガでは、雑誌ごとのコンセプトなどはないのですが売れる傾向がハッキリしており、売れ線から大きく外れた、いわゆる特殊性癖系のジャンルは企画が通りにくい傾向にあります。

ただ、一般的な大手紙雑誌で載せているような内容であれば問題なく、ここ数年は売れ線ジャンルに変化があまりないこともあり、そこを抑えておけばある程度の売り上げは担保される……かもしれません。

③単行本がほぼ出ない

電子エロマンガは相当の大ヒット作でもない限り、単行本はほぼ出ません。売れないからです。ただ、別会社より単行本化の打診を受けたり、単行本を出す企業もあります。

ちなみに単行本は、出てもほぼほぼ売れません。しかも書店にその記録が残ってしまうので書店側に「ああ、この作家さんは~~部しか出ない人なんだな」と思われてしまい別の出版社でもう一冊を出すとしても、その少ない部数を参照されてしまいます……。

④毎月の納品が求められる

電子エロマンガは、どちらかというと納品ページ>クオリティなので毎月ある程度のページ数を描かなければいけない大変さがあります。ただ、ある程度は連載前に書き溜めを行う準備期間を用意することが出来ます。

電子媒体専門エロマンガをやる上で目指す先は?

(超私見です)結論から書くと、同人で売れることだと思います。というより、オリジナルの成人向け同人作品で売れること、と書いた方が正しいかもしれません。

例えば、40Pの同人誌が1冊あったとします。値段を¥600、FANZAで1万本売れたとすると、FANZAは手数料を50%(¥600の場合)取りますので

利益=600×1万×50%=300万 
これを原稿料換算すると
300P/40P=7.5万/1P
となり、1ページ7.5万と出版社の原稿料を遥かに凌ぐ金額を稼ぐことが出来ます。新人漫画家さんの原稿料が¥6,000~¥7,000なのでその10倍超です。

個人でこれだけの実績を出せると、元々同人作家が行う事の出来る活動
・商業でのマンガ仕事
・pixivFANBOX等のファンコミュニティサイトの運営
・即売会での同人誌実売
等、複数の収入源のパイプを更に太くすることが出来ます。

さて、ここで電子エロマンガがどう役に立つのかという所ですが
作家として大成する為の足掛かりを作れます。

電子エロマンガは紙雑誌エロマンガと比べ
・求められる画力が低いので参入ハードルが低い
・たくさん描くことが出来るので漫画作りの経験が積める
・納品ページ数が求められるのである程度の原稿料が担保される
・売り上げや読者の評価が数字として見れる

……つまり漫画の執筆経験が乏しい方であっても、電子エロマンガ業界は漫画を描きながら生活が出来る環境を提供することが出来ます。

さらに、ここで紙雑誌でも通用するような実力を培えば、紙雑誌エロマンガ業界に行き、よりレベルの高い作品作りの環境に身を置く事もできます。紙雑誌エロマンガ業界は電子エロマンガ業界と異なり知名度も稼げます。

紙雑誌エロマンガ業界でも通用するような実力が付けられれば、稼いだ知名度もプラスして、上記に記載した「同人で売れること」、つまり同人活動の売り上げを飛躍的に伸ばすことが出来ます。

よって食い扶持は確保しつつ作品を作る事の出来る電子エロマンガ業界は作家としてのステップアップを行うための、丁度いい足掛かりになりえるんじゃないかと自分は考えています。

最後に

本記事はこちらでお終いです。何度も描きますが、この記事は自分の独断と偏見にまみれた記事となっておりますので、鵜呑みにせず、あくまで参考として頂ければと思います。

また、全2回と書いた通り次回執筆予定の項目は
・電子エロマンガのジャンルについて
・一般紙ではなくエロ漫画雑誌で描くメリット
・一般ではなくR18(電子媒体)で描く作家ならではメリット
・どういうタイプの作家さんがエロ漫画に向いてる?
となる予定です。

その他、何か気になることがありましたら
お気軽にお問い合わせ頂けますと幸いです。

それでは、長々とここまで目を通していただきありがとうございました。

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