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ビリー・ジョエル、来日公演ルポ

~アレンジもキーも原曲キープ、圧巻の東京ドーム2024年1月ライブ

ビリー・ジョエルが2024年1月24日、2008年以来となる来日公演を開いた。東京ドーム1日限りで、チケットは完売。追加販売された「見切れ席」だったものの、筆者は幸運にもチケットをゲットできた。セットリストおよび簡単なルポをお届けする。

客席のおじさん率高し

完売の客席はおじさんばかり。女性もいるが、ほとんどは50代以上とおぼしき観客。開演前のトイレは長蛇の列(男性用トイレも)。一人客が多い。男女とも。熟年夫婦らしきカップルも。若者世代はちらほらしかいない。


満席の東京ドーム、ビリー・ジョエル公演=2024年1月24日


19:05 照明が落ちる。いよいよ開演。ドーム中がスマホできらきら光っている。きれい。

ビリー、舞台中央のピアノに着いている。ソロでベートーベンの「第九」を弾く。そのままイントロに変わって、1曲目「マイ・ライフ」。

1 My Life 背景はビリーのライブ映像(外野レフトの見切れ席だったが、そこそこ見える。あまりの懐かしさに、もう泣きそう)
2 Movin’ Out (Anthony’s Song) 背景の映像はMV

MC メンバー紹介・ドラム。「久しぶりです、ありがと」ビリー、たどたどしい日本語であいさつ。曲紹介「次の曲は1975年の…」

3 The Entertainer アレンジ、キーとも原曲のまま、編曲を変えず。ビリーよく声が出ている

MC メンバー紹介・キーボード、曲紹介「次の曲は1978年の…」

4 Honesty
ピアノソロで日本の曲「さくらさくら」→
5 Zanzibar

MC メンバー紹介・トランペット、立ち上がってスタンドマイクを持って「OKOK、ボクはミック・ジャガーじゃない」と言いながら、ストーンズの「スタート・ミー・アップ」へ。
6 Start Me Up

MC 次の曲紹介、立ったまま、「1983年にこの曲を作ったころ、髪があった、あの頃は高音が出た。83年当時、まだ30代だった。でも高音(ハイトーン)とは30代でおさらばした(日本語で「サヨナラ」と)。だから次の曲は高音が出せるといいけれど」

7 An Innocent Man 立ったまま歌う。「A ha」のところの高音はなんとかキープ。二番で少し声が裏返るものの、なんとか歌いきる。
8 ライオンは寝ている 立ったまま、コーラス隊とアカペラで。

MC 「今のは喉鳴らしだ」、続けてコーラス隊と立ったままアカペラで

9 The Longest Time きれいなコーラス。ただし、ビリーの歌が時々少し走る(速くなる)。

ビリー、ピアノの前に座って、
10 Don’t Ask Me Why 背景はモノクロのMV。間奏のピアノソロでビリーがリズム外れて走る。

MC ベース紹介。次の曲紹介、「1977年のアルバム『ストレンジャー』から…」

11 Vienna (良い選曲~涙出る~)ビリー、本当に声が変わっていない。色っぽくてキレイ。つややかな声。
12 Keeping The Faith (1983年の「イノセント・マン」収録)

MC 曲紹介、「1982年の『ナイロンカーテン』から…」「ピアノの中になんかある」と言って、ピアノの中からごみを出して捨てるパフォーマンス。紙くずとか。

13 Allentown 背景はアニメ。労働者たち&工場(これがアメリカの原点、トランプの力の源泉だと思う。ビリーは古きよきアメリカの労働者階級に根ざしている、イタリア系移民だしなあ、と思う)

MC メンバー紹介・ギター

14 New York State of Mind 背景はNYの夜景、ドローンで撮影したようなビデオ。きれい。
15 The Stranger 口笛はバックコーラスが。アレンジは当時のまま。(懐かしい、涙出る)
16 Say Goodbye to Hollywood

MC 曲紹介、「1980年の『グラス・ハウス』から…」

17 Sometimes a Fantasy(邦題「真夜中のラブコール」)
18 Only the Good Die Young
19 The River of Dreams (1993年のアルバム「The River of Dreams」所収)から、女性バックコーラスのソロ歌唱。ビリーはピアノ伴奏。

MC 女性歌手を紹介。ピアノソロに合わせて、男性コーラスが歌い始める

20 Nessun dorma(誰も寝てはならぬ) 男性バックコーラスがオペラのようにアカペラでソロで歌う
21 Scenes From an Italian Restaurant
22 Piano Man ラストのフレーズを会場に歌わせる。終了。ビリー、バンド、舞台袖に引っ込む。ビリーが、ひょこひょこ小走りで(少し左右のバランスが悪い)引っ込む後ろ姿がかわいい。その姿は年齢(74歳)相応で、改めて、ビリーの歌声の若さ、素晴らしさを痛感する。
(~2100)


ビリー・ジョエル東京公演。1970~80年代のヒット曲を次々と披露した=2024年1月24日、東京ドーム

<アンコール>

(2100~)
1 We Didn’t Start the Fire ビリー、ギターを持って現れる。立ったまま歌う。背景は真っ赤な炎が燃えているフレーム内で、歌詞の登場人物を次々スワイプする動画。
2 Uptown Girl 立ったまま
3 It’s Still Rock and Roll to Me マイクスタンドをくるくる回す

ピアノの前に座って、
4 Big Shot すでにビリーの喉はぼろぼろ、高音が出ない
5 You May Be Right(邦題「ガラスのニューヨーク」)→途中のフレーズからLed Zeppelin ”rock’n roll”(ボーカルは男性コーラス)になる。のち、You may be right の歌詞のところに戻ってくる。

終演 ~0925

全体で2時間20分。ビリーはほぼ歌いっぱなし。ほとんどMCらしいMCはなく、ひたすら曲で押す。最後のほうは喉ががらがらになっていて、全然声が出ていなかった。とはいえ、曲のアレンジもキーも原曲のまま。タフだ。

この夜の選曲は、知っている名曲ばかり。ただ1970年代~80年代の曲が多く、もしかして日本のファン向けにセットリストを変えてきたのかしら、と思う。

ビリー・ジョエル50周年記念コンサート。観客は中高年が多かった=2024年1月24日、東京ドーム

前回は福岡ドームで見た。今回は東京ドーム。彼の年齢を考えると、もう次は日本では見られないかも。本当に貴重な機会だった。

ちなみに。筆者が生まれて初めて自分のお小遣いで買った洋楽レコードは、ビリーのEP「ストレンジャー」だった。懐かしさのあまり、帰りがけ、CD売り場で、再発売になっていたLPレコード2枚(「ピアノ・マン」と「ニューヨーク52番街」)を買ってしまった。さてしかし。これを聴くにはレコードプレーヤーを買わないとなのだが、苦笑。

(長友 佐波子、2024年1月25日執筆)

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