疎外感

BS日テレの「おぎやはぎの愛車遍歴 」が好きだ。
夫が車好きなこともあって、毎週録画して観ている。

車については詳しくないのでよく分からないが、私も楽しめているポイントが、愛車と共に語られるその人の人生や価値観。だから、ゲストによっては全く興味がないので、早々にスマホをいじり出す時もある。
今までに特に面白く観られたのは、高嶋ちさ子とRIKACO。男性に比べると圧倒的に少ない女性ゲストだが、男勝りの車選びや価値観が共感できて楽しかった。

で、昨日のゲストは、マイク真木。
いかにもやんちゃな車を選んでそうだ。
実際、その通りで、乗用車の他に、キャンピングカーをずっと乗り継いでいた。キャンプが好きで、よく家族で行っていたそうだ。

その家族だが、彼は三回結婚している。一人目の奥さんは前田美波里、その子が真木蔵人なのは有名だが、二人目の奥さんとはさらに二人の男の子をもうけ、今の奥さんとの間には長男蔵人の子と一歳違いの娘がいるという。
番組後半で、離婚して父親が息子さんたちを引き取るのは珍しいですね、と矢作に言われた時、
「あー、そうだね。皆俺についてきたね。」
とさらっと答えた。

二人目の奥さんとは、40代でハワイに6年間移住していた際に離婚したのだが、私はその奥さんの気持ちを想像した。
マイク真木は、いつまでも少年のようで、仕事の音楽、趣味の車やバイクに夢中になってきた。そんなところが彼の魅力なのだが、いざ家族になってみると、息子たちは全員母親よりも父親になついてしまう。そりゃそうだ、男の子はこんなかっこいい親父に認めてもらいたい一心で、どこまでも付いていくだろう。彼らにとって、少年のような父親は憧れで、越えたい偉大な壁で、大好きな友達でもあっただろう。

ハワイでも、サーフィンだ、ドライブだ、と男たちが出かけてしまい、友達も知り合いも少ない土地で、女はどうやって自分の居場所を確保するのか。帰ってきても、男たちは母親が留守中何をしていたかということより、自分たちが今日やってきたことばかり話しているだろう。
その疎外感はやがて、彼らには自分は必要ないのでは?という思いに変わってゆくのではないか。

真木が、二度目の離婚について「気づいたらいなくなってた。」と語ったことが、私の想像を裏付けているような気がしてならない。

妻の疎外感や、息子を虜にする自身の魅力に、全く無自覚なマイク真木。そこが彼の大きな魅力でもあるため、妻は愛する息子たちを置いて、そっといなくなるしか他になかったのでないか。

こういう男の連帯感に対する疎外感って、私も感じることが時々ある。

男友達とお酒を飲むのが楽しくて、男数人と女は私一人だけ、というシチュエーションの飲み会に数多く参加してきた。そういう会での彼らの話は、たいがい本当にしょうもない。ほぼ下ネタ。ていうか風俗の話が一番盛り上がる。
私はどんな下ネタも大好物で、一緒に笑い転げているし、彼らも私を女として見てないから、全然気にせず風俗体験談を披露してくる。

ただ、私が彼らと一緒に風俗に行って、ぼったくられたり、ブサイクなおばちゃんにあたったり、初めてのプレイに挑戦したり、そしてそれをその場で笑い合うことは、絶対にできないのだ。
それが寂しい。別に風俗に行きたい訳じゃないけど、同じ体験を共有できない寂しさ、疎外感。
私も自分の経験として言いたい、「あのブスに2万は払えん、でもどうしてもチェンジとは言えないんだよなー。」
マイク真木の元奥さんの想像をリアルにできたのは、そういう気持ちを味わっていたからかもしれない。

いや、これ、疎外感の種類ぜんぜん違う?
元奥さんも「お前とは一緒にすな!」ってツッコミ入れてるか。

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