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ベトナム航空と私(3)

ニャチャンまでは、ホーチミンで国内線に乗り換えていく。
今回もベトナム航空利用。不安が全くないわけではない。でも、5年の歳月が我々を楽天的にさせていた。やつらも成長してるだろう。

長野県の自宅から成田空港までの道のりは遠い。
その手段の選択肢は、主に3つ。
①自分の車で行く
②新宿までバスで出て、成田エクスプレスで行く
③成田空港までの乗合タクシーで行く

①だと、帰国が深夜便で朝到着のフライトだから、帰りの運転がツライ。
②は、出発が朝9時のフライトだから、空港付近で前泊しないと間に合わない。
結局③に決めたが、実はこの乗合タクシー、自宅は利用可能エリア外。そこで、そのエリア内にある私の会社の支店に、マイカーを駐車させてもらうことにした。そこまでは、高速で40分ほど。7時の空港集合時間に到着するために割り出された、タクシー乗車時刻は午前2時。
いくら遠いとはいえ、本当は5時間もかからない。実はその時、中央高速の笹子トンネルで天井板が落下するという痛ましい事故が起きた直後で、トンネルは車線規制されており、渋滞も予測されたために、集合時刻が早めに設定されたのだ。

2013年元日は午後から仮眠をとり、深夜1時頃自宅を出発。2時に乗合タクシーに乗り換え、いざ成田空港へ。幸い、タクシーの中ではよく眠れた。心配されたほどの渋滞はなく、空港に到着すると、まだ5時くらいだった。まだ、当然カウンターはオープンしていないし、レストランなどもやっていない時間。7時まで、缶コーヒーなど飲みながらひたすら待った。

出国手続きを終え、搭乗ゲート付近のソファに座る。スタバで買ったコーヒーを飲みつつ、これからの旅に期待で胸膨らませる。実は、海外旅行で一番好きな瞬間だ。空港集合時間に間に合わなかったり、パスポートをなくしたり、スーツケースの鍵を忘れたり、旅行前に良くみる悪夢は実際には起こらなかった。(スーツケースの鍵は実際忘れたことがある)ちゃんと飛行機に乗れる、と確信できるその瞬間。

8時半頃、搭乗開始。座席に着き、荷物を収めた。しかし、待てどくらせど機体は動かない。あれ、どうしたんだろ?と疑問を持ち始めた時、アナウンスがあった。機材トラブルのため、いったん降りろという。仕方なく、また荷物をまとめ、ターミナルに戻った。

それから、また待機時間がスタート。アナウンスはあるが、スタッフも混乱しているのか、正確な情報がなかなか得られなかった。機材の点検と修理のため、フライトが遅延する、ということは分かったが、どのくらい待つのか、本当に出発できるのか、重要なことが判明しない。

時間が経つにつれ、だんだん不安になってきた。そんな中、航空会社の地上係員が名前をコールし始めた。どうやら、乗継がある乗客はベトナム航空のハノイ便に乗せるつもりらしい。私達も国内線だが乗継がある。ハノイ空港には二度と行かないと決めていたが、背に腹は代えられない。でも、私達の名前は一向に呼ばれない。苛立って、カウンターに詰め寄った。事情を説明すると、係員に「分かりました。確認いたしますので、お待ちください。」と言われた。いったん引き下がったが、全然呼ばれない。待ってられるか、と思い、再度問い合わせた。そこで分かってきたのだが、ハノイ便に振り替えられた乗客たちは、旅行会社のツアーに参加していた人たちで、乗継便までスルーの航空券を持っていたようだ。今回、私は事情があって、ホーチミンまでの航空券と、ニャチャンまでの国内線の航空券を別々に購入していたのだ。それが、ここで仇になるとは。

そうならば、仕方ない。腹をくくって、また待機。12時近くになり、再度アナウンス。15時頃には復旧の見込み、一人1000円相当の金券を渡すので、空港内で使ってください、とのこと。
いや、15時だって!?それじゃ、ニャチャンへのフライトに間に合わない!焦って、妹に電話した。妹の旅行会社で国内線チケットとホテルを手配してもらっていたのだ。すると、彼女はすぐにホーチミンーニャチャン便を確認し、我々の搭乗予定のフライトの後に、もう一便あることを教えてくれた。さらに、ホテルには自分から連絡しておく、と請け負ってくれた。
頼りになる妹である。

それから先は私の仕事。やつらと戦うのだ。
すぐに、カウンターへ行き、再度事情を説明。国内線の次便のフライトに乗れるように手配しろと迫った。それが間に合わない場合、ホーチミンでのホテルも手配してほしい、とも。当然だ。誰のせいで、成田に足止めを食っているのだ。強めに言った。ここ日本で言っておかなければ、現地でベトナム人スタッフは対応してくれないかもしれない。過去の苦い経験がここで生きた。
すると、その要求は受け入れられ、次便の手配ができたと伝えられた。その仕事をした係員は、制服ではなくスーツを着た40代くらいの女性で、いかにも仕事ができそうな雰囲気だった。信用できるだろうと思ったが、そこはベトナム航空である。ホーチミンで覆されるかもしれない。口頭の約束では心配だから、ホーチミン空港で見せられるよう何か証拠書類をくれと言った。彼女は快く対応してくれた。

その後は、少し安心して、もらった金券でうどんを食べた。午後になり、金券が追加されたので、ホテルで食べようと売店でお菓子も購入。
いつも思うが、こういう時、欧米人は立派だ。怒ったり、イライラしたりせず、床にどっかり座って、iPadをいじっている。その姿は落ち着いていて、とても余裕があるように見える。多くの日本人のように、スケジュールがタイトな旅行をしないからだろうか。羨ましい。でも、「旅の貧乏性」の私には到底マネできないだろう。

14時半。定刻9時から大幅に遅延して、成田を飛び立った。
5時に空港に到着してから、なんと10時間近くたっていた。ベトナム航空の仕打ちに腹は立ったが、その頃には出発できただけで、御の字という気持ちになっていた。
ちなみに、機材トラブルで、部品の交換が必要だったが、空港になく取り寄せていたため時間がかかったらしい。しかし、同機でベトナムから飛行してきた後、成田の整備員が見つけてストップがかかったのだ。正確には、共同運航便だったから、JALの整備員がトラブルを発見したのだ。おいおい、ベトナム航空だけだったら、どうなってたんだよ!?とちょっとぞっとした。やっぱ、ダメなの、やつらは。

結局、ホーチミンで無事国内線に乗り換えることができ、夜、予約したリゾートホテルに到着した。そのホテルは素敵で、スタッフの対応も素晴らしかった。本来なら、夕方到着して、最初の夜もゆっくり楽しめたはずだったのに、とすごく口惜しかった。

結論。やっぱり、ベトナム航空、嫌いだよ!!

終わり。

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