お礼

お礼を言えない人、っているものだ。

連休のシンガポール旅行のお土産を会社で配った。バラマキ菓子というやつで、特にこだわったわけでもない、マーライオン型のクッキー。
自分の課の人たちには、自ら手渡しで配り、同じ事務所内にある他の課には、ベテラン女性社員に箱ごと渡した。その方に、他の課員に配ってもらったのだ。

すると、たいしたものでもないのに、多くの方にお礼を言ってもらえた。
なかには、「シンガポール行ったんですねー、どうでした?」とか会話の糸口にしてくれる人もいたりして、面倒だけど、やっぱりお土産買ってきて良かった、と思った。

お土産を配ったほとんどの人にお礼を言われたから、逆に言わない人を数えてしまった。
と、女性ではただ一人、派遣社員のKさんには言われなかったな、と気づく。

あー、やっぱりね。

彼女とは、以前にも同じことがあったのだ。
韓国旅行の際、バラマキ菓子以外に、女性全員にフェイスパックを配った。1枚ずつだけど、明らかにお菓子よりは単価は高い。たまたま、席を外していた時に机に置いてきた私も悪かったのかもしれないが、Kさんは一切お礼を言わなかった。

その時は腹が立った。
普通、お土産が机に置いてあったら、誰がくれたのか聞き、その人にお礼を言うものだ、と私は思って生きてきたから。
なんて常識がない女なんだろう、と。
二度とこいつにはお土産はあげない、と。

そして、その事をすっかり忘れて、また今回も同じことになってしまった。
まぁ、今回はバラマキ菓子だけだから、怒りはしなかったけれど。

こういう人=お礼を言えない人、は所詮変わらないのだ。

お礼を言わなかった、言えよ、と人に直接に批判されることは少ないだろう。でも、私のように感じる人は少なくないはずだ。そうやって、自分でも気づかぬうちに、人の好意を受け取り損ねるようになっていく。

これは仕事上でも、私的でも、人との付き合いにおいて、非常に損なことだ。
どんな時でも、「あの人はよくしてくれるから、私もよくしよう」という好意のギブアンドテイクが、物事をスムーズに動かす。
お礼を言えない人は、その恩恵を受けられないのだ。

だって、お礼も言わない人に誰がよくしようと思う?
世の中、無償の愛情なんて、そうそうない。

実際、私は会社の飲み会で、ある人から言われたことがある。
「あなたはいつもお土産のお礼を言ってくれるから、また買ってこようって思うんだよ。」
そんな風に思っていてくれたことに驚き、同時にとても嬉しかった。
その人は、いつも有名な美味しいお菓子を買ってきてくれるので、都度本気でお礼を言っていた。
「ありがとうございます!私、六花亭のバターサンド、すごく好きなんですー。嬉しいです!」
といった感じで。

お土産をもらって嬉しかった気持ちを、お礼を言うことでちゃんと伝えることができるんだ。
それを、あらためて教えてもらえた出来事だった。

どんな些細なことでも、必ずお礼を言うこと。

これからも、このことをいつも大事にしよう。
ありがとう、はホントに魔法の言葉だ。

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