10月④キャロル

美しい。

その言葉をなんのためらいも、てらいもなく、口に出せることは珍しい。
だが、映画「キャロル」のケイト・ブランシェットに、それ以外の形容詞は思いつかない。

あぁ、美しい人。

私は異性愛者であるが、彼女のように美しい人に出会い、セクシーな目線のやりとりなどしてしまったら、たちまち虜になってしまうだろう。作中で、ケイト=キャロルに出会った女性主人公も言っていた。惹かれるのに、男も女もない、と。その通りだと思う。

ただし、肉体関係を持てるか、と想像すると、やはりなかなか難しい、と思う。突っ込んだ話をあえてすると、セックスにおいて、異性に対してはためらわずに口をつけられる場所も、同性にはできない。試したことはないが、多分無理だと思う。自分にどういう性的志向があるか考える時、いつもその事を判断材料にしている。

たまに、変な男と付き合うなら女同士の方がいい〜、とかレズビアンに対して抵抗がないような発言を軽くする女がいるが、それこそ失礼だと思う。

SATCの一場面。シャーロットがレズビアンの女性たちと仲良くなった際、はっきり言われたのだ。「いくら好きでも、肉体関係を持てないなら、あなたとはこれ以上付き合えない」と。
シャーロットが男との不毛な恋愛に疲れて、現実逃避していたことを彼女たちは分かっていたのだ。
だって、好きになった男と仲良くなり、いざ、という時に「君のことは精神的に好きだけど、やっぱり抱けないよ」と言われたら、死ぬほどツライじゃないか!それと同じだよ!!

話が逸れてしまった。
キャロルでは、異性愛者・同性愛者というくくりを超えて、この2人の組合せだから愛し合った、ように見えた。そして、どんな恋愛にも言えるように、ラストシーンで再び始まるようにほのめかされた2人の関係も、永遠に続くかどうかは分からない。

美しい人を堪能する映画、キャロル。
肉体関係は持てなくても、眼福はある。

もう一度言う。
ケイト・ブランシェット、美しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?