11月③ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

ニューヨーク、ブルックリン。
老夫婦が40年暮らしたアパートメントを売りに出そうと決める。エレベーターがない、という一つだけの欠点のために。近年ブルックリンの人気が高まり、地価が上がっていることも要因だ。
それでもいざとなると、迷う。本当に住み慣れたこの部屋を売っていいのか?どうする??

それだけの、たいした事件が起きるわけでもないストーリー。でも、先に言ってしまうけれど、私はこの映画が好きだ。

なんといっても、老夫婦を演じるのが、モーガン・フリーマンとダイアン・キートンという名役者!長年連れ添った夫婦ならではの、相手への配慮や思いやりが随所に感じられる。それが全くわざとらしくない、のがさすが。

黒人男性と白人女性が結婚する事が、今よりもっと困難だった時代に、2人は家族の反対を乗り越え結ばれた。しかし、子供に恵まれず、妻は自分を責める。夫は画家になるが順風満帆とはいかない。
それでも、お互いを心から愛して、理解しあってきた。そんな40年が、回想により描かれる。

家を売ろうと決めたのも、妻は夫が階段を登るのがキツくなってきているのに気づき、心配していたから。夫はブルックリンを離れたくないと思いつつ、妻の思いやりを分かっているから、受け入れようとしている。

夫は本心では家を売るのに反対だから、夫婦は度々衝突する。でも、そんな時も2人は喧嘩を長引かせない。言い過ぎた、と思うとすぐに謝るのだ。お互いに。

私も子供がいない夫婦をやって、12年。
まだ彼らほどベテランじゃないけど、その努力がよく分かる。夫婦2人だけの家庭では、喧嘩や嫌な雰囲気を和ませてくれる人はいない。お互いが気づかうしかない。だから、長引かせないのが大事。後になればなるほど、修復は難しいのだ。
まぁ、私達の場合、謝るのは主に、いやいつも夫なんだけれど。

あと30年たった時、私達もこの映画の老夫婦のようになっていたい。
平和で穏やかな、2人暮らし。
ブルックリンみたいにオシャレでもなく、この先そうなる気配もない田舎だけど、いいじゃないか。エレベーター要らないし。

ちなみに、妻の姪っ子で、不動産ディーラーを演じるのが、SATCのミランダこと、シンシア・ニクソン!
有能だが、お喋りでモーガンに少し嫌がられてるこの役、ピッタリである。ミランダが弁護士辞めて、ディーラーやってるんだ、って聞いたとしても何の違和感もない。
彼女の最後のシーンが、罵り言葉だったのも、SATCファンとしては、最高としか言いようがない!!

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