7月③マイ・ファニー・レディ

偶然が重なりまくって、登場人物が全員つながるコメディ映画。といえば、日本だと三谷幸喜作品。そんな風合いの今作。

ある夜、ブロードウェイの著名な演出家が、ホテルにコールガールを呼んだ。実は女優志望の彼女の身の上話を聞き、コールガールを辞めるなら3万ドルあげる、という。
それをきっかけに、コールガールを辞め、受けた演劇のオーディションで、身分や名前を偽っていた演出家と再会。
その舞台には、彼の女優の妻や、彼の浮気を偶然目撃した俳優(演出家の妻を誘惑しようとしている)も出演していたから、ハイ修羅場。

さらに、コールガールの客でストーカーになった判事のジジィやら、そのジジィに雇われた私立探偵、その探偵の息子でもある舞台の脚本家と、その恋人のセラピストもからんできて、もうひっちゃかめっちゃか。

ニューヨークって、そんなに世間狭いのか?

んなわけねぇじゃん、とツッコミたくなるほど、偶然が重なりすぎる。
大体、演出家も俳優も判事も、コールガールを呼ぶのに同じホテル使うとか、ディナーで鉢合わせするのも一つのレストランとか、大都会であり得ない。ご都合主義。

それでも、後年女優として成功した元コールガールのインタビューという形式で語られるからか、話はわりとまとまっている。
しかも、彼女が率直で魅力的なので、めちゃくちゃな体験を語っていても共感できてしまう。

「男って皆、結局デートはセックスが目的でしょう?彼氏とセックスしてもお金にならないけど、コールガールならデートしてお金も稼げるから、この仕事するの。」
とあっけらかんと楽しそうに言われたら、うん、そうだね、合理的!とうなづいてしまう感。

きっと監督は、彼女のファニーな魅力を充分に描きたくて、この映画を撮ったのだろう。
それは良く伝わってきた。

ちなみに、常にイライラカリカリしている自己中なセラピストを演じたのは、ジェニファー・アニストン。
フレンズの天然女から比べると、だいぶハッキリとした嫌な女をイキイキと演じていた。

ブラッドピッドに一度でも嫁として選ばれた、というだけで、女としての価値は一生落ちない、って気がするから、こういうハジけた役もどんどんやってほしいな、とちょっと思った。

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