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BTSは実在した。そして限りなく素敵だった。

予想もしていなかった年内のコンサート開催の報に私はうろたえていた。しかも場所はロサンゼルス。はるか昔に初めて長期留学した場所で友達もいるし本来であればワクワクして向かうような場所。でも世の中のありとあらゆることがコロナ禍で変わってしまった今、行くには覚悟と準備が必要な場所になってしまっていた。

ロスまで見に行くには個人的にも乗り越えなければならない大きな状況と葛藤があった。実際にアメリカに入国できるまで、そして会場に入れるまで心配で心配でしかたなくて、パニックになり不安で眠れない夜をたくさん過ごした。仕事も極限まで忙しくどうにかなりそうな日々だった。

それでも12月1日は確実にやってきて、いつしか私の目の前にはアミボムの紫の海が広がっていた。他のコンサートの写真や映像で見たことのある景色が目の前にあることが信じられない。ステージでは次々にMVが流れる中、周りではアミの大合唱が繰り広げられている。まるで公演中なのかと勘違いするほどのテンションでメンバーの名前を絶叫するアミ、満面の笑みで記念撮影をするアミ。5階席もこれ以上ない熱気と期待感と興奮とですでに非日常の空気が広がっている。

オープニングのビデオが始まる。もうすぐ生のバンタンが登場する期待感にドキドキが止まらない。まるで自分の心臓の鼓動が聞こえそうなぐらいバクバクしている。

実は彼らが登場してすぐのことを私はよく思い出せない。でも熱い涙が出てきたこと、叫び続けたこと、コンサートに来たんだという鋭角的な興奮とじんわりとした喜びと感動を同時に噛み締めていたことは思い出せる。高い位置から見下ろす私の前で歌い踊っている人たちが、私が会いたいと恋い焦がれてきたと言っても過言ではない彼らが今そこにいる。本当に存在したんだね。

少しずつ正気を取り戻してBlue & GreyからBlack Swanへの幻想的な変化を見つめる。まるで演劇の一幕のように幻想的で美しい。形を変えていく月の演出も忘れられない。
Boy with Luvでは最後の手のポーズを一緒にする。ああ、楽しい。同じ時間を一緒に過ごしているって感じられるのはこういう瞬間なんじゃないかと思う。家でMVを見て一緒にしてきたポーズをバンタンと自分が一緒にしているなんてやっぱり信じられない。そしてこの曲でコラボしたHalseyがこの日鑑賞しているということで映し出される。出産したばかりだったのに本当に素敵でアミボムを持っている姿があまりにもキュート。Chainsmokersとの共演の頃から見てきたHalseyも来ているなんて本当に嬉しいな。ずっとずっと鳴り止まない彼女への歓声のうちの一人は私だ。

私が彼らを知るきっかけになったDynamiteはやっぱりカッコ良くて最高だった。Butterのビートもかっこいい。編曲も違うし振り付けもアレンジしているけど、ここぞというところの全員での動きが本当に素敵。英語の歌詞なのでこれまでにも増して大声で歌ってしまう。観客全体の合唱も心なしかさらに大きいように聞こえる。5万5千人の歌声が彼らの歌声と重なり合う。世界中から集まったみんなの声が重なる瞬間は、どこの国のどんな人も愛する人、歌に対して同じ反応をするんだって改めて確信する時間だった。

2021年の苦しい瞬間を乗り越えるために聞いたSo What。アップテンポでノリノリな曲なのだけど、一緒にSo whatって叫んだ瞬間にびっくりするほどのスピードで涙が出てきた。あなたたちのおかげで辛い瞬間を「だから何?(So what)」って思いながら手放す(let go)ことができた、そんな曲。一緒に会場で歌ったSo Whatで私は2021年の世の中を覆っていた陰鬱とした空気までも一緒に手放したような気がした。

バンタンが初めて1位を獲得した意義深い曲I need you。ループされるメロディがどこか東洋の雰囲気を感じさせる大好きな曲。同じ場所で同じ時間を共有していることが心にまたジーンと響いてきてウルウルしながら聞いた。初期の曲も違和感なく、いやむしろ成長した今の彼らの魅力をたたえながら歌える彼らに本当に感動する。

嬉しくて切なくて大泣きしながら聴いていたら、急にテテとジンが振り付けで遊んでおどけ始めるので、人生でこれまでないぐらい泣き笑いしたSave meも最高だった。

Spring DayはそれまでDynamiteばかり聴いていた私を沼に落とした曲。イントロを聴くだけで嬉しい。画面にはハングルの歌詞も一緒に表示されている。全部はちゃんと歌えないけど一緒に歌おうっていう気持ちを感じて嬉しくなる。正しくはないかもしれない韓国語で一緒に歌う。なぜかうまくリンクされていないアミボムを振りながら歌う。会いたくて会いたくてしかたなかった時を思い出しながら보고 싶다(ポゴシプタ)を一緒に歌う。「会いにいくから。迎えに行くから」という歌詞を勝手に自分とバンタンに重ねていく。Spring Dayを初めて聴いて電車の中にいたのに、涙が抑えきれないって思った2020年の秋、そして韓国語が少しだけ分かるようになって「会いにいくから。迎えに行くから」という歌詞をバンタンと一緒に歌っている自分。1年強の間にこんな展開を迎えるなんて、今思い出しても色褪せない感激が蘇る。

そんな感激が全く醒めないまま聞こえてきたのは、夢にまで見てたAnswer: Love Myself。ジミンがイヤモニを外して歌う。私たちの歓声と歌声、聞こえてるかな。ジンがYou’ve shown me I have reasons. I should love myself.と歌うと一緒に歌う絶叫のような声が周りから聞こえてくる。人生も折り返し地点を過ぎたであろう自分、思ったように行かない人生に時には絶望する自分、そんな自分を愛する理由を教えてくれたこの曲は私にとっての応援歌だ。近くから聞こえてきた絶叫は多くのアミにとってもまた、この曲がそんな存在であることを思い出させてくれた。

メンバーとアミが一体となって行うアミボムのウエーブは本当に綺麗だった。彼らが大好きな時間、風景の中の5万分の一つになれたなんて。心から嬉しいし何度でも体験したい。

エンディングはもちろんPermission to Dance。文字通りの意味を取れば「踊るのに許可はいらない」ってことなのだけど、バンタンとの出会いは、いろいろなしがらみや自分が勝手に思い込みで作ったルールから自分を開放してくれた。自分が好きなこと、楽しいことを追求すれば良いじゃないかと思えていろいろなことに挑戦できるようになった。「〜でなければならない」という気持ちが人一倍強かった私はバンタンからいろんなpermissionを勝手にもらったような気がする。私はアミボムを持ちながらPtDを歌いサビを一緒に楽しく踊った。こんなに楽しくていいんだろうかと思う幸せな時間だった。

こうして私の人生初のバンタンのコンサートが終わった。負け惜しみのように聞こえるかもしれないけれど、5階席から見下ろす豆粒のような彼らでもその姿と歌声は本当に素敵で、アミボムの紫の海は綺麗で、どこか懐かしいようで感動的だった。

2日目の12月2日は今回のLAでの最終日であり、ジンの誕生日まであと2日というタイミング。

会場の外ではアミたちがジンを喜ばせるために、ただそれだけのために、ジンと名前が入ったハートサインやアミボムにかぶせて三日月を作るカバーを一生懸命に作っている。カバーのことは前から知っていたけれど、ハートサインは会場でクリアバッグの中にそれを入れて歩いている人を数多くみかけて、初めてその存在を知った。歩いている人に声をかけて配っている場所まで行ってもらうことができた。それぞれ最初のメントの時、そして最後のメントの時とタイミングをしっかり確認する。

初日よりも少しだけ冷静に、でも興奮しつつ始まったコンサート。炎に包まれた檻から颯爽と出てくる彼らは息を呑むカッコ良さ。(カッコ良さという若干軽い言葉しか出てこない自分の語彙力の貧困さたるや・・・言葉で表したいけど言葉じゃ足りないのだ。言葉を操る職業のはずなのに。)

Fireでは夢にまで見た、ユンギの生ヨンソンシュッケが聞けた!昨日も生で言っていたんだろうか?記憶が飛んでいる・・・。

この日はコメントがとてもよく聞こえて嬉しい。5階席でもものすごく楽しかったけど、エコーがかかるのでコメントの聞きにくさは否めなかったのだ。この日もメンバーが英語を一生懸命に話してくれて嬉しいし微笑ましい。私も韓国語を頑張ろうって改めて思う。

そんな中まずはジンへのサプライズパート1。何も知らないジンに向かって一斉にハートの진を腕を精一杯伸ばして掲げる。なんて楽しいんだろう。何てワクワクするんだろう。メンバーが先に気づいてジンに伝えてくれる。そしてそれが目に入った時のジンの表情。驚きから喜びと感動と涙を堪えるように変わるその表情。ああ、なんて嬉しいんだろう。私はジンのこの表情をずっとずっと覚えているだろう。

ユンギがイヤホンをゆっくりと外すところも、ホビの自己紹介も今回初めて見るのに懐かしい。動画をたくさん見てコンサートに行くアミたちはきっとこういう「初めてなのに懐かしい」という不思議な感覚を味わうのだろうな。

昨日と同じように、でも今日は同じ高さで同じ目線でラップを、歌を、コメントを楽しむ。フロア席だったので間近とは言わないまでも肉眼で彼らが歌い踊る姿を見ることができた。少しでも長く少しでも多く肉眼で見つめていたくて、爪先立ちをし続けて、首が筋肉痛になるぐらい伸ばしていた。変な言い方だけれど7人が実在するんだともう一回確認した。

実は1日目は不調だったアミボムもRepair Boothに立ち寄ったおかげか、しっかりとペアリングされて、私は7色に変わる様子を楽しみながらずっとずっと振り続けた。言葉で直接届けられない想いを彼らが見つめるアミボムに託して。

この日はラッキーなことにメンバーが二手に分かれて乗るトロッコを割と近い距離で見ることができた。もみくちゃにされながら見たホビの光り輝く優しい笑顔とユンギの煽るようなカッコいい仕草が忘れられない。

アンコールの部分が少し違ったこの日。大好きなHomeが聴けて本当に嬉しかった。歌詞が本当に大好きなのだ。
Your love, your love, your love (I miss that)
Your love, your love, your love (I want that)
Your touch, your touch, your touch (I need that)
La-la-la-la-la-la-la-la-la-la, I love it
この部分を一緒に歌える日がこんなに早く来るなんて感激だ。最後のテテのI love itの締め括り方にしびれた。

Microcosmosはやっぱり嬉しくなる。イントロだけでもウルウルする。今年の6月に見た初めてのオンラインでのファンミで大泣きした感動が蘇る。キラキラしたソウルの夜景が浮かんでくる。You got me. I got you. というバンタンとアミがお互いの存在に対して「あなたがいてくれるから」と感じている気持ちが伝わってきてやっぱり最高だった。

この日二度目のジンへのサプライズ(ムーンカバー)も大成功した。紫の三日月があふれる光景は彼の中の忘れられない瞬間になるのかな。序盤のサプライズに続いて感激を新たにしてくれたようだった。そして2つのサプライズに参加できた感動を私は一生忘れない。とても嬉しそうなジンを見て本当に嬉しかったし、何よりこれを企画して準備してくれたアミに感謝の気持ちしかない。なんて純粋な愛の表現の形だろうと思った。好きな人が喜ぶ顔が見たいというそれだけのひたむきな想い。そんな思いの詰まったこのサプライズに参加できたこと、一足早いHappy Birthdayを一緒に歌えてお祝いできたこと、本当に嬉しくてただただありがたい。

そしてColdplayとのコラボ曲My UniverseでChrisが登場。サウンドチェックやリハーサルの音が漏れてきていたので、会場周りにいるアミはこの曲が歌われることを確信していたのだけど、それでもやっぱりすごく盛り上がる。しかもバンタンのシャツを着て登場。いろいろな年齢人種の人たちが一緒にMy Universeを楽しんでいることが嘘みたいで、このコラボの根幹にある想いが体現されているようでじんわり嬉しかった。そしてあくまでもバンタンのコンサートであることに敬意を表してこれといったコメントもなくまるで逃げるようにステージを後にしたChrisの去り際のかっこよさと言ったら!(実は後日Delayed Streamingを見るまで去った瞬間を知らなかった。)

最後の最後のPermission to Danceは笑いながら泣きながらアミボムを持って歌い踊った。いつまでもいつまでも終わって欲しくないそんな時間がこうして終わりを迎えた。

全員のステージでの存在感が圧倒的だった。歌もラップも踊りもコメントも、ただただ実力にあふれていて、同時に素敵だった。

ナムジュンのラップはやっぱりカッコ良くて、そしてリーダーとしての存在感はさすが。Boy with Luvの歌詞をアレンジしてくれてたんだね。そうやって自分の心からのメッセージを入れたアレンジでカッコ良く決めるその実力にまた心を撃ち抜かれる。そして最終日の涙も忘れられない。他のメンバーほど泣く印象のない彼がアミにこうして会えてまた頑張れると話してくれて、感激で涙が止まらなかった。ウリリーダー最高。

ジンはFake Loveの終わりがすごく印象に残った。一人ずつゆっくりと舞台を去っていく時、最後のジンもゆっくりと舞台裏に入っていく。でも正面から見えないところに入った次の瞬間、全速力で走り出す背中を見つめて私は感激していた。見えないところでも走り続けて努力を重ねてくれていることの象徴のように思った。ファンのために恥ずかしいと言いながらキュートなことをしてくれるジンも最高だ。今回もマイクにしっかりと入った美しい声がよく聞こえたよ。생일 축하해!사랑해.

ユンギはやっぱりというか、「やっぱり」の想定を超えてくるぐらいかっこよかった。普段の億劫そうなユンギを知っているだけに、コンサートでのユンギはラップもダンスも圧倒的だった。ユンギって正直知ったばかりの本当に最初の頃はどちらかといえば印象が薄かったのだけど、知れば知るほど激しく好きになる。ラッパー、プロデューサーとしてはもちろんのこと、パフォーマとして最高。惚れるわ。

「コンサートに来るとホソクの女になる人が多い」と何度か聞いたことがあるのだけど、その意味が分かった気がした。指の先まで神経を張り巡らせたような、そして痺れるような踊りから目をそらすことができなくて、ゾクゾクしながら見つめていた。踊っている時の射抜かれるような鋭さとコメントする時の太陽のように周りを照らす穏やかで優しい明るさとのギャップもたまらない。大好きだ。

ジミンはBlack Swanでの優美でしなやかな動きにやっぱりうっとり。髪をかきあげる仕草は当然のごとく素敵だし、高音がやっぱり曲のアクセントになっていてよかったなぁ。あとDNAの영원히 영원히 영원히 영원히 함께니까の直後のところが大好きなんだけど、これを生で見られて感激。そしてコメントもゆっくりと分かりやすいように話してくれるいつものジミンちゃん。ああ優しい。ありがとう。

テテの声の安心感ってなんだろう。包み込まれるような低音と色っぽい高音と、どんな声色も私の全身に染み込んできた。表情で魅せてくれて、歌で聞かせてくれて、決めるところは決め、ふざけるところはふざけて、そして嬉しそうに紫の海を見つめ、紙吹雪が舞い散る様をじっと見つめる姿もとても印象的だった。We purple you.と言ってくれたテテ。We purple you back!

グクは相変わらずかっこよく歌も踊りもビシッと決めてくれていたな。あれだけの運動量でも本当に音程が乱れない。生で見るグクはやっぱり才能の塊のような人だった。耳に心地よいグクの声は甘くて優しくて気持ちが潤うようなそんな気がした。コメントの時ナムジュンの涙を横で見て、少しびっくりした顔で見つめる姿がとても印象に残った。ヒョンを慕う彼の姿を見たような気がして嬉しかったなぁ。

メンバー全員に言えることなんだけど、音源や映像より本物の方が何億倍も良いと思う。もちろんそれは同じ瞬間に同じ空間を共にしている高揚感もあるのだけど、彼らの存在感、発しているエネルギー、大好きなことをしている喜び、アミへの愛情などが伝わってくるからなんだと思う。歌やラップやダンスのクオリティが素晴らしいことは言うまでもない。今回敢えてソロのないきつい選択をしてBTSが何たるかを見せつけるパフォーマンスをしてくれたことに心から感謝し敬意を表したい。

「一緒に声が枯れるまで歌い、アミボムを振り、ジャンプし、踊る。なんて楽しい時間だろう。なんて素敵な時間だろう。一度でいいから見たいとこれまでは思っていたけれど、案の定。終わったばかりなのに、もう会いたい。」それが2回のコンサートを見た私の直後の気持ち。

夢のような時間が終わって今日でちょうど1ヶ月。そして私にとって最高だった2021年が終わりを迎える。夢見ていたバンタンのコンサートに行くことができた。

1ヶ月を経て書いた今回の感想。もしかしたら順番がおかしいところや勘違いもあるかもしれない。でもそれは会場で没入して楽しむことが一番だったから。すべての瞬間を覚えておくことはできなくても、死ぬまで忘れない素敵な瞬間たちが私の中に残った。

ありがとうバンタン。サランへ。우리 또 만나요.


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