見出し画像

【音MDM天】推定スウィーティ☆制作後記(映像演出を中心に)

音MAD DREAM MATCH -天-【音MDM天】でお披露目した音MAD
推定スウィーティ☆」の制作経緯について、考えたことを綴ろうと思います。(おもに映像演出の話)

解説する動画(見てね~)↓↓



音MAD DREAM MATCH -天- ってなに?

2023年9月17日(日)に開催された、音MADバラエティイベントです。
通称「音MDM天」。
(ホームページ→https://otomdm-ten.com/

①40名の音MAD作者がお互いにし指名しあい、20組のコンビを組む。
コンビで合作して音MADを作る。
③完成した20本の音MADを、生放送で流し、優勝を決める。

私は、アンデスさん(https://www.nicovideo.jp/user/47716345)とコンビを組んで音MADを作ることになりました。
コンビ名は「Team C☆」
(アンデスさんが音声担当。Happy Machineryが映像担当。)

かっこいいコンビ絵!
Happy Machineryを描いて下さったのはミーナさん!素敵な立ち絵をありがとう!


KOTOさんの名曲、そして、アンデスさんが作ってくれためちゃ良い音声に
映像を付けさせていただいた私から、映像演出を中心に制作後記を綴ります。


テーマについて

蓮奈理緒が思い描いた理想を描く

今回の動画では、クッキー☆本編、すなわち、【東方合同動画企画】魔理沙とアリスのクッキーKissが本来描いているテーマに沿って音MADを作ろう、となりました。
言い換えると、「淫夢厨にネタにされたクッキー☆」としての文脈を切り離し、蓮奈理緒が意図した通りの世界観の二次創作を描く、ということです。

【東方合同動画企画】魔理沙とアリスのクッキーKiss

本来のクッキー☆のストーリーは「魔理沙がアリスにクッキーを作ってあげる物語」です。
その物語における魔理沙のアリスへの恋心を、KOTOさんの「推定スウィーティ」にのせて描くことにしました。

アンデスさんとだったからこそ、このテーマで作れたと思います。
クッキー☆に精通している、というのはもちろんですが、
「クッキー☆の本質は嫌がらせである」という考えの人とはこのテーマで作ることはできなかったと思います。


クッキー☆本編になかった「心の中」を描く

クッキー☆は、「行動や状況を、順々に説明する描写」の連続で、魔理沙などの「登場人物の心の中の描写」が少ないです。
その心理描写の少なさが、本来のクッキー☆の美しい物語を単調なものにしてしまっています。

「謝っている」という状況は描かれているが、その心の中は深く堀り下げられていない。

そこで、今回作る音MADは、クッキー☆では描かれなかった「魔理沙の心の中」を表現し、クッキー☆本来の物語の美しさを再提起することを目標にしました。


「推定スウィーティ」と「クッキー☆」

推定スウィーティは恋愛曲なのですが、
ただそれだけではなく、クッキー☆という題材にかなりマッチしている楽曲といえます。

星がモチーフとして登場する。

クッキー☆の「☆」とマッチします。

●恋心を歌ってるが、その思考回路が理性的。
恋をする女の子が相手の気持ちや恋の行方を「推定」している。

クッキー☆の魔理沙も頭でっかちに物事を「推定」しながら大胆に行動しています。

推定スウィーティ購入リンク↓


色彩設計

まず最初に、全体の色彩を決めました。
今まではサムネイルは最後に作っていたのですが、
今回は意図的に「最初に」サムネイルを作りました。

サムネイル

サムネイルを作ることで、キーとなる色を決定し、動画全体として調和する色彩を目指しました。

色彩の前にまずは構図を決めます。

構図の考え方

↑の左図のような、基本的な図形のみで構図を決めます。
右上に向かって伸びるラインが、基本的な構図のリズムです。

そこに❤が挟まります(❤が串刺しにされているみたいな感じ)
すると、基本的なリズムに不規則性が生じて、視線が❤にいきます。

また、❤から手前に放射状に光が伸びることで、奥行き感を表現しています。
奥で輝くハートにいるアリスに恋焦がれている魔理沙、という構図です。
斜めのラインの下側に魔理沙、上側にアリスがいて、下目使いな感じで、「想いをどう伝えればいいのかとドギマギしている様子」を表しました。

構図を決めたら、つづいて色彩設計です。

使った色の基本図

まず、キュンとするような恋心を表現したいので、ピンク系の色をメインカラーとして使いました。

メインカラーと、派生させたピンク系統の色

中でもメインとなるのは、ショッキングピンクで、サムネや動画内のタイトル部分、サビでメインに使用しました。
大胆であわてんぼうな魔理沙の性格に合った色だと思ってこのピンクを選びました。(他のピンクはちょっと魔理沙にしては上品すぎる印象)

ただ、ショッキングピンク1色だと、単調でおもしろくないので、少しずらしたピンク系の色も使っています。

もちろん作品によっては、メインカラー1色で突っ張るべきものもありますが、今回は、いろいろなピンクを使うことで、恋心の微妙な変化を表現できるかなーと考え、複数色を採用しました。

メインカラーから、アソートカラーを選択

ピンク系統以外にも、青や黄をアソートカラーとして組み込みました。
メインとなるショッキングピンクに近い明度/彩度の色を選ぶことで、異なる色相ながらもまとまりのある色味になるようにしました。

(今回の動画で定義した)三色相と感情の関係

三つの色相を、魔理沙の感情と紐づけて使いました。

ピンク→恋焦がれる気持ちの色
青→切なさ、わがままさの色
黄→心弾む、ドキドキの色

各シーンで感情にあった色を選択して、絵作りをしています。
(詳しくは、各シーンの解説で。)

また、この3色配色は、「トライアド配色」という配色手法です。
(詳しくは↓の解説を読んでみてください)

「トライアド」にすることで、カラフルで多様性ある配色ながらも、安定感のある調和を取ることができます。


今回色彩で注意したポイント

今回色彩で気をつけた点として、「真っ黒は使わない」ことに気をつけました。
今回目指す色調は「エレガント」「キュート」ですので、真っ黒は使わず、暗めのグレーくらいまで明度をあげて使いました。
真っ黒を使ってしまうと、インパクトが強すぎて「ダイナミック」な印象になってしまうので、真っ黒は避けました。

今回目指した色彩(左)と、避けたかった色彩(右)


【その他に気をつけた点】

●アリスや霊夢の髪色(橙色や茶色)など、物体固有の色は、前述の色彩設計のルールにとらわれず、使いました。

●以上の色彩設計は、あくまでベースなので、色調補正で多少ズレたりは気にしないで作りました。

●色彩のみならず、モーション(動き)やエフェクトなど含めて、
激しすぎず、情報量を増やしすぎないように気をつけました。詰め込みすぎてギラギラした世界観は、クッキー☆本編の雰囲気と合わないためです。

各シーンの演出について

1. 導入のBB劇場シーン

いきなり音MADが始まるのではなく、ドラマを見せてからシームレスに音MADに移行する構成にして、クッキー☆を知らない人でもストーリーを理解できるようにしました。

ここで、本家のクッキー☆をそのまま導入として使うこともできたのですが、意図的に脚本を変更しました。
本家クッキー☆よりも、より魔理沙の感情/心情を細かく描写するためです。

本家よりもだいぶ魔理沙の印象が「しおらしい」感じになりましたが、こうするとクッキー☆の物語の美しさがより引き立つかなと思っての改変です。

この脚本改変がかなり大変で、アンデスさんと何回も話し合って「あーでもないこーでもない」と苦労しました。

また、冒頭シーンはあえて、あまり撮影処理的なこと(色調補正)はせず、クッキー☆本編らしい色味を残しました。

BB劇場から音MADにシームレスに移行する場面です。

魔理沙の胸のドキドキのリズムがそのまま音MADになっていく演出にしました。

ここは音源としては原曲にはない部分なのですが、KOTOさんのライブでの導入MIX音源を参考に、アンデスさんに作ってもらいました。(↓の2:30くらい)


2. 前奏

このシーンは、音MADのド頭ということもあって、インパクトのある絵にしたかったので、「黄色」を基調にしました。
前述の通り「黄色」は「心躍る、ドキドキの色」と定義したように、「今からお菓子を作りに行くぞ」という魔理沙のはやる気持ちとマッチしてるかなと思います。

 また、ここの絵をたくさん勢いよく出す演出は、以下の動画の自己矛盾兄貴の映像演出から着想を得ました。(00:25くらい)

この演出は、絵柄の統一感がないクッキー☆だからこそ映える演出だなと思います。いろんな絵柄が代わる代わる表示されるからこそ楽しいなって。

このシーンは、「ここから魔理沙の心の中に入っていく入口」みたいなイメージです。
真ん中のハートに入っていって、魔理沙の心の中の物語がスタートします。

霊夢は映像としてしっかり登場するのはこの部分のみです。
その理由は、「霊夢が物語が動くきっかけを作ったから」です。

クッキー☆の物語の起点となる霊夢のセリフ

霊夢の「でも、作るのはいつもアリスね。……魔理沙が作ったりとかしないの?」というセリフをきっかけに、
魔理沙は
「アリスに対して愛情表現をしてこなかった」
「アリスからの愛を一方的に受けるままで何もしていなかった」
ことに気づき、物語が動き始めます。

ですので、魔理沙のハートの周りを逆回転で周る霊夢によって、
魔理沙のハートに火を点けたことを示唆する表現にしました。

3. タイトル部分

前シーンから心の中に飛び込んで、魔理沙の心の動きが展開していきます。
タイトルを表示するこのシーンでメインカラーを基調とすることで、この動画全体の印象を決定づけました。

光が差し込んでいる部分だけ、魔理沙が屈折して少し位置がずれています。魔理沙の心の多層的な感じを表現しました。

4. Aメロ

どーやってどーゆー感じで君の なんて言うかなとろけて 甘い存在になるかな

魔理沙が心の中に入って、より深層心理に入っていくイメージです。
ハートの中に入って、より深いピンクになります。

後方の空に映写されたハートの中に、アリスがいます。
動画全体として、このような「ハートを遠景に映写する」表現をちりばめています。
これにより「魔理沙の心に何が映っているのか」を表現しています。
同時に、絵の奥行き感を持たせる役割も果たしています。

心の深層にたくさんのお菓子を想起していますが、
「好きという気持ちをどう伝えればいいか」を、
「どんなお菓子なら喜んでもらえるか」と喩えている
というのが原曲の歌詞の意図だと思ったので、
映像にもたくさんのお菓子を出しました。

CANDYみたいな そういう甘いじゃなくって

「キャンディーの甘さ」は、ストレートな甘酸っぱさという印象なので、CANDYの文字とキャンディがはじけて飴玉にポンッ!と変わるようにしました。

キャンディに埋もれた魔理沙が「んなわけないでしょ!?」と顔を出します。
魔理沙の頭の中で、小さい魔理沙が「ああでもないこうでもない」とせわしく悩んでいるイメージです。

この辺りはピンク系のシーンが続くので、少しずつピンクの色味に変化を持たせて眠くならないようにしました。

別にそれでもいいけど いややっぱりそれだと違うな

黄色い紐みたいなものが、文字に絡まっているのは、
魔理沙が
「どんなお菓子を作ればいいのか迷っている」
=「自分の気持ちをどう整理すればいいのか、とこんがらがっている」
みたいなイメージです。

魔理沙「このクレープ・マリエットってヤツにしようかな」
咲夜「アンタねぇ……そんな難しいの作ろうとしたら、どうなるか分かる?]

このシーンは、クッキー☆本編のセリフの掛け合いを差し込みました。

このシーンを入れたのは、「成長する魔理沙の物語」要素を取り入れるためです。

背伸びして難度の高いお菓子を作ろうとする魔理沙に、
咲夜が「難しいお菓子はやめておいた方がいい」と諭します。

「想いを伝えるのに高度な技術はいらない。シンプルでも愛を込めればきっと相手に伝わるのだ」
という、仲間からのアドバイスを受けて、魔理沙は成長します。

博麗神社に居た時は一人で突っ走る猪突猛進ガールだった魔理沙が、
仲間とともにお菓子を作る経験を経て、少しずつ人の気持ちをおもんぱかることができるようになっていきます。

クッキー☆は、そんな魔理沙の成長の物語でもあるのです。
(借りた本をきちんと返して紅魔館を後にするシーンが、成長した魔理沙を象徴するシーンですね。)

また、このシーンは、「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」のオマージュでもあります。

【東方MV】魔理沙は大変なものを盗んでいきました【IOSYS】 オマージュしたシーン

「魔理沙×アリス」といえば、このMVなので。
魔理沙とアリスの立場が逆ですが、
「恋する主人公と、それを見守る仲間」という構図が同じなので、採用しました。

クッキーみたいなそういう甘いでいいのだ

ここは、原曲の歌詞を改変しています。
「CANDYみたいな」を、「クッキーみたいな」にしました。

歌詞改変によって、
数あるお菓子の中からクッキーを選ぶ
 =自分の気持ちの伝え方を決断する

という流れになっています。

アンデスさんが自然な歌詞改変をしてくれたおかげで、ストーリーの流れにスムーズに馴染んでいると思います。

多分 ゼッタイ ホントに? いや、やっぱりそれだと・・・

Aメロラストのこのシーンで、魔理沙は迷います。
「本当にこのクッキーで思いが伝わるのか?」

そんな不安で揺らめく心を表現するために、ここではピンク、黄色、青の3色が移り変わっていくようにしています。
最後は青になって、Bメロに移ります。

5. Bメロ

ねーそれがダメなら 嫌んなっちゃってもいいよ

Bメロは、Aメロから一転、「青」を基調とした色彩になります。
前述の通り、青は、切なさ、わがままさの色(と定義しました。)

ここでは魔理沙の、アリスに対する「わがままで、少しいじけたような気持ち」を青い空間で表現しました。

この青の空間は、最も深層の心の空間です。

深層心理には言語化された思考は存在しないので、ここだけは歌詞を空間を浮かべずに、テロップで表示しています。

Bメロの音声が特に素晴らしくて、アンデスさんに大感謝なのですが、
アリスのコーラスが深層心理空間に響き渡っている感じがすごいんですよね。

全体に言えることなんですが、原曲は結構電子的なデジタル~な音楽で、原曲のBメロはここまでコーラスが響いていません。
でも、クッキー☆ってお菓子作りの話なので、テーマとしてはアナログなんです。
それを、アンデスさんの音声づくりで、少女の心を克明に想起できるアナログな音声になっていて、良い二次創作的改変だなって思います。

至って正常な判断できてるつもり

ここは、セーラームーンの変身シーンの表現をほとんど借りています。
(動画の16:35くらい)

本家セーラームーンの変身シーンもそうなのですが、
「裸のままの体のシルエットの中に光が満ち溢れている」表現は、
「むき出しの純粋な心」を具現化した表現なのかなーと思っていて、
なので、魔理沙のむき出しの心を表現するのにぴったりかなと思ってほぼそのまま使っています。

Bメロ→サビ への転換

Bメロからサビにかけての転換は、私たちTeam C☆の2人それぞれの過去動画のセルフリスペクトです。

上→ Happy Machinery&マカロニさん の 「Pumpin' Cookies.mov
下→ アンデスさん の 「クッキー☆ボムラッシュ.SSBU

6. サビ

止めてドキドキ 推定スウィーティ

サビは、メインカラーのショッキングピンクを基調に絵を作りました。
それだけだと味気ないので、ピンク、黄、青の小物やお菓子を降らせて、楽しくしています。
(途中、クッキー☆中盤辺りに登場するニワトリと、
推定スウィーティが収録されたアルバム「プラトニックプラネット」のジャケットも降っています。)

煙というか、気流?が様々な方向に流れているのは、
恋する心の揺れ動きを喩えているのと、
お菓子作りに使うクリームとかミルクとか、そういうモチーフを連想していいかな?と思って入れています。

ダンスは、AfterEffectsで、シェイプレイヤーを使ってキャラクターを再構成し、キーフレームアニメーションで動かしています。

AfterEffects上の表示
シェイプレイヤーで構成されている
編集画面はこんな感じ。
パーツごとにキーフレームをポチポチ打って作りました。

MMDモデルを使うこともやろうと思えばできたし、
3Dモデルを自作してダンスを踊らせることも可能でしたが、
クッキー☆本編の絵にできるだけ近い表現を目指して、シェイプで構成することにしました。
(本当は手描きフルアニメーションが理想だけど、技術的、工数的に難しいので無理。)

キーフレームアニメーションする上で、
「Joysticks'n Sliders」という神有料プラグインが大変役に立ちました。
使い方は以下の製品ページに分かりやすく説明されていますので、ぜひ見てみてください。

顔、上半身、下半身をそれぞれJoystickのコントローラーに紐づけて、自然に上下左右に動かせるようにしてから、
それ以外はシェイプレイヤーのパス、位置、回転のキーフレームをぽちぽち打って作っています。

7. 間奏

間奏シーン①

ルーミアから天に向かってハートが伸びていきます。
ルーミアがクッキー☆本編での様々な愛を「祝福」している、みたいなイメージです。

間奏シーン①の配色のイメージ

ここの配色は、バースデーケーキのような配色として、「祝福」をイメージしています。

各ハート内には、クッキー☆本編内でイイ感じになってる2人組が収まっています。

・大妖精×チルノ(×ルーミア)
・霊夢×萃香
・パチュリー×小悪魔
・咲夜×メイリン

それぞれ、クッキー☆本編内で恋愛/友愛など、一定の感情の結びつきを持った組み合わせになっていて、それら全体をルーミアが「祝福」しています。

また、ここでは黄色の紐がほどけています。
「クッキーを渡す」と決断して、自分の想いに迷いがなくなったためです。

間奏シーン②

「忘れてたーー!」の魔理沙と、
うしろには「無理無理!」のミスティア。

クッキーを完成させたはいいけど、本当に思いが伝わるのだろうか
という魔理沙の葛藤を表現しました。(魔理沙が「無理無理!」って言ってるみたいな)

間奏シーン③

魔理沙が紅魔館に入る~クッキーを作り終えて博麗神社に向かう
までを、ダイジェストで流しました。

ここも冒頭のBB劇場部分と同じく、素材の色味をそのまんま使って、「クッキー☆」らしさを生かしています。

冒頭もそうでしたが、高速に表示されると、絵柄がばらばらということがむしろよく活きた演出になっていて、楽しい感じになりますよね。
これはクッキー☆でしかできない表現だなと改めて思います。


間奏シーン③

クライマックス前のシーン。
ここは冒頭とほぼ同じですが、魔理沙が空とぶつかる直前のシーンを背景に写しています。

また、冒頭とは異なり、
「お菓子作りの材料」が消えています。
チョコ、小麦粉、卵はクッキー作りに使っているので、ここではなくしました。

黄色は、心躍るドキドキの色。
魔理沙はクッキーを早くアリスに渡しに行こうと足を急いていたのでしょう。

8. ラストサビ

クッキーが割れる

クッキー☆本編通りに、クッキーが割れてしまいます。

本編では、魔理沙と空が、互いに不注意で空中でぶつかってしまってクッキーが割れてしまいます。(状況の説明のみ)

今回の音MADでは、「早くアリスにクッキーを渡しに行きたい!」という気持ちが先行しすぎて、溢れすぎた感情がこぼれて、ハートが割れてしまう、という解釈です。(心の中を解釈)

ここから曲が転調して、クライマックスになりますので、
映像の色味も大幅に変えています。
具体的には色彩用語でいう「ナチュラルハーモニー」という色遣いにしました。

引用元 https://designsupply-web.com/media/design/5567/

引用した画像の通り、
「黄色」に近い色相の明度を上げることで、より自然/ナチュラルな色味に変わります。

黄色に近い色相を引き上げることで、雰囲気を一変させる

このクッキーが割れるまでは、魔理沙の心の中ですので、精神空間=非現実空間なわけです。なので、黄色近くの明度を抑えめに。

しかしここからは、アリスと出会うシーン、現実空間の話なので、黄色に近い色相を明るくして、雰囲気をナチュラル風味にガラッと変えています。

ラストサビのダンス

ラストのサビです。
ここがクライマックスなのですが、後ろの背景に、アリスの髪色の橙色を入れています。
魔理沙の心の空間にアリスの色彩が混ざって、想いが通じた、ということですね。

また、今回ダンスを取り入れるにあたって、
既存の商業作品などのダンスMVを見漁ったのですが、

ダンスと、リリックアニメーションが共存してる作品ってほとんどない

んです!

※リリックアニメーションとは、音楽に合わせて歌詞の文字がアニメーションして流れてくる表現のことです。

リリックアニメーションの例(脳漿炸裂ガール)


3DアイドルのダンスMVのさきがけも、、、↓

パリピなアニメダンスも、、、↓

実写MVも、、、↓

他にもいろいろ探しましたが、
ダンスとリリックアニメーションが共存する画ってほとんどない!
(共存していても、文字かダンス、どちらかの動きがかなり控えめなことが多い)

おそらく、商業的なものなので、ダンスをしっかり目立たせるためには、リリックアニメーションを一緒に入れるとノイズになってしまう、という発想なんだと思います。(勝手な想像ですが。。。)

しかし今回作るのは音MADですので、ダンスとリリックアニメーションを融合するのに挑戦しました。
エフェクトやテキストアニメをどこまで派手にするか、バランスが難しかったです。

ね、こーしてあわせると

あは、ハート☆

ダンス振り付けについて

ダンスの振り付けは、以下のように、いろんなところから拝借して、足りない部分は自分で踊って補完しました。

ダンス探しは、アンデスさんにかなりの部分協力してもらっています。

可愛さ満点の映像にしたかったので、プリキュアのダンスが多めですね。

本家KOTO様のダンスを完全再現しようとも思ったのですが、KOTOさんは宇宙からやってきたアイドルで、電波的な印象のダンスになっているので、クッキー☆の物語とは少し印象が異なってしまうと考え、一部の採用としました。


さいごに

冒頭に記述した通り、「蓮奈理緒が意図した通りの世界観の二次創作」ではあるのですが、
この動画自体は、淫夢厨にネタにされたからこそ生まれたといえます。

..兄貴や、鯨ビデオ兄貴、駒黒兄貴をはじめとするクッキー☆アニメ素材、
たくさんの兄貴によってつくられたBB素材
自己矛盾兄貴、あんこう鍋兄貴、右る兄貴、誘誘兄貴などの、パーツ分けBBのノウハウ


などなど

クッキー☆MAD13年の歴史(技術の蓄積)があったからこそ、今回の表現ができたし、
その表現を通して、原点である、【東方合同動画企画】魔理沙とアリスのクッキーKiss本来の価値を少しは再現できたかな?と思っています。
(皮肉なものですが。)

この動画を通して、クッキー☆って実は物語自体は美しかったんだって思ってもらえたら幸いです。

音MDM天の放送で見てくださったほとんどの視聴者がクッキー☆にあまり浸かっていない方だと思います。そのような方には、ただの東方のかわいいMVだなーとしか映らなかったと思います。
でも、それでむしろ良かったのかなと思います。

クッキー☆を例のアレジャンルとして楽しんできた人たちに少々の気付きがあれば、それだけで嬉しいなって思います。

【最後に小ネタばらし】
原曲の歌手のKOTOさんは引退されましたが、そのラストシングルは、「BACK TO THE UNIVERSE」でした。

→推定スウィーティ☆のニコニコ動画版のいいねコメントを見てみると・・・?


音MDM天、楽しかった!
かかわったすべての皆さん、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?