「裸一貫!つづ井さん」についてちょっと真面目に話させてくんちぇ〜
※9月13日 ささやかに追記しました。
noteを読んで下さってありがとうございます、つづ井と申します。
これまで「腐女子のつづ井さん」というエッセイ漫画を、全3巻にわたり描かせていただきました。現在は、Crea Webさんで「裸一貫!つづ井さん」というタイトルで連載させていただいております。
そして、応援してくださる皆様のおかげで、「裸一貫!つづ井さん」の方も本日9月11日にコミックスが発売となりました。改めてお礼申し上げます。いつもありがとうございます!
このタイミングで、文章に残しておきたいことがあるため、noteを作成しました。普段こうして長文を書く機会があまりなく、わかりづらい部分もあるかとは思いますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
私が「裸一貫!つづ井さん」の連載を始めるときに、決めたことがあります。それは「自虐をしない」ということです。
私のエッセイを読んでくださっている方には伝わっていることと思いますが、私は20代の未婚の女性で、現在パートナーはおらず、恋愛経験が極端に少ないです。そんな私が自分の日常生活を絵日記にし、沢山の方の目に触れるインターネットに放つ上で、「未婚で」「パートナーがおらず」「恋愛経験が極端に少ない」「女性」であることに関して自虐をするのは、もうやめようか令和、と思ったという話をします。
一般企業に勤めながら描いていた「腐女子のつづ井さん」の連載が終わった後、私は絵日記を描くのを1年間お休みさせていただきました。その間も引き続き働いていましたが、社会人になってからたくさんの大人と社会的な関わりを持つ中で、先述した私のステータス(って表現が正しいか自信ないけどしっくりくる言葉が分からない)を揶揄されることが多くありました。
詳しいことは省きますが、「若い女性なのに彼氏もいなくてかわいそう、寂しいはずだ」といったような言葉(マイルドな表現に直しています)をよくかけられました。初めこそ新鮮にショックを受けたり、「そんなことないです、毎日めちゃくちゃ楽しいです!」と返したりしていましたが、「またまた笑笑」「強がり出ました笑笑」と面白がられるので、やめました。
多くの人が経験するであろうささいなやりとりですが、もう〜メッチャいやでした!「彼氏のいない女性」が毎日ただ幸せである、ということを言葉のまま受け止めてくれる人は(体感として)あまりいませんでした。容姿のことや、他の女性との比較、インドアなこと(インドアええやんけ)なども私にとっては楽しくない形でよく話題にあがりました。
そして私は、「先回りして自虐する」ということを始めました。
最初から「彼氏いないんす〜ヤバ笑笑」「自分マジモテなくて笑笑」の人で行けば、何を言われても大丈Vと思いました。実際それはとても楽で、手っ取り早くウケるし、先手を取って自虐すれば相手に言われるところだったイヤな言葉もぶつけられずに済む(場合もある)し。話の主導権が自分に移り、プライベートに関する話題が少ないターン数で切り上げられると思っていました。次第にこのやり方も板につき、上手いことやれてる、と思っていました。
そういう状態が数年続いた頃、やたら風呂場の排水溝に髪の毛が溜まるな〜換毛期?と思っていたら、まあ今思えば納得なんですが、円形脱毛症になっていました。美容師さんに指摘されて、マジで全然気付いてなかったのでびっくりしました!ストレスたまってる感じですか?と訊かれて、「いえ毎日めちゃくちゃハッピーだと思うんですけど…」と言いましたが、「完全にアレやん笑笑」と思って笑えてきました。愚か.....
「彼氏いないんす〜自分マジモテなくてヤバ笑笑」の人として振舞うことで、数年かけてゆっくり削られていたんだなあと気づき、自虐は私の怠慢だったと反省しました。私が怠けて、思考停止して戦わず、思ってもいないのに「自分ヤバ笑笑」の人でいたことによって、私は「そういう扱いをしていい人」になりにいっていたな...性別や年齢や恋人の有無その他もろもろの項目だけで、私を判断したい人たちが求める場所にみずから収まって、そういう人たちが求める振る舞いをみずからしてしまっていたな…
そっか…
ウチ…………
ゆ る さ ん (爆キレ)
めちゃくちゃ軽んじられとるやないか私笑
自分を許さん こんなに楽しい毎日なのに勝手にへりくだって他人の気分をよくするために勝手に削られて、私がああいう言動を選んでいたことで嫌な思いをした人もいたかも知れないし、「いじってもいい」という土壌を作ってしまったかもしれないし、そして一緒に過ごした大切な友人や私の絵日記を読んでくださる読者の方に申し訳ない、恥ずかしい、情けない…
大反省しました。
そして、今後絵日記を描くにあたってこれは絶対に意識していかなくてはいけないところだぞと肝に命じました。
そもそも絵日記を描き始めたのは、「こういう楽しいことがあったよ〜」という覚え書きのようなものだったので、商業で描かせていただくことになってからも、友人に恵まれまくっていることへの感謝の思いも込めて、意識的に日常の楽しい部分のみを抽出して絵日記の形にしていました。それはずっと変わらないのですが、私が今後意図せず自虐を含んだ絵日記を発表することによって、読んでくれた人が何かモヤっとしたり、自分や周りの状況と照らし合わせて悲しい気持ちになってしまうのはだめだと思いました。「ただ生きてて楽しい」という正直な今の現状を、変に謙遜せずそのまま絵日記にしたいと思いました。
こういった私の考えの変化を、言わずとも理解して下さっていたのが担当編集さんです。ネームの段階で、いつも私より敏感に「このモノローグはつづ井さんの本意ですか?」「体裁を整えるためにこの表現になっていませんか?」(意訳です、もっと優しく穏やかな物言いの方です)と丁寧に指摘してくださいました。担当さんの言葉で、自分でも気付かないくらいに染み付いていた自信のなさや、卑屈な価値観の不自由さに何度も気付かされ、その度に「この方と絵日記本を作れて良かったな〜」と思いました。
言葉を選ぶのに時間がかかってフリーズしてしまう私の話を、いつも穏やかに急かさず聞いてくださって、担当さんが私の担当でなければ、こんなにも「生きるのが楽しい〜!」に全振りの絵日記は作れなかったと思います。ありがチュ(というお話を、校了後直接担当さんにお話ししたのですが、感極まって二人ともお肉を前にして泣いちゃいました。君があまりにも綺麗に泣くから…。)マジマジに人に恵まれすぎているね…。
そして出来上がったのが、「裸一貫!つづ井さん①」です。担当さんが案を出して下さったのですが、とても良いタイトルですよね!「腐女子」の看板も外れ、文字通り裸一貫の私の日常そのものを描かせていただけることも嬉しいし、「女性が楽しく生きている」ことをただ描いたものが、多くの人に受け入れてもらえることの象徴のようで、私は本当に幸せでラッキーだと身にしみて感じました。
実際、今までの絵日記に関してでも、「男なんていらない!という強がりを感じる」「無理してて痛々しい」「推しじゃなくて情熱を向けられる男性を見つければいいのに」等々のご意見をいただくこともありました。私が「楽しいよ〜」と言ったり、楽しかった出来事ばかりを絵日記にしていても、前述のように捉える方は変わらずいらっしゃるのだと思います。どんな感想を抱くのも個人の自由なので、ただ変わらず私の楽しい日常だけを描き続けることを、そういったご意見への回答としたいな…という感じです。楽しいから楽しいって言ってま〜す
それと、担当さんが「裸一貫!つづ井さん」に「Independent(独立した、依存しない、自由な、他に頼らないなどの意)Woman Tsudui」と英題?副題?を付けてくださいました(単行本の表紙に書いてあるあれです)。かっこよすぎてもったいないくらいですが、最初に見たときにこんなに嬉しいことがあるかというくらい嬉しかったです。一番最初に絵日記を読んでくれる人がこれだけ理解示してくれていて、こんな嬉しいことがあるか…happy happy love.
私の絵日記は「アラサー」「オタク」「おひとりさま」などのうたい文句で紹介されることがどうしても多く、これらはまだまだマイナスなイメージとともに語られやすい言葉ですが、そこにカテゴライズされた私が「生きるの楽しいよ〜!」と言い続けることが大切なんだろうなあと最近は思います。そして、いつかカテゴライズされることすらなくなっていけばいいなあと思います。
めちゃめちゃ長くなってしまいました笑笑
「いやギャグマンガなのにそんな深く考えんでも笑」と思われてしまうかな〜楽しんで読んで下さっている方に水を差してしまわないかな〜など心配はあるのですが、私は根が真面目なので、宣誓というか、決意表明というか、こういう気持ちでやっていきます!というのを形に残しておきたかったんです。スッキリした〜!
絵日記「裸一貫!つづ井さん①」本日9月11日発売です!何も考えず、ただ楽しく読んでいただければ、私の抜けた髪の毛たちも報われると思います。
読んでいただきありがとうございました。
令和元年9月11日 つづ井
※以下追記です(9月13日)
こんなに沢山の方に読んでいただけるとは思っておらず、反響の大きさに驚いております。自分の今の思いになるべく忠実に、感情と言葉の誤差を最小限に出力できるように時間をかけた、私にとってすごく大事な文章だと思うので、本文をいじることはしないでおきたいなと思います。
でもちょっとだけこれだけ書かせてね〜いっぱい書きたいことあるけど、蛇足になっちゃうので我慢して一つにします!
私は本文中で「自虐は私の怠慢だったので、もうしない」と書きました。当たり前ですがこれはあくまで私にとっての話なので、「みんなも自虐やめよ!自虐やめたら自己肯定感高まるよ〜!ッシャ!」て話のつもりではないです。価値観を 強要されて いやだった(五・七・五)ので、このnoteを読んで下さった私とは違う価値観の方に、「そうかそうしなければだめなのか、それが令和の‘望ましい生き方像’だとこの人は言ってるのか」と感じさせてしまったのなら、同じ構図を再生産していることになってしまいます。そうなっていたらめちゃくちゃに悲しいなあ、ちがうよ〜と思ってこの文章を書いています。
各々が自分の生活をよりよくするための手法を見つけてこ〜という話だと思います、私にとってはそれが「自虐をやめる」ということでした。その人にとって何が救いになるかなんて当人でもなかなか分からないことだと思います。私は私の話をしています。(あと「自虐」と「謙遜」の違いも難しいけどここではまた別の話ですね)
生きている生身の人間である私は、価値観や考え方が日々変遷していく中で、過去の言動が浅はかで無知なものだったと反省することも多いです。なので、今の私が何を考えて「裸一貫!つづ井さん①」を描いたかを、しっかり今の私の言葉で記録することが必要だと思いました。数年後この文章を自分で読み返してどう感じるのか楽しみやね〜その頃はどうなってるんかなあ私…誠実に生きててね
以上です。読んでくださってありがとうございました!
つづ井
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