「ラルシュかなの家の賜物」 カンミンギョン
ここ『かなの家』には毎日のようにお客様が訪ねてきます。しかも定期的に来られる場合がほとんどです。
ふと、その理由が知りたくて何人かのお客様に質問をしてみました。
質問内容
① かなの家に来てよかったことは何ですか?
② かなの家にまた行きたいと思っている理由は何ですか?
お客様からの返答を紹介します。
① 「ひとりの人間としてありのままに受け入れてくれるってことかなと思っています。かなの家のみなさん自分らしく生きている姿を見て、なんか勇気をもらえ励まされました」
② 「かなの家にいるとなんだか落ち着きます。みんなとー緒に過ごす時間も大切にしたいです。来年もまたかなの家に来たいのでよろしくお願いします」
という返答でした。
もう一人の方からは、
① 「アシスタントやなかまの人たちと親しく話せたこと、生活を共にできたこと。特に、親しいアシスタントの友人ができました」
② 「知り合いができたから会いに行きたいと思ってるからです」
このような回答を頂きました。お客様のご協力に感謝致します」
それではどのような仲間の心情や行動がお客様に好印象を与えたのでしょうか?
ここで仲間の日頃を少し紹介します。
生活介護(活動を主にするグループ)の仲間で本多さんという方がいます。彼はお客様が来るといつも深いハグをして歓迎します。そのハグをもらったお客様は感動して、それが大好きになります。実は、私もその中の一人です。
初めてかなの家に来た時、彼はいつものように深くて暖かいハグで私を出迎えてくれました。その時のことを今でもはっきり覚えています。不思議な暖かさであり、何か心に残っています。
ある時、スコットランドからのお客様がここを訪ねてこられました。本多さんはいつものように深くて暖かいハグで彼を迎えました。スコットランドからのお客様は大変喜ばれ「本多さんのハグすごく好き」と感動して話していました。
また、仲間の野村さんは新しいお客様やアシスタントが来ると、必ずイタズラをして彼らを驚かせる行動をします。彼流の歓迎であり、怖い仮面を用意してびっくりさせたり、ある時はリアルなヘビのおもちゃを投げてその場をにぎわせたり、皆の笑いを引き出します。
このようなかなの家の仲間をみると、自由な発想と率直な自己表現で、自然に人間関係を形成しているようです。
そのやりとりの中でありのままの自分を発揮し、それをみんなに受け入れてもらうことで自身の価値を肌で感じていると思います。
一つの家族としてお互いにこのような関係を築きつつあります。このような流れは、まさにラルシュの目ざすところであり、仲間たちがそうである事を目標に、かなの家の全アシスタントが努力をしています。
私は以前、韓国のソウルにある精神科病院で働いていました。ある時、社会福祉の専門家と話す機会があり福祉分野に関心を持つようになりました。それがきっかけでソウル市内の社会福祉法人でも働くことになり、二つの職場をかけもちましたが、そのような中で私はいつも障害を持つ人達がどのようにしてこの社会で幸せを感じて生きていけるのか悩み考えていました。
ご縁があってかなの家で働くことになり、このコミュニティ生活を通して大きな答え、賜物を頂いたと感じています。かなの家に来て約二年になりましたが、この間、ここで体験したことは[相手の弱さを思いやり包括していくことの大切さ]です。
また、外国人である私にとって一番好きな日本語は“天然”という言葉です。初めて日本に来て“天然”という言葉を学んだ瞬間を覚えています。「何て優しい国だ!」と感動しました。
[足りない部分を可愛く見てくれる文化]に魅了され、日本がもっと好きになりました。知的障害を持つ仲間は皆弱さの程度が違います。知的レベルや身体の不自由さも一人も同じ人はいません。かなの家では、一人一人のニーズに対応しながら支援するように全員が配慮しています。
これから、かなの家を離れることになりますが仲間との出会いは私にとって永遠のものとなりました。アシスタントの方々との出会いにも心から感謝しています。