1つの仮定の下で考える

ブーストの枚数と比率について
まずブーストを採用する意味を改めて見直してみる。一言で言えば1ターン早くプレイするホール呪文とヨーデルが強いから、となる。単純にヨーデル+四ツ牙のブースト枚数が1枚増えるし、先に勝利リュウセイが着地すると相手の行動を縛れる。四ツ牙、リュウセイ、バゴパンなど早く出すことに意味のある常在効果持ちクリーチャーが採用されていて、実際にこれらの早期着地が稼ぐアドバンテージは大きいから、ブーストを採用するのだ。
また、ブーストは相手のブーストについていくのも重要で、相手にのみブーストされてしまうと1ターンの遅れをとることになる。ブーストへの汎用的なカウンターがブーストなのである。
次に問題になるのは何枚が適正枚数なのかということだ。
多すぎると後半戦で弱くなり、少なすぎると序盤の展開が弱くなってしまうことを天秤にかけ、ちょうどいいバランスを(潜りながら)試すべきである。
5コストのカードがデッキの軸であり、ブーストしてそれらのカードを1ターン早くプレイすることでアドバンテージを稼ぐというブースト採用目的を満たすためには殆どの試合で少なくとも後手3ターン目までにブーストをプレイする必要がある。
後手3ターン目までにブーストを引く確率を、採用枚数n枚のブーストを3ターン目(山の上から8枚まで見られる)に少なくとも1枚引く確率、すなわち40枚のデッキからカードを8枚ドローして、そのなかにn枚採用のカードが少なくとも1枚含まれる確率として定義する。
厳密にはブースト+緑マナ(それも多色を考慮しなければならない)だが、緑マナが引けない確率は簡単のために無視する。緑マナが20枚弱入っている以上、緑が1枚以下しか引けない確率は2%程度である。

後手3ターン目のブースト確率の話に戻る。同確率は少なくとも8割を超えるように7枚(81%)は採用したい。5試合に1回何も出来ずに負けるは許容できない。
また、同確率は13枚採用で97%まで上がるので、おそらく13枚以上採用する必要はない。
よってブースト枚数は7-13枚の間で調整することになる。
(もちろん先攻3ターン目にブーストしたい場合を考慮するなら少し違う議論になるが、ここでは最低ラインを考える)
レート1700、勝率7割-すなわち100試合で70試合を勝つことを目標に取る。ブーストできなかった試合の勝率を3割と仮定する。
たとえば3ターン目までのブースト確率が90%-すなわち100試合中90試合でブーストできた場合、ブーストできなかった試合は10試合で、その10試合の勝率が3割なので3試合勝つ想定になる。すると、70試合勝つためには残り90試合で67試合勝つ必要があり、必要勝率は67/90≈0.7444… つまり74%となる。
以上のような計算を一般的に行う。ブーストn枚のデッキで後手3ターン目までにブーストできる確率、及びブーストできた試合で必要な勝率は
n=
8…ブースト確率86%-必要勝率77%
9…ブースト確率90%-必要勝率74%
10…ブースト確率92%-必要勝率73%
11…ブースト確率94%-必要勝率72%

そうなると、ブーストの枠2-3枚を割いて他のカードに回し、ブーストできた試合に8割弱勝てるようにするか、ブーストに重きを置いて7割5分は勝てるようにするか、となる。すなわち2-3枚のカードで勝率を3-4%上げられるかどうか、が問題になる。
実際には、後手3ターン目ブーストは最低ラインであり、安定して勝つためには2ターン目にもブーストしたいことなどを加味すると、上で議論した"ブーストした試合"で勝つためには最低ラインの後手3ブーストのみでは足りないことがしばしばある。そこで、ブーストできた試合の勝率を高める意味でも、必要な勝率を下げるためにも、ブーストカードは多めに採用したほうが良い。

また、他の対面は3ターン目までにブーストできればよいが、対速攻において特に後手で2ターン目にブーストできるかどうかは勝負を分ける。また、最速Nワールドも強い動きになるので、2ターン目にブーストできるかどうかも大切となる。したがって、ひとまずの帰結としては、ブースト枚数は10-12枚で、2コスを可能な限り多く採用する、ということになる。
次にブーストを12枚から減らすかどうかを考える。
例えば前環境のシータNエクスはライフ4ジャスミン4青銅4のブースト12だった。これは青銅に打点の役割があったからだ。
他にも、前環境の刃は2コス8枚に加えて掘師の銀が4枚採用されていた。これはブーストの役割に加え、相手の盤面に干渉できる、刃の有限ループのコンボパーツとして必須だったからだ。また、刃にはクルメル、斬込の哲などその他のブーストが採用されることもあった。これらは刃の貴重な防御札であったり、進化四ツ牙に頼らず刃からマナを加速したり進化四ツ牙の進化元になったり、ブースト以上の役割があったからだ。
すなわち、ブーストのカードがブースト以上の重要な役割を担う場合、ブーストのカードは自然と多い枚数採用される。
ところが、メンチにおいてそれはない。青銅やウルコスはメンチの盤面展開の邪魔になる。3ターン目にブーストしたいゆえにややカードパワーの低い3コストまでのブーストしか採用できず、堀師の銀やクルメル、ライフプランチャージャーのような強いカードは採用できない。
また、マナを伸ばしきった後にパワーカードを叩きつけるデッキではないのでブーストを連打する必要性も刃などに比べると大きくない。したがって、ブースト枚数は12より少なくなる。
また、メンチはマナを利用できるデッキであることも相まってピン刺しのカード1枚で動きが大きく変わるデッキである。そこで、ブーストの12枚目以降よりかは他の切り札を積んだほうが強い。

以上より、メンチにおいて適正なブースト枚数は9-11枚と言える。私とあーくん氏がブースト10枚の構築を公開し、それがテンプレ化しているので現状のメンチはブースト10枚採用が主流となっているが、17弾の私の構築は11枚だったし、別に9枚で困ることも少ないと思うので好みの範疇となる。
前期11枚だったのは、当時最も強かった刃とシータNエクスに加速で追いつくため、という意味合いが強い。その2デッキのブーストが12枚ほど入るので、それに負けないように11枚採用していた。
しかしブースト10枚のメンチが環境を席巻する今、ブースト枚数は9-10で良いだろう。もちろん安定のために11枚でもいい。

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