カードの定性的な評価

元素人格論


カードの強さは自分のアドバンテージを直接伸ばす「元素」と、相手の妨害など間接的なアドバンテージとなる「人格」に大別される。具体的には、元素はドローやブースト、また盤面展開を指す。人格は盤面破壊やハンデス、またパワーの高さ等が挙げられる。

元素カードの例…エナジー・ライト(ドロー)、青銅の鎧(ブースト)、無重力ナイン(盤面展開)など
人格カードの例…ゴーストタッチ(相手の手札を減らす)、ジルワーカ(ブロッカー、相手の盤面タップ)など


どの文明も元素と人格の要素を含むが、得意な分野がある。水文明は例えばバウンスであったりブロッカーを持っていたりする。しかし水のブロッカーは光のそれよりスペックが低い。これは水文明が元素的文明であるがゆえに人格を持つのが苦手だと解釈できる。逆に、光に水ほどドローできるカードはない。

水、自然は元素的であり光、闇は人格的である。火は人格的であるが盤面展開やドローなど元素的な面も強く、またエクストラターンなど元素と人格に大別できない強さを持つ。これらはひとえに主人公カラーであることから特別強くデザインされたカードやテーマが含まれることに起因し、他の文明と同様には扱えない。後述するが、火文明および元素と人格に大別できない強さを持つカードを「生命」と名付けることにする。


カードの中には元素と人格の両方を併せ持つものがある。ドンドン吸い込むナウは山札からカードを1枚手札に加える元素的な性質とバウンスという人格的な声質を持つ。アガピトスは小型の召喚(盤面展開)という元素的な性質と盤面タップという人格的な性質を持つ。特殊な例としてゲキメツはゲキの面が盤面展開の元素を、メツの面が小型除去の人格を持つ。
これらは元素的人格、あるいは人格的元素と呼ぶ。吸い込むはバウンスにドロー効果の付いた元素的人格と解釈できるし、アガピトスは盤面タップしながら展開という人格的元素と解釈できる。ここで、この分類が恣意的であることを注意しておく。すなわち吸い込むの主たる効果を山札サーチと解釈すれば吸い込むは人格的元素となる。この表記揺れを解決するべく、元素的人格と人格的元素は「元素人格」と併せて呼ぶこともある。
この元素と人格という解釈はデッキ単位でも適用できる。青銅などでリソースを稼ぎながら盤面展開しNで手札補充、そしてエクスで盤面展開して殴り切るNエクスというデッキタイプは元素デッキと解釈できる。ハンデスや除去で相手のリソースを削って戦う除去コントロールは人格デッキである。



この元素と人格という考え方のもとでデッキを評価していくとある一つの評価軸が浮かび上がってくる。それは「元素と人格の両立」である。
元素一辺倒であったり、逆に人格一辺倒になるデッキはその片方が弱点になりやすく、逆に強いデッキはこの両方を高いレベルで実現していることが多い。
ブロッカー破壊のない速攻はいくら盤面展開しても小型ブロッカーで苦しい事態になるし、ドローソースのない除去コンは手札が枯れてしまうだろう。

具体例を挙げれば水単リキッドピープル。これはジャバキッド、ハルカス、ブラザーズ、ジャバジャックが元素の部分を、ヴィルヴィスやパラディンが人格を担う。仮にヴィルヴィスもパラディンも抜いてしまえばこのデッキはブロッカー一体で詰む中途半端なデッキだったことだろう。
そして元素一辺倒デッキの例として赤青ジャッキーがある。このデッキは盤面展開には優れているもののバウンスなど人格を担う要素が少なく不安定であり、簡単にコントロールされてしまう。21弾初期には圧倒的に高かった使用率が今では見る影もないほど落ち込んでいるのは、このデッキに人格が足りておらず対応力が低かったことが原因と解釈することも出来る。
逆に墓地ソースはキューブリックを落とす手段が豊富であり、キューブリックを人格として十全に使いこなせたがゆえに最強格の強さを手にしている。



元素と人格による解釈は様々に適用できる。アガピトスは盤面展開とタップという元素人格であることは先にも述べたが、ナーフ前はウルコスを場に出せばマナが伸び、アラゴナイトを出せばタップキル(+アンタップ)ができる。元素元素人格と人格元素人格の択を場合によって選べた、という強さを持っていた。
リュウセイホールは元素と人格の両方の性質を高いレベルで有している。本来は元素カードからしか出ないバゴーンパンツァーや四ツ牙を小型破壊という人格を持ちながら出せるのはありえない話である。

枚挙に暇がないので具体例はこの程度に抑え、最後に元素と人格で解釈できないカードについて考察する。
アガサ、鬼丸覇、アポロ、ボルバルザーク、母なる大地など、元素とも人格ともとれない異常な強さを持つカードがある。これらは、その性質の汎用性の高さと卓越した強さを評し、畏敬の念を込めて「生命」と呼ぶことにする。



以上、カードは「元素」「人格」「生命」の三つに大別される、というのがデュエプレにおける元素人格論の基本であり、これを元素人格論の基本定理と呼ぶ。元素人格論概論としてはここまでの内容を押さえておけばよい。元素人格論続論ではより具体的な例を取り上げながら「生命のパラドックス」など現代の最先端の話題について取り上げるつもりである。

参考文献
https://kancharopoke.hatenablog.com/entry/2022/07/28/122656




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