見出し画像

「福祉国家」、「連帯賃金政策」についてディスカッション(2024/5/15)

高橋美恵子『ワーク・ライフ・バランス』p55~101より
今回は「福祉国家」、「連帯賃金政策」について報告・議論を行いました。

1-1福祉国家

統一された定義はない。
国が実施する社会保障政策(医療、所得、雇用etc.)を用いて、資本主義によって生み出された貧困などの社会的問題に対処し、人々の安定した生活を目指す国家。
また、国の支出に占める社会保障費の割合が高い国を指す。

北欧福祉国家(5カ国)

フィンランド・スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・アイスランド
高い税金福祉事業に利用している
=日本は消費税の税率は低いにもかかわらず消費税の構成比が低い
消費税の税収 ÷ 全ての税収 = 構成比
(法人税 + 所得税 + 消費税 + その他税)

図表1-1
消費者 経済 総研「日本はスウェーデンより消費税多い国?高い 割合をグラフで簡単解説」 https://retail-e.com/syouhizei190603.htmlより作図
図表1-2
同上より作図

原因①:軽減税率(スウェーデン)
     医療費    :ゼロ税率
  食料品・ホテル・外食等:12%
   新聞・雑誌・書籍等 :6%

原因②:実効税率高い
スウェーデンは約17% 日本は約4%
=日本の約4倍も高い個人所得課税を負担する
 (最終的な所得税額÷年収=実効税率)

高税率と低税率のメリット・デメリット

図表1-3
清水亮汰、畠山陽貴、中島瑚央「私たちにとって税率は高いのと低いのではどちらがいいのだろうか」

日本の税収事情

・所得が低い⇒税率を上げると厳しい
・国債が多い
税金の主な使い道(日本)
・医療、年金、介護

参考文献

1-2議論の内容

  • 税が増えると購買率を下げる
    ・税金の使い道や政策を予め明文化することで、貯蓄の重要度を下げさせ (貯蓄しなくても将来大丈夫と思わせる)、国民の財布のひもを緩くする→経済活性化させる

  • 格差を無くした方が貯蓄が減る → 消費増 → 景気回復(低所得者の限界貯蓄性向は低い)

  • 景気回復後に機を見て増税(円安による変化状況を考慮)
    増税と同時に新たな政策を発表していって、増税の悪いイメージを払拭

  • 将来の不確実性⇒貯蓄

  • 税金が安いということは税府が社会サービスとしての役割をあまり果たさないことを意味する。
    → 人々は税ではなく(民間の)保険料という形や、介護に自らの時間を投じる(労働時間の削減を強いられ多くの機会損失がもたらされる)形で自ら、もしくは家族の福祉を負担する。

  • 税金の使用イメージ 公務員・政治家の無駄遣い=使い道の明確化×

  • 与党も野党も減税と財政支出の拡大を主張
    → ポピュリズムの蔓延?

2-1連帯賃金政策

連帯賃金政策(同一労働・同一賃金)

企業の大小にかかわらず、職種別に賃金設定されること(=同一労働・同一賃金)を原則とする
→ 相対的に格差が少ない賃金構造

スウェーデンでの発端

産別賃金交渉体制の展開
→ 男女別建て賃金制度の存在 産業間の賃金格差問題 ホワイトカラー職種・ブルーカラー職種の境界問題 など組合が克服すべき課題を顕在化
補足:ホワイトカラー(白い襟、スーツなど)事務職や企画職などの頭脳労をする人。ブルーカラー(青い襟、作業着など)建設業や製造業などの肉体労働をする人
→ スウェーデンでの労働運動の変化

流れ

機械工業部門が発端
1890s 8つの労働組合が共同で単一の協約を締結(上方移動と協約の全国化)

1910s 各部門へ波及

1920s 交渉・協約が地方レベルから全国レベルへ
組合側の産業別組織化

1930s 全国交渉・協約=産業別交渉・協約 という状態に

流れの意義

1 地方協約レベルに見られた企業間賃金格差が、産業別の全国協約による統一的な賃金レートの設定の下で圧縮された
2 従来子供の数などに応じて賃金に付加されていた家族扶養手当が1920sに大部分廃止(世界恐慌による賃金低下の影響もあり)

問題点

  • 人件費の高騰
    → 雇止めや派遣切りにつながる

  • 正規雇用、非正規雇用の格差の是正
    → 待遇差の不合理性の判断の難しさ

  • 海外は職種単位での実施だが、日本は企業単位に留まる

  • 海外は高い人権意識、人権保障の側面が強い同一労働、同一賃金
    → 当たり前のシステム

  • 日本では差別意識や人権に対する意識が低い
    → どうやって浸透させ、非正規雇用と正規雇用の差を解消するか

  • 日本では2020年4月から不合理な待遇差が禁止された
    均等+均衡
    日本のガイドラインは明確な基準がなく、企業に判断がゆだねられている

参考資料

2-2議論の内容

  • 日本は非正規雇用の割合高 、海外とは違う土台

  • 海外との意識の違い(人種よりも非正規雇用、女性差別)

  • 待遇差とは?
    → 賃金の差、雇用期間の保障、福利厚生

  • 非正規雇用でも、学生バイトなども同一にすべき?(将来性など)(終身雇用が強い日本)(学生アルバイトは日本特有の議論である)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?