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「俺があいつで、あいつが俺で」企画書

【キャッチコピー】
誰が幸せで、誰が可哀そうなんて無い
でもそこにある問題を無視してはいけない

【あらすじ】
暑い夏の日
俺は、自転車を猛スピードで走らせていた。
小学生の頃からダメだと言われていたが、神社横の急階段を自転車で駆け降りる。あと3段。目の前に急に人が現れた。
「やばい!」
もう避けられなかった。

病院のベッドで目を覚ました。
俺はぶつかったやつと入れ替わっていた。

そいつは中学の同級生だった。
教室に隅でいつも本を読んでいる大人しいやつ。
俺はあまり関わらなかった。

そいつはいじめられていた。
そいつの家は貧乏だった。
そいつは認知症の祖母の世話をしていた。
俺は可哀そうなやつだと知った。
でも
そいつは年上の彼女とセックスをしていた。
俺の知らない世界がそこにあった。

【第1話】
 高1の夏休み。
 夏期講習に遅れそうな俺は、急な石階段を自転車で駆け降りていた。
 道に出る直前に人にぶつかりそうになる。
 目が覚めるとそこは病院だった。
 そしてなぜか、俺はぶつかりそうになった相手と入れ替わっていた。
 その相手は中学の同級生。高校は離れたのでこの半年会った事は無い。
 事故の過程を警察に聞いて理解した。自分が誰と入れ替わったのか、
 俺は脳挫傷の重傷でICUに入院していた。
 ヘルメットを被っていなかったせいだ。
 余裕がなさそうな40代の母親という女性が現れた。
 入れ替わったこいつの体より、入院費の心配をするような女だった。
 俺の本当の家族が詫びて、必要な金はすべて払うと言った。
 入れ替わった事実を受け入れられないまま、俺は翌日退院した。
 本当の俺はまだ意識が戻っていない。
 
 こいつの家に帰った。
 部屋で見つけた、落書きされたノートと破かれた教科書。
 そして「いじめの様子が克明に書かれた日記」
 読むだけで切なくなった。
 中学の時もそうだったのだろうか、、、
 部屋の外から声が聞こえる。
 祖母の声だ。俺を呼んでいる。
 恐る恐る部屋に行くと
 「壮ちゃん、おしっこ」
 こいつ、下の世話までしてるのか
 俺は家から逃げ出した。

【第2話以降】
 公園で気持ちを落ち着けようと思った。
 その時、明日好きな子と映画に行く約束をしていたのを思い出す。
 汗だくになりながら、熱心に夏期講習に通ったのも 
 彼女に会いたかったからだ。
 ようやく勇気を出して誘ったデートだったのに。
 キャンセルするしかない。
 連絡しようと思ったが、自分のスマホがないことに気付く。
 彼女の電話番号も覚えていない。。。どうしよう。。。
 そういえば、こいつはスマホ持ってないのか?
 警察から返されたリュックの中を探す。
 大分古い型のスマホが出てきた。
 指紋認証でロックを外す。
 電話帳の登録も20件程度。
 ライン友達も5件ほど。極端に少ないと思った。
 トーク画面を見ると、ほぼ母親とKAZUという人物からの履歴だけ。
 KAZUのトーク画面が未読2になっていたので開いてみる。
 昨日から既読つかないけど大丈夫?
 連絡ください。絵文字はない。
 履歴を見ても、短い用件や挨拶だけ。
 アイコンは猫の写真。
 唯一の男友達なのか?
 返信をした。
 心配かけてすいません。
 昨日事故にあって、今日退院しました。
 
 すぐに返信が来た。
 それは知らずにすいません
 今日行っても大丈夫ですか?
 はい。と返信
 バイト終わりで6時頃行きます。

 KAZUに会えば何か分かるかもと思った。
 そうだおばあちゃん
 急に飛び出して来てしまった。大丈夫だろうか。
 重い足取りで家に戻った。
 
 玄関の前に髪の長い女性。
 こちらを振り向く
 アイドル顔負けの美少女。
 「出かけてたんだ」
 一言発して、慣れた手つきで玄関の扉を開けてなかに入る彼女。
 そうだ、カギを閉めずに出てしまった。
 彼女はすたすたと中に入って、祖母に声をかける。
「おばあちゃん、具合どう?」
 返事がない。寝ているようだ。
 彼女は布団をめくりあげると
「あ~あ~漏れてる」というと
 手慣れた様子で祖母のおむつとパジャマを変えた。
 あっけにとられる俺を一瞥し
「年頃の男の子にはしんどいよね」と言った。
 彼女は手を洗いがら
「事故にあったんだって?大丈夫?」
 と聞いた。
「あ、はい」
「頭打った?」
「あっはい」
「私の事忘れた?」
「いえ、、いや、はい」
「ホントにどうしたの?」
 彼女は急に顔を近づけて、額と額をくっつける
「熱はない」
 この人何なんだ。
 可愛すぎてもう無理だ。
 彼女はさらに唇を耳に近づける
「しよっか」
「えっ!」
 思わず飛びのいてしまった。
 こんな美人が?何をするって??
 まじまじと彼女を見つめた。
 すると鋭い瞳で彼女は言った
「あんた誰?」

 夢中で彼女に説明をした。
 事故にあって、お互いの身体が入れ替わった事
 自分はこいつの中学の同級生ということ
 正直何が何だか分からない事

 彼女は黙って聞いていた
 すべてを話終わると「信じるよ」と言った。
「壮ちゃんはウソつく子じゃないから」
 俺は恐る恐る聞く
「彼女さんですか?」
「・・・友達。いろんな意味での友達」
 彼女は言った。

 彼女は本物のこいつを取り戻すため。
 俺は自分の身体を取り戻すため。
 2人は協力を約束する。

 そして、彼女に助けられながら暮らしていくうちに
 いじめ・貧困・ヤングケアラー・性など
 知らずに暮らしていた問題を目の当たりにする俺
 それらの問題にどう向き合って行くのか?
 ふたりの長い夏休みが始まる。

#週刊少年マガジン原作大賞
#企画書部門

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