へびに噛まれた先生
一ヶ月に一回、先生の所に行って治療を受ける。
でも先生は結構忙しいので、たまに優先順位を変えられてしまうことがある。
その日も、やっと会える日のめどがついて、駅で先生の車を待っていた。
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車を開けてくれた先生の右手が、包帯でぐるぐる巻きになっていた。
「手、どうしたんですか!」
「草刈りしてたら、へびに噛まれちゃったの」
巻かれた包帯の間から、ぱんぱんに腫れた赤い皮膚が見えている。
耐性のない自分にはグロ画像。
「病院行ったんですか?」
「うん、病院と先生(お師匠様)の所に行ったわ」
「あ、神様の力で毒抜きとか?」
「それがねぇ…」
右手首の付け根と腕の方が腫れていたので指はまあまあ大丈夫みたいだったけど、運転ミスが起こりそうで
注意を反らさない為に車の中では黙ることにした。
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治療所に着いて、先生の右手を改めてみると、思った以上にグロくて痛々しい。
へびに噛まれると、毒でこんな風になってしまうのか。
先生が生きていて本当によかった。
「先生、大丈夫ですか?大変なら治ってからでも大丈夫ですけど…」
(訳:怪我していてもちゃんと治療出来るんですか)
「うん、それは大丈夫!」
いつも通り、治療と足圧が始まる。
いつも通り、終わると頭と体がスッキリした。
施術者の体調不良は治療の精度には影響しないか
それとも先生が必要以上に頑張っているか
まだ分からない。
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いつもの治療後のお茶タイム。
車の中で聞けなかったことを聞いてみる。
Q.「お師匠様に、へびの毒を抜いてもらったりしたんですか?」
A.「毒を体から消したりすることは出来ないのよね」
「へぇ(何でも出来ると思った)」
キアリー的なものは出来ないらしい。
「まだ」出来ないだけかもしれない。
(お師匠様は時々パワーアップするらしいので)
「だから、早く良くなるように、免疫力をあげてもらってるの」
「早く治るといいですね」
「早く治ってほしいわ…すごく痛いのよ」
先生は悲しそうに、痛そうに右手をさすっていた。
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お師匠様の所でホイミ(治癒)を勉強している自分。
先生の右手にこっそり手をかざして
「先生の右手の痛みが無くなりますように。腫れがひきますように」
「先生の傷を治してください。お願いします」
と、一生懸命念じてみた。
先生は、何も言わなかった。
自分の力は、気功の先生にさえ気づいてもらえないほど、まだ弱かった。