好かれているから

お師匠様のヘイトスピーチ。

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【なんでこの人に】

「だからさぁ!なんでそうなるわけ!?」

「俺、何回も言ってるじゃん!!」

「いい加減覚えてくれよ!!」

今日も勉強会で、新社会人に言ってはいけない言葉を連発するお師匠様。

毎回のように怒られる人は、申し訳なさそうにうつ向いている。

周りの人達は「いつものこと」といった感じで、談笑している。

怒られている人のとなりの席の自分は、何だか一緒になって怒られている気分になる。

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先生が「お師匠様は怒ると怖い」と言ってたけど、本当によく怒るし、怖い。

更におどかすように

「昔はもっと怒鳴り散らしてすごかったんだから」

「あれでも少しはおとなしくなったほうなのよ?」

「途中で勉強会が中止になることもあったわ」

他メンバーの方々がおっかないことを自分に
吹き込んでくる。

教え子にキレるのは分かる。(理不尽だけど)

でも、客に対して同じように怒ったりするのは、ちょっとだけ違う気がしてきた。

ふと思ってはいけないことを思ってしまった。

神様は、どうしてお師匠様にチカラを貸しているのだろう。

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自分の知り合いも、お師匠様の所に一回来たけどキレられて通うのをやめた。

この前は、自分が洗ったコーヒーカップとおさらを目の前で「そうじゃねぇよ」って洗い直されたし。

そして、短い期間でお師匠様のよくない所を各所で聞いてしまい

いろいろ積み重なって、お師匠様へのヘイトが高まってきてしまった。

この状態で勉強会に行って、治療の過程でもし頭の中を読まれたらヤバいと思い、先生に相談しに行った。

Q.「お師匠様は怒りっぽくて怖がる人もいるのに、どうして神様は協力してくれるのですか?」

A.「確かに先生(お師匠様)は昔からあんなだから、離れる人も多いね。

でも、『神様からは』好かれているのよ」

「神様からは?」

最初、先生の言っている意味が分からなかった。

混乱していると、先生が詳しく話してくれた。

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「人間と神様の考え方や価値観は違うの」

「はい」

「先生はすぐ怒るけど、変な悪口とかは言わないでしょ?」

「多分」

「言っていることは間違ってないんだけど、言い方がどうしてもあぁだから人によっては嫌になっちゃうのね」

「はい」

「でも、神様は先生のことが好きなの。人を助けることができる。努力もしている。だからチカラを貸してくれるのよ」

「価値観が違う…」

「そう」

頭がくらくらした。

そして、自分はなんてちっちゃいんだろうと思った。

人間と神様を比べるのもおかしいけど、勉強できるところは勉強したいと思った。

先生、お師匠様、いつもありがとうございます。

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でも食器の洗い直しは神様と関係無いと思う。