アイスクリームの種類

寒い冬に温かいこたつに包まれながら食べるアイスほどおいしいものはない。アイスを食べながら、ふと裏の表示を見てみると”アイスミルク”と書いてあった。アイスクリームとは違うのか?気になり調べてみた。

アイスクリームの種類
アイスクリームは原材料によって”アイスクリーム”、”アイスミルク”、”ラクトアイス”、”氷菓”の4つに分類される。

アイスクリームは乳固形分が15%以上、乳脂肪分が8%以上のもの。
アイスミルクは乳固形分が10%以上、乳脂肪分が3%以上のもの。
ラクトアイスは乳固形分が3%以上のもの。
氷菓は乳固形分が3%未満のもの。

それぞれのアイスの代表的なものと成分表をまとめてみよう。
アイスクリームの代表は”ハーゲンダッツ”だろう。
無脂乳固形分10%、乳脂肪分10%、卵脂肪分0.8%
原材料名:クリーム、脱脂濃縮乳、砂糖、卵黄、バニラ香料

さすがアイスの王様、シンプルな材料である。
原材料に徹底的にこだわっているからこそ、シンプルな材料でもあれだけおいしく感じるのだろう。

アイスミルクの代表は”ジェラートマルシェ”にしよう。
無脂乳固形分8.2%、乳脂肪分5.5%、卵脂肪分0.9%
原材料名:牛乳、乳製品、砂糖、粉あめ、異性化液糖、卵黄、バニラビーンズ、安定剤(増粘多糖類)、香料、乳化剤

こうしてみると様々な種類の砂糖が添加されていることが分かる。
これは練って食べるアイスになるので、練った時においしくなるように工夫されているのだろうか?

ラクトアイスの代表は”スーパーカップ”だろうか。
幼いころに量がたくさん入っているのでよく買って食べていた。
無脂乳固形分8.5%、植物性脂肪分13.0%、卵黄脂肪分0.5%
原材料名:乳製品、植物油脂、砂糖、水あめ、卵黄、ぶどう糖化糖液糖、食塩、香料、アナトー色素

原材料は多い順に記載されているのだが、2番目に多い材料が植物油脂であった。乳脂肪の代わりに植物油脂を添加させることによって、口当たりやコクを出すように工夫しているのだと思われる。これが安価でたくさん食べることができた秘密だったのかもしれない。

最後は氷菓。
氷菓の代表は”ガリガリ君”だ。
暑い夏といえばガリガリ君。あたり棒のあるなしで一喜一憂した記憶が懐かしい。コーンポタージュ味とかナポリタン味とか攻めた商品はもう出ないのだろうか。
失礼、話がずれてしまった。
原材料名:異性化液糖、砂糖、リンゴ果汁、ぶどう糖、ライム果汁、水あめ、リキュール、香料、安定剤(ペクチン)、着色料(スピルリナ、紅花黄)、酸味料

幼いころはソーダ味だと疑わずに食べていたが、リンゴ果汁とライム果汁、香料によってソーダ味が作られていたことに衝撃を受けた。また、あの青い涼しげな色は天然着色料でできていたのか。さんざん食べてきたにも関わらず新しい発見である。

原料の役割
原材料を調べると、安定剤や乳化剤など牛乳や卵以外の添加物が入っている。添加されているということは商品にとって意味があるということである。添加物の役割についてまとめてみよう。

”乳固形分”は乳製品の中の水分以外の部分のこと。
”乳脂肪分”は乳固形分に含まれる脂肪分で、バターやクリームになる成分。
”異性化糖” 例)ぶどう糖化糖液糖
グルコースとフルクトースを主成分とする液状の糖。砂糖より値段が安く、低温ほど甘みが増すので冷菓によく用いられている。
”安定剤” 例)ゼラチン、ペクチン
アイスクリームミックス中の各成分や気泡を均一に分散させる。アイスクリームミックスに適度の粘性を与えて保水性を良くし、組織を滑らかにする。
”乳化剤” 例)レシチン、グリセリン脂肪酸エステル
脂肪とほかの固形分を細かく均一に分散させ、安定化させる。
”香料” 例)バニラ、果汁
香りを補ったり、改良する。

アイスクリームの組織は、氷の結晶や脂肪球、気泡が細かく均一に分散している状態が良いとされる。この状態だと、同じ温度帯の氷と比較した時に口に入れたときに冷たさを感じさせず、さっと溶けるくちどけのよいアイスになる。この状態を出荷した以降も保ち続けるために安定剤や乳化剤が添加されているのだろう。

アイスクリーム類や氷菓は-18℃以下で保存されるのが一般的であり、この温度帯は微生物が増殖する恐れがほとんどないことから賞味期限の表示が免除されている。(一部の商品では表示されているが義務ではないのだ。)したがって、いつ食べてもらえるかわからないアイスクリームの品質を保ち続けるためにこういった添加物が使用されている。

おいしい食べ方
アイスクリームが溶けてしまった後に再凍結すると、口当たりが悪くなり、おいしくなくなる。これは家庭の冷凍庫の冷凍速度では、アイスクリームが再凍結する際に氷の結晶が大きくなり、じゃりじゃりとした食感になってしまうためだ。また、家庭用の霜取り機能が入っている冷凍庫では定期的に温度が0℃近くまで上昇するので、賞味期限がないからといって長い期間保存していると、いつの間にか食感が悪くなってしまうかもしれない。

やはり、買ったときに食べるのが一番おいしい食べ方なのだろう。
おっと、調べるのに夢中になっていたらアイスが溶けてしまった。

参考
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326M50000100052

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