硬水と軟水の違いについて

 近年、日本の清涼飲料水の市場の中で、ミネラルウォーターの割合が大きくなってきている。
2000年には100万KL程度だった生産量が2022年には446万KLと、20数年で生産量が伸び続けている。そんなミネラルウォーターで私が普段から飲んでいるのが”いろはす”である。今日はそんないろはすについて少し調べてみた。

 いろはすといえば、まず印象に残るのが、薄くて小さくしぼれる計量ボトルなのではないだろうか。コマーシャルでペットボトルをしぼって小さくする場面に憧れて、いろはすを買っていた記憶があるくらいだ。最近その容器がリニューアルされたのをご存じだろうか。前のデザインのものは、薄いボトルに強度を持たせるために溝があったのだが、新しいデザインは水が流れるかのような流線型の形になっている。溝がないため、水が口になだらかに流れ込み、飲んでいて心地よい。また、新しいデザインのいろはすは”しぼる”のではなく、”たたんで”つぶすのだそうだ。こうすることによって、たたんだ後のボトル容積が減少し、さらにその後のリサイクルにおいて効率的に進めることができるようになったそうだ。おいしく飲めるようになったうえ、リサイクルの場面でも効率化が図られるとは、企業努力には脱帽するばかりである。

 いろはすは全国6か所の採水地から採水され、ボトリングされている。つまり、おなじ”いろはす”であっても、採水地によって微妙に成分や味が異なるということである。6か所それぞれの成分についてまとめてみた。

北海道札幌市 清田
硬度:31.8 
100mlあたり
タンパク質:0g
ナトリウム:0.69mg 
カリウム:0.16mg
カルシウム:0.68mg
マグネシウム:0.36mg

岩手県花巻市 奥羽山脈
硬度:27 
100mlあたり
タンパク質:0g
ナトリウム:1.0mg 
カリウム:0.07mg
カルシウム:0.4mg
マグネシウム:0.4mg

富山県砺波市 砺波
硬度:27.7 
100mlあたり
タンパク質:0g
ナトリウム:0.86mg 
カリウム:0.06mg
カルシウム:0.83mg
マグネシウム:0.17mg

山梨県北杜市 白州
硬度:27 
100mlあたり
タンパク質:0g
ナトリウム:1.1mg 
カリウム:0.09mg
カルシウム:0.72mg
マグネシウム:0.23mg

鳥取県伯耆町 大山
硬度:40.3
100mlあたり
タンパク質:0g
ナトリウム:1.1mg 
カリウム:0.46mg
カルシウム:0.71mg
マグネシウム:0.55mg

熊本県阿蘇市 阿蘇
硬度:71.1
100mlあたり
タンパク質:0g
ナトリウム:2.7mg 
カリウム:0.7mg
カルシウム:1.2mg
マグネシウム:1.0mg

こうして比べてみると、思ったより違いがある。(私の舌で違いを感じ取れるかどうかは別として)特に熊本県阿蘇で採水されている水はほかの地域と比べて、硬度が高いミネラルに富んでいることが分かる。

水における硬度とは、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わした数値のことである。
計算式は
硬度=(カルシウム量mg/l×2.5)+(マグネシウム量mg/l×4)である。

日本においては、
硬度0~100mg/Lを軟水、
101~300mg/Lを中硬水、
301mg/L以上を硬水に分けられている。
WHOにおいては、
120mg/L未満が軟水
120mg/Lより大きければ硬水というように分けられている。

軟水と硬水の特徴
軟水の特徴
口当たりが軽く飲みやすい。
硬水の特徴
しっかりとした飲みごたえを感じる。
便秘の解消に効果が期待できるが、飲みすぎるとお腹が緩くなる場合がある。

料理や飲み物による使い分け
出汁
出汁は軟水でとるとうま味成分が引き立ちやすくなるといわれている。
硬水だと、カルシウムやマグネシウムがうま味成分と結合し、灰汁が出やすくなる。
パスタ
パスタは硬水でゆでるとミネラル成分により、麺にコシが出やすいといわれている。
紅茶
硬水を使用すると、紅茶の渋みの原因であるタンニンとカルシウム、マグネシウムが結合し、渋みが抽出されにくくなる。
軟水を使用すると紅茶の成分が抽出されすぎ、渋みが強くなってしまう。
イギリスと日本で飲む紅茶の味が大きく異なるのは、使われている水によるものなのだそうだ。

 全く別の話になるが、海外ではトイレのウォシュレットはあまり普及していないらしい。その理由は海外では硬水の地域が多く、カルシウム成分などが石灰化して詰まり、故障してしまうケースが多くあるからなのだそうだ。

 生活には欠かすことができない水。その成分によって食習慣や生活様式などが大きく変化する。とても面白いことを知ることができた。今度硬水を買って紅茶を入れてみよう。

参考文献
いろはす おいしい水の秘密
https://www.i-lohas.jp/step/effort/


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