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テトを祝うホーチミン/プラス8%のGDP成長

<テトを祝うホーチミン>
「Chúc mừng năm mới(チュック ムン ナム モイ)」とは、ベトナム語で謹賀新年という意味です。ベトナムでは、旧暦での正月(テト)が実質的な新年として社会的に機能しており、2023年のビジネスカレンダーとしては10連休も多く見られました。
ホーチミン市内では、赤色が最も象徴的な飾り付けとして使われる時期となります。赤は『幸運』『金運』『繁栄』を象徴する色で、黄色も非常に好まれています。みなさまにおかれても、2023年も良い1年となりますように、ホーチミンから祈念しています。

【ホーチミン特別区(7区)テトの飾り付け】

<プラス8%のGDP成長>
2022年を振り返ると、ベトナムの力強い経済成長と回復力が示された1年となりました。
2022年12月29日、ベトナム経済総局は2022年1月〜12月の実質GDP成長率(推計値)を、前年対比プラス8.02%と発表しました。これは、まだコロナ禍であった年初の政府目標を、プラス6.0〜6.5%を上回り、高い成長率となりました。また、ベトナム1人当たりGDPは、初めて4,000米ドルを突破し、4,110ドル、前年対比プラス393ドル、10.5%の増加となりました。

内訳の特徴として、サービス業と製造業を見ると、
(1)GDPの約4割と最大の比重を占めるサービス業(日本:約7割)では、新型コロナからの反発もあり、プラス約10%と最も大きく全体の成長を牽引しました。サービス業に含まれるホテル・飲食部門では、プラス約40%と大幅な回復を示しました。
(2)GDPの約4分の1を占める製造業(日本:約2割)では、プラス8.1%でした。ただし、2022年第4四半期では約3%と成長は鈍化しており、これは世界経済鈍化の影響とみられています(特に、欧米からの受託生産型業種の一部ではリストラが実施されるなど、悪影響が散見されました)。

ベトナムのマクロ経済は、相対的には、かなり良いと思われますが、構造改革が必要な部分、脆弱な部分などの課題もあります。ただし、それらは悪とは限らず、ある意味チャンスでもあることを、ぜひ、知っておいていただきたいです。

<ベトナムの構造改革(魅力と課題)>
ベトナム経済が順調な一因は、好調な輸出にあります。輸出額のGDP比率は約92%と高い水準にあります。ちなみに、日本の輸出依存度は約15%であり、アメリカやブラジルに次いで世界的にも極めて低い水準です。2022年の総輸出額は、前年対比でプラス10.5%の3,713億米ドルと過去最高で、貿易収支はプラス124億米ドルでした。
しかしながら、逆を言えば、これから、より一層のベトナム国内の内需拡大をどのように進めるのか、それと並行して、内需主導型の経済モデル(サービス業のGDPに占める率が一段と伸びることなど。)への移行をどのように進めるのかという観点にも注目が集まりつつあります。これを「障壁」「課題」「ボトルネック」と見る方もいるでしょうし、残された「可能性」「魅力」とも言えるでしょう。 

私のいち企業家の観点からは、ベトナム国内市場に着目した日本企業の進出動向はすでに10年前から始まっており、今後も持続的に続くものと見ています。もちろん、市場全体が大きくなれば、ベトナムのローカル企業との競争、グローバル企業との競争も、さらに一段と厳しさを伴ってくるものと思われます。

ベトナムの人口は、ベトナム保健省によると、2023年4月頃に1億人を突破すると見られています。また、国連人口基金(UNFPA)によると、現在の人口ボーナス期は、2041年まで続くとも言われています。一方で、ベトナムは世界でも類を見ないほど急速な高齢化にも直面していることも事実です。

【ホーチミン ビジネスサポーター 石川 幸】

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