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インドのIT人材をいかに活用すべきか?

<日本におけるIT人材の動向>
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、日本国内のIT市場は、2030年には人材が最大で約79万人、保守的に見ても約16万人不足すると試算されています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、デジタル経済を前提とする、プロダクトやサービスのデジタル化・AIの活用を中心としたビジネスモデルの再定義・変革が求められ、今後、いかに海外の多様な人材、特に海外のIT人材を受け入れていくことができるかが重要になってきます。特にインドは工学系の学生が毎年約150万人卒業し、優秀なIT人材を輩出し続けています。欧米の大手IT企業や、積極的に資金調達を実施するスタートアップ企業を中心にインドIT人材の獲得競争が繰り広げられていますが、2014年から開発拠点を設立していた楽天 以外にも、昨年あたりからラクスルやメルカリ、PayPay、マネーフォワードなどの日系メガベンチャー企業や日系スタートアップ企業もインドに開発拠点を設立する動きが活発化しています。

<世界におけるインド人材の存在感は増す一方>
GoogleやMicrosoft、Twitter、IBMのように米国テック企業の多くでインド出身のCEOが活躍するほか、最近ではテック企業以外でもシャネルの新CEOにインド出身のリーナー・ナーイル氏が就任、スタバの新CEOにインド出身のラクスマン・ナラシムハン氏が就任、イギリスの新首相にインド系のリシ・スーナク氏が選任されるなど、世界中でインド人の活躍が目立ちます。また、アメリカでの留学および米国企業でのキャリアを経てインドに凱旋帰国した優秀な人材がインド国内でスタートアップ企業を立ち上げる動きも多く、インド国内のユニコーン企業数が2022年に100社を超えるなど、大きな盛り上がりを見せています。
 
<インドIT人材の特徴と魅力>
これまで東南アジアでのオフショア開発経験が豊富な関連会社CTOの日本人エンジニアによると、その他の東南アジア地域のエンジニアと比較したときに、インド人ソフトウェアエンジニアは「とても素直でオープンマインド」だと言います。一般的に、インドは日本以上にトップダウン型だと言われ、また、インド特有の忖度をする文化も色濃く残ります。一方で、これまで10年近くインドで複数の会社を経営してきて感じるインド特有の魅力は、トップ自らがチームのメンバーの目線に合わせてコミュニケーションをとることで、オープンでフラットな関係性を築くことができ、かつ、昼夜を問わず会社や事業にコミットしてくれるケースや、力強いパートナーになってくれる可能性さえ感じられる点です。トップダウン型で、忖度もする。仕事に対して真摯に向き合い、言うべきこともストレートに言う。そういったバランス感覚の取れた優秀なインド人材との協働を見据えるに際し、優秀かつ英語が堪能なインド人材が開発プロジェクトにおいてリーダーシップを発揮し、日本人が細部の調整や仕上げ、品質管理、顧客との期待値調整などを担っていくような世界観を想像するに、日本とインドがともに成長できるシナリオがそこに見えているような気がしています。

【「IT人材需給に関する調査」出所:平成31年 4 月 経済産業省情報術利用促進課】
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf

(インドビジネスサポーター 田中 啓介)

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