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EV化の推進と移転価格税制(タイ)

<EV化の推進>
BOI(タイ国投資委員会)は「EVバッテリー生産に関する措置の改正」を承認しました。
先進技術を使用したEVバッテリーと高エネルギー密度バッテリーの製造について、製造品を国内で販売する場合、原材料と必須材料に対する輸入関税の軽減が、2年から5年に延長されます。
現在、年間の自動車販売台数に占めるEV比率は0.5%程度で、EVが普及するタイミングは、まだ先とみている日本勢は、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の展開に力を入れてきました。
その一方で、タイでは中国勢が台頭し、タイのEV市場を、ほぼ独占しています。
中国勢と日本勢とを競わせる狙いもあり、タイにおける積極的なEV化政策はかなり加速していますので、日系企業にとっても好機です。
 
<移転価格開示フォームの提出期限>
移転価格税制は、関連会社との取引を通した利益の移転を防止して、自国の税収入確保を目的とするもので、近年、適用が強化されています。
歳入法第71条2項の基準に該当する会社は、各会計サイクル終了時に、歳入局に移転価格(TP)開示フォームを提出することが必要になります。そのフォームは、会計期間の末日から150日以内に年間法人所得税申告書とともに提出しなければなりません。

対象となる企業は次のとおりです。

(1)下記に関わる会社または法的パートナー=関連会社
・他の事業体の株式資本合計の50%以上を直接または間接的に保有する会社、または法的パートナー(親子会社関係)
・他の事業体の株式資本合計の50%以上を直接または間接的に保有する会社、または法的パートナーに、株式資本の50%以上を直接または間接的に保有されている会社または法的パートナー(兄弟会社関係)
・資本、経営、または管理の面でその事業体から独立して運営できない程度に他の事業体と依存的関係にある会社または法的パートナー

(2)売上高が2億バーツ(約7.48億円)以上
移転価格開示フォームは、紙ベースや歳入局のウェブサイトの電子申請システム(e-filing system)または、財務省のウェブサイトのシングルサインオン・サービスシステム(Single Sign-On Service system)を通じて提出できます。オンラインでの提出は、期限がさらに8日間延長され会計期間末日から158日以内となっており、提出期限に遅れた場合、または、不完全なものや不正確なものを提出した場合、20万バーツ以下の罰金が科される可能性があります。
なお、関連会社の定義については、出資比率50%以上となり、海外・国内を問わず直接及び間接保有を含みます。出資関係図を作成し、普段より、取引実態と照らし合わせながら、現地会計担当者との情報共有を行うことをお勧めします。
 
到着/出発カード(TМ6)の免除>
タイの新型コロナ対策本部(CCSA)は、2022年7月1日以降、Thailand Passシステムの登録と外国人訪問者に対する10,000米ドルの健康保険加入要件の撤廃を承認しました。外国人の訪問者は、タイ入国時に次のいずれかを提示する必要があります。
(1)ワクチン接種の証明書
(2)渡航前72時間以内のRT-PCR検査の陰性証明書
(3)抗原検査の陰性証明書

また、2022年6月27日、タイ国内務省は、空港での混雑を緩和し、観光客のスムーズな入国を再開できるようにするために、外国人の到着/出発カード(TM6)の記入の要件を解除することも発表しました。空路でタイに出入国する外国人は、到着/出発カード(TM6)の提出が免除されます。
この要件免除は、2022年7月2日から施行され、これらの緩和措置によって、観光及びビジネス目的でのタイ渡航が回復してきています。ウィズコロナの状況下におけるタイでの投資・事業展開、経済促進が活性化していくことが期待されています。

(タイ・バンコクビジネスサポーター 辻本 浩一郎)

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