見出し画像

ベトナムの重要な記念日『教師の日』

<べトナム教師の日> 
ベトナムには国で定めた祭日以外に、「女性の日」、「国際女性の日」、「ベトナム教師の日」があり、非常に重要な記念日で道路やレストランが大変混雑します。2022年11月20日は「ベトナム教師の日40周年記念」で、特に多くのセレモニーが全国各地で開催されました。

ベトナム統計総局のデータによると、2021年度学生総数(大学生を除く)は2,181.6万人となり、2017年の生徒数より129.2万人、6.3%増加しています。反面、教員総数は2017年比2.4%相当の27万人が減少し、109.2万人となりました。学生数が年々増加しているにも拘わらず、教員は微増あるいは減少傾向となっており、今後教員一人あたりの負担は、さらに大きくなるものと予測されています。
 
<ベトナム教師の日が定められた歴史>
歴史的にベトナム人は向学心が強く、「井戸の水を飲む際には、井戸を掘った人の苦労を思え」と言うことわざや、「師を尊び、道を重んじる」という教育に対する思想によって、毎年11月20日は、ベトナム教師の日として国民が盛大にお祝いをします。もともとのはじまりは、1953年ベトナムの教員組合が、「世界教員組合連盟」(FISE)に加盟したことに始まり、1957年、教職と教育発展を称えることを目的に11月20日を「世界教員憲章の日」とすることがFISEにより定められました。

1958年当時は南北ベトナム戦争真最中であり、南北に分断されていたベトナムでは、北部地域のみで初の「世界教員憲章の日」の式典が開催されました。その後1975年4月30日、アメリカ軍撤退により南北が統一し、以降11月20日はベトナム全土で式典が実施されるようになりました。国民の要望に応え1982年9月28日、ベトナム政府は11 月 20 日を「ベトナム教師の日」とすることを定め、1982年11月20日に第1回目のベトナム教師の日の式典がハノイ市で盛大に開催されました。
 
<ベトナム教師の日40周年>
40周年となる2022年ベトナム教師の日では、全国各地で様々なイベントが催され、11月19日記念日前日には、ファン・ミン・チン首相がベトナム教育訓練省主催の式典に参列しました。各地方の学校でも個別に式典が行われ、在籍生徒や卒業生、そして現職教員と退職教員も参加し、ベトナム教師の日を祝いました。

【学校での式典の様子】

教師の日で、最も重要なプレゼントは花束です。昔は、一輪の花をプレゼントしていましたが、年々ゴージャスとなり、現在ではバラの花束や、ランの花が流行っています。教師の日は、花束の値段が高騰し、30万~50万ドン(約1,674円~2,790円)、さらに高級なもので70万ドン(約3,907円)以上の花籠も用意され、市内の生花店は大変賑わいます。

【教師の日の花束】

<教員を目指す若者の確保に向けて>
人々から大変尊敬される職業である教員ですが、新卒教師の給与は、幼稚園313万ドン(約1.74万円)、小・中・高等学校349万ドン(約1.94万円)となり、勤続年数により所得も増加しますが、幼稚園では951万ドン(約5.27万円)、小・中・高等学校では1,001万ドン(約5.6万円)までと、その他手当も受けられますが、民間に比べると、まだ大きな差があります。

ベトナム二大都市であるハノイ市とホーチミン市での平均生活費が1,000万ドン(約5.5万円)~1,100万ドン(約6.1万円)と言われる現状から見ても、最近の若者が魅力を持つ給料体系ではありません。そのため、ベトナム政府も公務員給与の改革を進めており、2022年11月11日ベトナム国会において、公務員の最低賃金を2023年7月1日より、20.8%引き上げる決定が行われています。今後の公務員給与体系の改善により、教職を希望する若者が増加し、今後のベトナムの進学率上昇に対応できる十分な教員確保につながることに期待しています。

(ハノイ ビジネスサポーター 中川良一)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?