オトタチバナヒメ様はタチバナヒメ様なので、タッチーと呼んでいいよ、と言ってきたが、そういうわけにもいかず苦笑する。
 とっても自由奔放、喜怒哀楽も大きいお姫様だ。
 小笠原伯爵邸でフルコースを食べるというので、手配したり、アンダーズなどの今どきのお洒落ホテルや、ホテルオークラなどの老舗ホテルなどを泊まり歩く。
 小笠原伯爵邸で出会った、旅をしまくったおばあ様のおすすめで、世界で一番、良いところだったという日光のリッツカールトンに泊まる。日光の二荒山神社にお参りして、奥の瀧尾神社に行く。孤独死して死後3か月経って遺体が見つかった叔父のために、祈った。ここも魂の帰るところだと思う。リッツカールトン日光は二荒山神社の中宮の敷地内にある。中禅寺湖から華厳の滝に流れる川に面して建っている。波動が悪くないわけがない。だからというわけではないだろうが、健全な関係性の人と思われる人達しかいない。へんな言い方になるが、結構、不倫や不適切な関係と思われる人たちが多いのが高級お洒落ホテルなのだが、ここはそれが居ない。波動の低い人には来られないのかもしれない。

 オトタチバナヒメ様が
「私の傷心旅行はロンドンに行きたい。子孫がいる。」
とのことで、ロンドンに行くことになる。しかもビジネスクラス。
「そんな贅沢は勘弁して下さい。」
といっても、大丈夫の一点張り。確かに、最終的にはなんとかなった。振り返れば全部そうだ。お金で困ったことはない。困りそうになったことはいっぱいあるし、今回のロンドンだって、一年で一番仕事の忙しい時に行きたくないと思っても、なぜか、行ける。それが姫神様たちと行動する面白さだ。

 何の目的だろうと思いながらツアーに行くと、必ず理由がある。今回も何しに私は行くのでしょうと思ったツアーで、丹波の白豪寺というところに行った。本殿の奥に行ってみると、何にもない地面にヤマトタケルが正座して座っている。三峯で見たヤマトタケルだ。
「え、修羅場ですか?勘弁して下さい」
と私は叫びそうだったが、他の姫神様に取り押さえられて動けなかった。オトタチバナヒメ様がつかつかと近寄って
「ここに遺骨があるの?」
と聞いたら、ヤマトタケルが
「そう、ここにある。」
という。オトタチバナヒメ様は建部神社では、ヤマトタケルが見つからず、ワーワー騒いで、回し蹴りしたり、暴れて大変だったので、今回もどうなるんだ、と思って見ていたら。
「許す。」
と一言だけ言って、後ろも振り返らずに行ってしまった。私たちも、あわてて追いかけた。姫神様たちが、オトタチバナヒメ様を囲んで、
「来週はロンドンだから、楽しみね。」
とか話しかけている。こっちは大変なんだよーー!と思いながらも、芦屋で刃物だらけの呪詛を解いた時のことを思い出す。オトタチバナヒメ様がどうして、呪詛をかけられたのかは分からないけど、酷い目にあっていたには違いない。ヤマトタケルもそんなに楽だったようには思えない。だから許せというのは難しいのかもしれないけど、あの「ゆるす」の言葉に全てが込められていると思う。オトタチバナヒメ様がヤマトタケルを本当に愛してたんだなと思う。

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