オトタチバナヒメ様の本当のお墓があるのを知ってしまった。行かないで済まされるはずがない。

 仕方ないから、翌週に、大阪に宿泊の予約をする。普通なら新大阪駅の近くにいくらでも予約が取れるのに、取れない。少し場所をずらせば取れるかなと思い、予約を取った。十三という駅の近くだ。
 
 その前に、まずは、目黒にある大鳥神社に行く。オトタチバナヒメ様の夫のヤマトタケルが祀られている。行ってみたが、何にも感じない。
 仕方ないので、足をのばして、浦賀の近くにある、走水神社に行く。オトタチバナヒメ様が祀られている。その昔、ヤマトタケル一行が船で、千葉に渡ろうとしたら、海が荒れたので、オトタチバナヒメ様が海が飛び込んだら、海が穏やかになり、無事に千葉に渡れたという話がある。それやってたら命がいくつあっても足りないだろうと、昔、教科書でこの逸話を読んだときに思ってたが、今も、そう思っている。しかも、走水神社に飾ってあるオトタチバナヒメ様の絵のひどいこと。もっと美人に描いて欲しい。とっても怖い絵だ。身代わりになってくれるという木札があったので、それを3つ買い求める。

 大阪にある十三という街は、「じゅうさん」と読むのかと思っていた。すると、また、後ろから、怒られて、
「違う、よくみろ!」
と言う。道路標識で見てみると、JUSOと書いてある。
「じゅそ?」
と言うと
「じゅそとは??」
と聞くので
「呪詛???」
と聞くと
「そう、呪詛!!」
えーーー、それを分からせるために十三に泊まらせたの??また、呪術回戦なのーー??と疑問で頭がいっぱいになりながら、その日は十三に泊まる。

 翌日、品の良いおばあ様に教えてもらった、オトタチバナヒメ様の本当の墓に行く。芦屋の、海を見えるか見えないかのところにある。空地になっているが、足を踏み入れることは出来ない。朝早く行ったので、誰も居ない。10分間は完全に人払いしてあるということで、呪詛を解く作業に入る。埋められてると思われる所に、呪詛シートのようなものが貼られており、出てこれないようになっている。汚いキッチンに貼られたサランラップのように、べとべとする。そーっと剥がしていく。まだ、下に呪詛シートが貼られている。破れないように、一枚一枚丁寧に剥がしていく。10枚目を超えたころ、ちょっと、分厚いシートを剥がし始める。すると、中の人がとても痛がる。よく見ると、シートから釘のようなものが出ており、それを剥がすと、釘を刺されていた所を傷つけることになり、めちゃくちゃ痛いのだ。痛いのは分かるが、剥がすしかない。何本も何本も釘のような刃物が出ており、今までも痛かっただろうし、剥がすにも痛い。でも剥がすしかない。こちらも、悲しすぎて泣きながら、作業する。なんとか、10分以内に剥がしきり、なかに居た人を自由にする。自由になったのだから、そこに居ればいいものを、付いてくると言う。姫神様たちも反対しない。

 血だらけで、傷だらけのオトタチバナヒメ様をまずは、どこかで治療しないとならない。近くの川に出ると、ここでいいというので、ベンチに座り、霊体を癒すのを待つ。
しかし、このオトタチバナヒメ様は気が強くて、よく喋る。
「私は芦屋のお嬢様だから、明石とかのいけてない姫と一緒にしないでほしい。」
とか悪口が止まらない。まあ、これだけ喋れるなら大丈夫だと思いつつ、走水神社で貰った木のお札をみると、真っ二つに割れている。しばらくするとオトタチバナヒメ様は
「ねえ、美味しい物食べよう。私、これからは、いっぱい贅沢したい。」
と言い出した。え?贅沢するの??お金どうするの?と疑問でいっぱいになりながら、何か美味しい物を食べるために駅に向かった。


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