山登りした翌日からトルコに行った。なんでか良くわからない。
なんでも、ローマ初代皇帝のお姉さんのオクタビアという女性が行きたいところがあるらしい。そっち方面は、そっちでやってくれや、と思ったが、仕方ない。

 オクタビアの夫のアントニウスがクレオパトラと不倫して、歩いた道が、さも素晴らしいことのように現地のガイドさんが説明する。それを聞いてオクタビアが怒り狂っているとは伝えようがない。

 翌日にはバムッカレの温泉に入る。全ての疲れが吹っ飛ぶような、凄い温泉だ。トルコは料理も美味しいし、若い人が多くて、国民に活気がある。これから発展するだろうなとひしひしと感じる。

 そのあと、カッパドギアに移動して、洞窟ホテルに泊まる。空気が滞留していて怖い。ホテルの受付を根城にしていた子猫が部屋に入ってきて、一緒に寝てくれた。

 イスタンブールに行って、トプカプ宮殿に行く。ふらふら歩いていると、急に人が居なくなる。あれっと思ったら、伊雑宮で起きた現象が起きた。異空間に行ってしまったのだ。
「お預かりします。」
と綺麗な女性が私の身体に触り、いろいろ持っていく。
「このようなお仕事はこれは終わりです。今後、あなたはこのような仕事はしないので、身体が作りかわります。それは幼虫が蝶になる前にさなぎになるように、身体の中身が全て溶けて、作りかわるのです。頑張って下さい。」
とのことだった。

 「お運び」が終わって、どういう身体になるんだ?と思いながら、まあ、いいかと思う。

 空海の墓のツアーのあと、一緒に登山をした人と食事をした。すごく品のいいおばあ様と一緒のテーブルになった。その人が「キエンギ号」について説明してくれた。岩田明という人の本を読めば詳しく分かるのだが、かいつまんで話すと、6000年まえに海岸沿いを航行して日本とシュメールを航海できる船があった。その材料を示した石板が大英博物館にあり、その材料の一覧表をもとに、その船を再現し、航行にほぼ成功した日本人が居たというのだ。それがその本を読めば分かるというのだ。私は、それを聞いて椅子から転げ落ちそうになった。6000年前に、船でエジプトと日本が行き来出来ていたなら、あらゆる歴史の話がぐでんとひっくり返る。こんな凄い情報!なんで知らなかったんだろう!なんで誰も教えてくれなかったんだろう!!気が狂ったように、そのおばあ様に質問しまくった。

 エジプトでイシス神殿を出た後、アメンホテプ3世について考えながら旅行していた。その息子のアクイアテンが宗教改革をなし、その妻のネフェルティティは絶世の美女ということくらいしか知らなかった。そのくらいしか学校では習わなかった。旅行中、響いてくる声は、アメンホテプ3世の妻は日本人だった。子供のころ、隣国のミタンニに幼女に出され、教育を受けて、妻になった、という話だった。もう、それマンガの設定じゃん、と思ったが、その時の話をつらつら聞かされた。でも、信じることが出来なかった。陸路で日本の幼女を連れてくるのは不可能だと思ったからだ。でも、キエンギ号の話が事実なのだから、それも可能になる。自分の中の信じてたもの、学んだと思ってたこと、真実だと思ってたことが、ことごとく、打ち砕かれてしまった。

 トルコを歩きながらも頭の中はキエンギ号でいっぱいだった。ツアーで一緒になった人達にも話したら、
「夢のある話ですねえ。」
なんて言って盛り上がった。

 その品のいいおばあ様の爆弾はそれだけでは済まなかった。
「オトタチバナヒメ様の本当のお墓に行ってきました。」
というではないか。参り墓と埋め墓の両墓制を採用するなら、いくつか墓があるのは不可能ではない。しかも爆弾発言は続く。
「オトタチバナヒメ様は弟という文字が入りますけど、つまり、弟の妻のタチバナヒメということです。」
とこともなげにしゃあしゃあと言う。
「え??元祖、不倫??」
と言うと、また、品良く笑ってごまかされてしまう。確かに、その時代は今とは結婚制度も違うだろうし、不倫と片付けるのは良くないのかもしれない。でも、タチバナヒメではなく、オトタチバナヒメ様と後世に名を残される理由があるのだろう。
 そういえば、歌舞伎のヤマトタケルでは、オトタチバナヒメとアニタチバナヒメが出てくる。弟と兄の言葉が出てくるのが、とても気になっていた。実は皆、本当のことを知ってたのかもしれない。

 
 

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