白山中居神社は境内がめちゃめちゃ広い。誰も居ないので、とっても静かだ。

 健脚のおばあ様が、
「良いところがあるって知り合いに聞いたの。行ってみましょう。」
というので、添乗員さんに、その旨を伝えて、二人で散策することにした。
入り口の鳥居から入って、川を渡る前に、右手に入る道がある。ちょっと都会っ子には、勇気のいる道だ。おばあ様は関西の田舎に住んでいたという言い方をされていて
「ずっと山で遊んでたから平気なのよ。」
と、すたすた入っていく。案内板もない道をどんどん進むと川の香りがしてきて、急に開けた。そしてそこには、川の上に浮かぶ大きな石。
「なんだこれは!」
と私が驚いてきゃあきゃあ言っていると、健脚な、おばあ様が
「ここに瀬織津姫様を祀ってあるんですって。」
とのこと。瀬織津姫様は殆ど名前の出てこない不思議な神様だ。謎が多いだけに、ファンも多く、瀬織津姫様を追って旅している人にも結構、会った。そのうち二人くらいは、自分が瀬織津姫の生まれ変わりだと言っていた。姫神様たちは、
「そういう世界線と思ったらいいのでは。」
という感じで、別に気にしてない感じだった。コノハナサクヤヒメ様も生まれ変わりを言う人が結構いる。宗教団体として、この人がコノハナサクヤヒメ様の生まれ変わりと言っているというのも聞いたことがある。それは証明のしようもないし、それでいいかなと思う。でも、美人ではないという評価のあるイワナガヒメ様の生まれ変わりは聞いたことがない。もっと言えばクレオパトラの生まれ変わりは10人近く聞いた。誰が本当なんですか?と姫神様たちに聞いたら、クスクス笑って答えてくれなかった。

 川に浮かぶ巨石は、とてつもなくパワーがあるように感じる。川のせせらぎも相まって、清らかだ。ずっと見ていたいと思ったが、おばあ様が
「バスに戻らないとおいて行かれるわよ。」
と言うので我に返った。こんなところに置いて行かれたら大変だ。

当たり前だけど、神社ではお寺と違う死生観だ。死んだら魂が山に還るという考えらしい。それはなかなか素敵な考えだなと思った。こんなに綺麗な山ならアリかもしれない。

 次は長瀞町にある長瀞神社に行ったが、私はあまりピンと来なかった。ここも何も買わなくていいというので、スルーした。
どんどん、川に沿って南下して、洲原神社に着いた。川に面した素敵な神社だ。とても清々しい。川遊びをする子供たちとすれ違う。本殿にはニニギ様とコノハナサクヤヒメ様が祀られていた。冬の白山は寒いから、神様が、ここに下りてきて過ごされるとのこと。
冬には宮司自ら川に入られて禊をされるとのこと。ぜひ、見に来て下さいと仰って下さったが、皆、生返事だった。

川に沿って、鉄道もある。郡上八幡を通る電車だ。とても風情がある。普段の生活は車で移動するので、電車は使わないとのこと。それぞれの駅舎が、また素敵だ。電車で、また、来るのもいいかもしれない。

白山三馬場はとても一日で回れるものではなく、途中、スキー用のホテルに宿泊した。ホテルに着く前に近場の立ち寄り温泉施設に寄った。水が良い所の温泉は本当に良い。体の芯から温まる。

 これで白山をみっちり廻って、やれやれと思って、当分はゆっくり出来るかしらん、などと思っていたら、とんでもない。次は富士山に行け!とのこと。帰りのバスの中で大至急、富士登山のツアーを申し込む。ご来光はどうでもいいので、昼間に頂上に登るコースにする。二泊三日の超ゆっくりコースにする。
 そうなると、急いで富士登山用のグッズも買ったり、借りたりしなくてはならない。
大至急、登山靴を買って、それを履き慣らすために、どこか登山に行かねばならない。

「そうだ、三峯に行こう!」
とCMのようなことを言って、三峯神社と、その奥宮に行くコースを探す。

靴とウエアは買うしかない。それ以外のものは、レンタルで済ませることにした。登山が趣味の友人に相談すると、下着をプレゼントしてくれると言う。女性の友達とはいえ下着を貰うのには抵抗があったが、実際もらってみて、最高のプレゼントだった。全部のパンツを、この登山用に替えたいくらい、通気性の高い、蒸れない、汗もこもらない、登山にはもってこいのパンツだった。いざ、替えのパンツを買いに行って、びっくりした。結構なお値段するものだった。


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