早口言葉の定番に「新春シャンソンショー」というのがある。実際に見に行くようになった。というのも、取引先の奥様がシャンソンにはまっていて、毎月、発表会を見に行かないといけないからだ。チケット代は5000円くらいするのに、まるで学芸会だ。それぞれにドレスを着て、シャンソンを歌う。しかも、そのシャンソン教室の男性の先生を取り合って生徒さんたちの小競り合いがあるので、その愚痴も聞かないといけない。姫神様たちに、これは良くないのではと聞くと
「これは修行です」
と言われてしまった。
「何の修行ですか?」
というと
「もともと大奥とか、後宮とかは、きちんと厳正なルールがあり、修行の場だった。今の人の考える切り取り方でなく、何のための仕組みかを理解すると、全然違って見えると思う。
ぜひ、混じって鍛えられてきたらいいのでは」
と姫神様たちに大笑いされてしまった。
 いつも、その発表会を聞く仲間にシュッとした男性がいる。彼は上手に皆さんの機嫌をとって次々に保険の契約を取っていく。最近は2025年7月の地震の予言の話をうっすら出して、地震保険を契約させている。
「本当に地震来ると思います?」
と聞くと
「来たら困りますよね」
と満面の笑み。凄腕だ。姫神様たちも彼には一目置いていて
「この保険屋さんを見抜けるようになるのが第一歩」
とのこと。私の修行の道はまだまだ長い。今後は結婚制度も変化していくらしいから、頭を柔らかくしておいた方が良さそうだ。

 実は、姫神様たちと旅するようになってからは一度も車を運転してない。自転車すら怖い。理由は、時々、急に、姫神様たちが私の身体を使って行動するからだ。私としては、急に意識が飛ぶような状態になる。危なくてしょうがない。身体が乗っ取られてる間は、少し遠くから自分を見ているような感じになる。姫神様たちには、どうか現代の常識の範囲の行動をしてくれとお願いしてあるが、やんちゃな女神様が勝手に喋ったりするときは本当に困る。私のキャラクターと違うから、友人などは気づいてくれてもいいのでは?思うけど、だれも気が付かない、私の言動と勘違いされる。
私に姫神様たちが乗っかっていると知っている人には、姫神様たちが勝手に喋っているときには「私じゃありません!」と口をはさむようにしている。でも、ほとんどの人には、それを説明出来ないので困りものだ。皆さんはどうやって対処しているのだろう。


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