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娘が自称守り神なおじさんに出会った話

初めまして。鳩愛です。普段はエブリスタさんアルファポリスさんでBL小説を書いております。
趣味はレジンアクセサリー作りと庭いじりです。
健忘録として、昨日娘らが遭遇した印象深いおじさんのお話を書こうと思います。

師走の夜。娘らが帰宅のため駅に向かって歩いている時、がちゃんって音がして振り返ったらおじさんが自転車と共に倒れていたらしいです。
お仕事用の鞄が吹っ飛んでいましたが、おじさんは無事。立ち上がって自転車を起こそうとしていましたが……。
何故かできない。何度やっても持ち上がらないようなのです。

それで上の娘が妹をその場に残してタカタカと駆けつけて、自転車をひょいっと起こしました。そして鞄も掴んて手渡しました。

妹視点
妹は姉とおじさんの様子をちょっと離れて見守っていました。おじさんがその場で大きな声で何やら話をし始めて姉が5分ぐらい帰ってきません。

妹は考えました『もしもおじさんとトラブルになった時、姉一人ならばひょいっと逃げられるけど、どんくさい私が行って足手まといになっても困る。てか、姉に犠牲になってもらって私は先に逃げよう(妹よ~(笑)) 母さんに電話繋げて置こう。……出ない。姉の彼ぴ君と電話繋げて置こう』とその場に残りました。

そうしていたらなんとなく、おじさんは怒っているのではなくて姉に何かを一生懸命話しているのだという雰囲気が伝わってきました。
ちょっと言葉を発するのが不自由そうな雰囲気だったようです。
(話を聞いていると下の歯がなかったからだと私は察し)
なのでがっしりした旦那さんと奥様のご夫婦が通りがかって、『何かトラブルか? 助けようか?』と声をかけてくれた時も『多分、大丈夫そうです。ありがとうございます』ととりあえずそのまま待機することにしました。
このご夫婦もお優しい。ありがとうございます。

姉視点
姉は助けた後でおじさんが天を仰いで(ちょっと、大分、間があって)から『貴女はどうして私を助けようとしたんですか』ってデカデカボイスで話し始めたので、反射的に『すみません!』って謝ったらしいです。
ギャルい見た目の娘なので、年より扱いするな系の方なのかと思ったと。
でも違ってまして、下の歯がないおじいちゃんはちょっと喋りづらそうでゆっくりと大きな声で『私は6〇歳(意外と若い)になります。娘は3〇歳。になるけど、貴女のような孫が欲しかった。今どきの若い子なのに……。』と感極まった様子。ちょっと涙声だったので(おじいちゃん(まだ若いけど)人生に何かあったのだろうか。チャリンコ持ち上げたぐらいでこんなに泣くほど感動したとは……。何かつらい思いしてきたんだろうか)と心配になったらしいです。

そのあとおじいちゃんがかけてくださった言葉がとても良く、娘の心を打ったようです。

『貴女は人に親切にすることは当たり前と思っているかもしれないけれど、それは当たり前の事じゃない。当たり前と思える、貴女は素晴らしい』と。

妹は訳あり風のそのおじいちゃんの雰囲気を見ていたので、あとで話を聞いてなんだか感極まって泣いてました(お前もか……)

私は娘を通して話を聞いただけだから臨場感がすべて伝わったわけではないのですが、その場の雰囲気では若い娘たちにとって心震わせる出会いだったようです。

おじいちゃんは最後に『貴女のお名前を聞くのは多分このご時世、ダメでしょうねえ。駄目だと分かっているので言わなくていいです。でも僕の名前を行っておきます。〇〇のおっちゃんです。いつか貴女に困ったことが起きた時、私は必ず貴女を助けます。〇〇のおっちゃんを覚えておいてください』
そういって、自転車に乗ると『ありがとう』といって去っていったらしいです。

『なんか、私の守り神? 妖精さんに会った感じだったんだよね』と娘はちょっと嬉しそうでした。

不思議な出会い。いつかまた再会することがあるでしょうか。
おじさん。娘を褒めてくださってありがとうございます。
面と向かって、人のその『行い』を褒めるということは、素晴らしいことだって私も思います。


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