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記憶喪失BLと聞いたら観るっきゃない「ジャックフロスト」

切ない展開といえばいろいろありますよね。
すれ違い、別れ、死、報われない恋…。そして記憶喪失もそのひとつ。

好きだった相手の記憶すべて、交わした言葉、過ごした時間、相手の好きなところ、あんなこと、こんなこと、ぽかぽかお庭で仲良く遊んだこと。
それをなにもかも忘れてしまうなんて……こんな…こんな…

こんな切なくて悲しいことがゆるされるんですか??!!?!!!!??

ありがとうございます!!!!!1!!!!!1!


最終話まで見終わったのでまとめました~!ネタバレ注意です~




あらま~~~かわいいこと~~~~~って思ってたら後ろの壁にかけてあるやつ気になるけど何??なんでそこに掛けたの?それだけ教えて?




ちょっとみなさん、壁にかかってる無機質を見てる場合じゃないですよ。
圧倒的陽陽陽陽陽陽のふたりを刮目せよ。かなり強い光となっておりますので心臓の弱い方は1日に5秒までと制限をつけさせていただきます。お手は触れないようにお願いいたします。

このイケメンしか着ることが許されない服をこんなにも見事に着こなすふたりが、BLを、しかも記憶喪失BLを演じてそれが1000円ちょっとで見れてしまうなんてどう考えてもおかしい。後から莫大な費用を請求されてもおかしくない。それでも見る。なぜなら私は記憶喪失BLが大好きだから。




王道、それはケンカ別れからの記憶喪失。

ただ好きな相手が自分を忘れてしまうというだけでも切ないのに、ケンカ別れをしてからの記憶喪失って悲しすぎてつまり最高じゃないですか。
いつもならあとから冷静になって、またふたりで話し合って修復することができたかもしれない。でもそれはもう叶わない。
思ってもいない言葉で傷つけたのに、相手はそれさえ忘れてしまった。
つらい記憶を自分だけが持っているという理不尽さと、後悔。
いいんですか?こんなご馳走を。

本田響矢くん演じるイラストレーターの律と、鈴木康介くん演じるサラリーマンの郁哉ふみやが、1話導入から険悪なムードで口論しています。話が早くて助かるぜ。
郁哉から別れを切り出された律は、部屋を飛び出してしまいます。
私は超能力者なのですぐわかったのですが、このあと律が事故に遭います。




記憶をなくした受けはかわいくなる

しばらくの間、律が記憶喪失になっていることに郁哉は気づきません。
病院に駆け付けてくれた郁哉を見て、律はこの時点で自分が郁哉を覚えていないことがわかったはずなのにそれを言わなかったのです。言えよ。
医者の手前、「ルームメイト」と答える郁哉の言葉をそのまま信じる律。
そして郁哉と一緒に徒歩で自宅に帰ります。

思ったんですけど、このときの律にとって郁哉って初対面みたい状態ですよね?それなのにいきなりふたりで帰って生活するってそれって律はべつに平気な感じ?信用しちゃって大丈夫?こわくない?私も一緒に住もうか?

注目してほしいのが、記憶なくしたてほやほやの律がず~~~っと寝起きみたいにぽわぽわしてむにゃむにゃしてて完全におくるみに包まれた赤ちゃんでした。

ところでこのふたり、どっちもかわいいのでどっちが受けか攻めかわからない、というコメントを見かけたのですが、これは息をするより簡単です。
BLでは受けは白のダッフルコートを着るんです。攻めは紺。今日はこれだけでも覚えて帰ってください。


記憶をなくした律は、少しだけ不安をのぞかせながらも、ふんわりと穏やかなままで、郁哉の甲斐甲斐しいお世話もすんなりと受け入れます。
物語を通して郁哉が律との思い出を振り返るシーンが描かれるのですが、とにかくもう律という人間が魔性すぎて恐ろしいです。
天性の甘え上手で、懐に入るのもうまくて、どんなわがままでも許してしまいたくなる。
無自覚に相手を振り回して傷つける受け、私BLで見たことあります。
冒頭のケンカも、そんな律の自由さがひとつのきっかけでもあります。
ここは別れを切り出した立場の郁哉に、強い気持ちで律との間にきっちり線を引き、振り回されないぞ!という意志を示して頂きたいところです。

スキンシップが多く子どものような仕草と上目遣いを駆使し、柔らかい笑顔と口調でそれでいて誘うときは大胆でえろい完全無欠の小悪魔VS、人。
ファイッ

火を見るよりも明らかでしたね。うちの郁哉が終始デレデレしちゃってすみませんでした。




郁哉のかわいそうさ

記憶喪失BLで何が一番大事かっていうと、「忘れられた方がどれだけかわいそうか」です。それが攻めならさらに良し。
突然好きだった受けの記憶から、自分の存在が消えてしまう。
自分は好きなままなのに、今の受けは自分を好きではない。
記憶が戻るかも、また好きになってもらえるかもわからない…。
あぁなんてかわいそうなんでしょうか!!
不安で悲しくて苦しくてひたすらかわいそうな攻めを想像するだけで血沸き肉踊り寿命が延びます。

律から、自分のことを覚えていないと告げられたときの郁哉。

かわいそう!!!!


このシーン、郁哉の呼吸音が印象的で、最後郁哉のヒュッと息を呑む音が響いたところでブツッと1話が終了し、それがなんかめちゃくちゃ郁哉の絶望として伝わってきて最高でした。
すでに何回か繰り返して観てるんですけど、このシーンが近づくたびこれになってる。

くるよ息呑みくるよ〜!


いや~、しかし鈴木康介くんが本当にいい表情をします。
シリアスなドラマには表情だけで魅せる「間」がとっても重要だと思う。
律から甘えられると本当に嬉しそうに笑うし、ジャケットが似合うねって褒められると堪えきれずに破顔したり、ライバルの登場には露骨に表情を曇らせます。律の一言で浮かれたり沈んだり、迷いも嫉妬も後悔も、すべて律がさせた表情なんだなぁと思うと微笑ましくてたまらない。

あとかわいそうシリーズでおすすめなのは、連絡のとれなくなった律を探して、仕事の打ち合わせをしている会社まで行く5話のシーンです。
なぜこの場所がわかったのかっていうと律のパソコンに貼られていた付箋を見つけたからなんですけど、律が「仕事の机勝手に触ったんだ…」って静かにキレます。この律が本当にこわくて思わず私まで「ごめ…」つった。

く~ん

かわいそう!!!!!

これ記憶喪失関係なく「ガチのかわいそう」なのでやめてあげてください。

突っ走って振り回されて傷ついて追い詰められるかわいそうな攻めをご堪能ください。




ライバルの存在、お前なに?

BLだけでなくドラマにはライバルの登場って大事なスパイスですよね。
ジャックフロストを語る上で、彼の存在は欠かせません。
物語の中盤、ふたりがいい感じの雰囲気になってきたころ、律に連絡をしてきます。もしかして見てた?ってくらいナイスタイミングでした。
ったくどんな野郎だよツラ見せてみろよ…

は?好き

普段メガネかけててやさしくて大人で仕事ができて受けのことをよく理解している元彼。勝てるか…?郁哉…
なんか余裕かましててちょいちょいマウントとってきて正直お前なんだよって思ったんですけど、顔が好きなので律との過去もくわしく知りたいし違うBLで絶対また出会いたい。(まんまとハマるオタク)

あと脇役としてとても重要な働きをしたのが、律の弟と隣人のともこさん。

関西弁で笑顔がやさしくて、とても親しみやすい。
要所要所でいい感じのアドバイスをして、最終回も郁哉の背中を押してくれます。私もこのポジションになりたいんですけどあと何回生まれ変わればいいですか?




最終話までちゃんと見てください

ふたりのケンカも記憶喪失してからすれ違った理由も、正直どっちもどっちすぎてどっちが悪いかとかどっちでもいいんです。
だけど私は律に対して、少し身勝手すぎるように感じていた部分があった。
もともと律の自由奔放さが招いたケンカでした。
律の行動にフラストレーションを溜め続けていた郁哉が、それをずっと言葉にできず保身していたことも原因だけど、郁哉の優しさに甘えて郁哉の言葉も軽くかわして、相手の気持ちに寄り添い、もっと真剣に郁哉と向き合おうとする努力が欠けているような気がしていました。
最終話を見るまでは。

ほんとグダグダぬかしてすみませんでした。
最終話は律のモノローグ。
ふたりの思い出の喫茶店で、自分の描いたスケッチブックを眺める律。
ずっと霞んでいた律の記憶が、霜が溶けていくように鮮明に蘇るシーン。

世界中の「美」が今ここに集結しました。
記憶を失っていた間の律は、当たり前ですが郁哉に対してまだそこまでの感情がなかったんだなと気付きました。好きになる手前というか。
だから郁哉の行動が理解できず、隠していた嘘に過剰に反応してしまったのかもしれない。
そして記憶と一緒に郁哉への想いが蘇り、どれだけ愛されて、どれだけ愛していたか思い出したとき、愛おしさが込み上げてくるような律の表情がとても美しかった。

これは律を追いかけて喫茶店まで来た郁哉が、窓の霜が少しずつ溶けていくにつれてじんわり現れる演出で感動のシーンなんですけど、我慢できず笑ってしまい本当に申し訳ありません。

少し駆け足ではあったけれど、とても素敵な最終話でした。




想像していたよりもずっとかわいくてずっと応援したくなるふたりでした。
映像もきれいで、鈴木くんと本田くんの演技も素晴らしく大切に作られた作品なんだなぁと感じました。
「ドラマシャワー」延長、1年といわず永遠に続けてほしい。
そして記憶喪失BLはやっぱり最高~~~~!!

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