できないと思っていたことは、できなくはなかった。可能性を探したい。

以前働いていた不動産会社に入社する際、私は「管理事務」に応募して、その部門の担当者の面接を受けて採用された。

入社当日、社長室に挨拶にいくと「たぶん営業の方が向いているから、営業部の所属ね」と言われた。

「えいぎょうですか?」


求職活動中、「営業職」の求人はたくさんあったけれど、「営業」という仕事に、私は全く関心がなかった。
求めていたのは「事務職」で、求人は少なくどこの会社も倍率は高く、私は数十社不採用通知を受け取っていた。

やっと見つけて、やっと受かった「事務のお仕事」のはずだったのに……。

「なにをおっしゃっているんですかね? この方は」と思いながら、
「いやです」と言えず……

「はぁ、そうなんですか」という返事をしたのだろうか。

わたしは、営業職として働く日々が始まった。


自分には営業職は無理だと思い込んでいたけれど、営業として日々働いことはできていた。

コミュニケーション苦手、話すの苦手、売るとか無理!!! って、思いながらの日々は、楽しくないことの方が多かった。

お客さんとコミュニケーションがうまく取れて、新しい生活を始めるお手伝いができたよろこびは、営業職ならではの経験だった。

ただ、目の前にある数字とは、うまく付き合えなかったな。

営業でなければ、こんなに毎日、数字を気にしなくていいのに、と思いながら働いていたな。


営業部の人手も足らず、びっくりするほど休みがなく、1日5時間の残業に体力も追いつけず、長く働くことはできなかった。

営業職でなかったらまだ働けていたのかなぁと考えたこともあるけど、それはわからない。


その後、短い営業経験だったけど、この時の経験があって、営業と事務の経験が必要な仕事だったり、コミュニケーションが必要な業務にもチャレンジする機会を得れた。


自ら営業職への一歩は踏み出さなかったけど、思いもよらないきっかけで、自分の世界は広がるんだなぁということを、ふと考えた日だった。



想像できるやりたいこととか、いまできること以外のところにも
わたしのやりたいことや、できることは眠っているのかなぁ。


自分の経験や感覚やスキルを大切にしながらも

自分が想像できていないところにある可能性みたいなものを、さぐっていく方法は、どんなことがあるのだろう。

自分には向いていないと自分で思っている事でも、案外やってみたらどうにかなったり、楽しめることもある。
もちろん、苦しむこともある。

「可能性」なんて曖昧なものを探すために、自分を痛めつける必要はないけれど、なにかおもしろいことがあるかもしれない好奇心には負けていい時もあるのだろう。


好奇心……。

ありがとうございます。ロックンロールと生クリームとマンガと物語に使いながら、自分の中のことばを探っていきまます。