クソガキ

そういえば、つい先日、七月十三日に誕生日を迎えたので、私は二十歳であります。

友人や先輩方が二十歳になると希望があると言いますが、どうも私にはそうだとは思えません。

元々十八歳の辺りから身体が音を上げていた短命の一族の男で有りますがゆえに、当然のように体調は常日頃より悪いですし、なにより何か国やらに金を払わなければいけないらしいですね。

年金ナンチャラカンチャラの茶色の封筒が家の郵便受けに到着した時、それを認めると私は「ひい!」と小さなカアイらしい悲鳴をあげて、庭に穴を掘り始めた位です。

心に飼って居る小さな野口五郎が「キャア!キャア!」と叫んでいたり、また心に飼っている小さな山本達彦が「さらば」と私に敬礼をしますものですから、私は忽ち家に居られ無くなって、最寄の駅の方面に、コンバースを酷使させた程です。

駅前は人が居ました。

現生人類の二十歳以上の若かったり老けていたりする大人たちがトボトボと歩いています。

スマートフォンにある画面を睨む面は動物園から脱走した猿の様にも見えます。

私はとうとう、「子供」から「若者」になる最終局面を突き抜けてしまったらしい。

行きつけの蕎麦屋に言ってみると、娑婆に出て来たばかりの初老の男が、スマートフォンで今更チピチピチャパチャパを見ていましたが、私はその人に目をつけられないように席について、どうしようと悩みました。

働かなくては。

早急になにかアルバイトなりなんなりと働かなくてはならない。社会に見捨てられる前に社会に飛び込まなければならない。

え! こわ!

これまで動物園の猿のウンコの様に生きて来られたのに、二十回目のハッピーバースデーを迎えた途端いきなり人として生きなければならないのこわすぎ!

気づいた頃には、人として生きていくには金がかかる年頃。

大人に成ると言うのは、呪いではないの?

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