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部屋にはエヴァとスパロボと私

「新世紀エヴァンゲリオン」がテレビで放送された1995年当時、自分は小学生から中学生の端境の時期だった。
 社会現象にまでなり、アニメに興味がない人でも知ってるくらいの伝説的なアニメ作品を主人公たちと同年代の目線でリアルタイムで観られたのはとても幸運なことだったと思う。
 特にTV版後半や劇場版の重苦しさと難解さは、脚本や作画・SFなどのいろんな要素が奇跡的にうまくミックスされてたくさんの人を魅了したのだろうけど、今振り返ってみると、なんというか、ものすごく言いにくいのだけど、自分はそういうのをすっ飛ばしてシンジ君とアスカさんにしか興味がなかった。いや、エヴァ独特の拠点防衛やロボットプロレス要素ももちろん好きだし、謎が謎を呼ぶ展開も気になってはいたのだけど、それ以上にシンジ君とアスカさんが最終的にくっつくのかどうかの方が気になって仕方なかったのである。それしか頭になかったのか。小学校六年生にして、我ながらとんでもないアホだったと思う。
 自分がアスカさん推しになったのは、どう考えても初登場回「アスカ、来日」の本田雄さんの作画の影響が大きい。あのタレ目の可愛らしさと性格の小憎たらしさのギャップの破壊力は、今見返してみても反則だろうと思う。みんな大好きユニゾン回とか、シンジ君に惚れてへんかったらあんな無防備な薄着で寝えへんやろうし、気ぃ許してなかったら寝ぼけて異性の部屋なんか来おへんでホンマに、などとトウジばりの関西弁で鼻息荒く毎週二人の行く末を見守っていた。キス回なんて録画したビデオテープ擦り切れるくらい観てた恥ずかし乙女な自分である。
 とはいえ、当時は綾波レイの人気の方が圧倒的に凄くて、シンジ君とアスカってくっつかないんじゃないのかしらんと子供心に思っていた。だから、テレビ版のラストも旧劇場版のラストも意味不明だったけど、旧劇の最後でアスカがシンジ君の隣にいたことにめちゃくちゃびっくりしていた。「よくわからんがシンジ君とアスカがアダムとイブみたいになったからよかった」と、お通夜みたいな終劇後の劇場で一人納得? していたのを覚えている。
 ただ、鳥葬と首絞めと「気持ち悪い」はやっぱりすっきりせず、その後も気持ちが彷徨い続けることになるのは他のファンの人たちと同じだった。あの結末があったことで、納得できないファンの人たちから膨大な数の傑作二次創作が産み出されたことを今なら知っているけど、自分にはアニメや漫画のことを話せる友人がおらず、ネットに触れる機会がなかったことも手伝って、大人になるまで同人誌などの二次創作に触れることはなかった。考察とかは本当にどうでもよくて、ただシンジ君とアスカの二人がその後どうなったのかだけが知りたかった。
 そして、自分にとって最初のエヴァの二次創作になったのは、「スーパーロボット大戦」というゲームだった。

激ムズ無印スーパーロボット大戦

 エヴァンゲリオンがスパロボに初参戦したのは、無印シリーズの「第4次スーパーロボット大戦F」という作品。ゲーム雑誌での騒がれようがもの凄かったのを覚えているけど、同時参戦のイデオンの方がストーリー上で重要な役割を担っていて、そもそもこのFでは人類補完計画発動までストーリーがクロスオーバーしないので、初参戦の割にエヴァの印象が薄い。
 序盤はATフィールドが堅牢で大活躍するんだけど、アンビリカルケーブルを戦艦に繋いでないとあっという間にEN切れになるので、活動範囲が極端に狭いのが難点だった。このアンビリカルケーブルが厄介で、敵の攻撃がクリティカルになるとダメージがなくても切断されるので、いちいちラー・カイラムまで戻って接続し直さなければならない(攻撃弾いてるのになぜ外れる?)。しかも後半になるとATフィールドが雑魚敵の攻撃でも突破されるようになってしまい、アスカに至っては精神コマンドに必中も集中もないので攻撃が当たらない。仕方ないので挑発持ちなことを活かして「あんたバカぁ!?」(言いません)でボスキャラ誘い出すために重宝していた。
 この「スパロボF」および「スパロボF完結編」は、シリーズの中でも難易度が高いことで知られている。ゲームバランスがとち狂っていて、後半になると敵勢力が一般兵までHPが平気で10,000超えてくるわ2回行動するわマップ兵器持ってるわ特殊技能まで使い出すわで、リアル系のキャラクターに関してはニュータイプじゃないと攻撃当たらないし当てられるので、オールドタイプのキャラは部隊編成に組み込めないくらい難しかった。
 特に難儀だったのが最終盤で連戦になる「エルガイム」の敵勢力・ポセイダル軍。雑魚敵のヘビーメタルでも対ビームコーティングとシールドを標準装備しているので、こっちが主力にしているモビルスーツのビームライフルやハイメガ粒子砲のダメージをやたらと軽減しやがるうえに、νガンダムのフィン・ファンネルどころかビルバインのオーラ斬りまで切り払ってくる鬼畜仕様。そもそも当時はエルガイム自体観てなかったので、やっとこオルドナ・ポセイダル倒したと思ったら影武者だったことがわかって発狂しそうになったもんである(エルガイムの作品自体はスターウォーズっぽさがあって好き)。
 まぁ、それ以上にヤバかったのはハマーン様の駆るキュベレイだったけど。ていうかキュベレイという名のスーパーロボットだけどアレ。モビルスーツなのにHP回復(大)とか付いてて(だったと思う)、ネオ・ジオンの技術力どないなっとんねんと悪態つきながら、説得するためにフルアーマー百式改のクワトロ大尉で玉砕したのは懐かしい思い出。大車輪ロケットパンチとストナーサンシャインとサンアタックと断空光牙剣とスーパーイナズマキックぶち込んで短期決戦で倒した思い出。CV榊原良子さんに何回反撃で「俗物!」と罵られたかわからない。

燃えるぜαシリーズ!

 熱血展開でアスカとシンジ君に救済措置があったのはスパロボのαシリーズで、このシリーズは本当に好きで何度も周回プレイした。アスカが鳥葬される直前にマジンガーの兜甲児はじめ、脳筋バカな主人公たちが助けに来る展開は今プレイしても泣いてしまう自信がある。MXでロム兄さんが助けに来てサンライズボンバーして量産型成敗するのも好きだけど、やはりαの時の衝撃は超えない。声優さんまで起用してこんなことしてくれるのかとドキドキした。以降、弐号機はATフィールドを武器としてぶっ飛ばしながら戦えるし、初号機もマゴロク・E・ソードとカウンターソードが使える。アニメしか観てなかった自分には、当時は初号機がなぜ刀が使えるのか全然わからなかったが、アスカさん鳥葬回避でテンション駄々上がりだったので強けりゃいいやひゃっほーぃという感じだった。アホだった。
 αシリーズは、シンジ君の補完シーンでアムロ・レイがかなりのウェイトで絡んでくるのも良い。エヴァチームは最近の作品では兜甲児やゲッターチームと絡むことが多いけど、最初期はファーストガンダム時代のアムロとシンジ君の境遇や性格を重ねる趣向が多かったし、大人になった逆シャア時代のアムロがシンジ君の精神的な導き手になるのは違和感がなかった。アムロ大尉、中の人繋がりでミサトさんとデート行ったりするし、加持さん! ベルトーチカとチェーンも呼んでこい! という感じだった。
 あと、αに関しては「マクロス」のバルキリーのミサイル描写が板野サーカス味全開でめちゃくちゃカッコいいので、YouTubeとかでぜひ観てみてほしいところ。

第3次でLASを知る

 第3次スーパーロボット大戦αは完全にLAS仕様に仕上がっていて、第1次・第2次αとあわせて自分の中で神ゲームとして認定されている。
 まず、第2次αに参加してなかったシンジ君とアスカさんがずっと2人で同棲していたという設定が神。ミサトさん抜きで「2人で」同棲してたらしい(大事なことだから2回言っておきます)。アフターEOE仕様なのでANIMAなみにシンジ君とアスカさんの関係が良好だし、弓さやかとかに同棲中のシンジ君との愚痴(のろけ)聞かせたりするし、合体攻撃にユニゾンキックあるし、ラスボスに精神攻撃受けたアスカさんの台詞が「汚されちゃったよ、シンジ」になってるし、なんですか公式が二次創作したゲームがあるって聞いたんですけどこれですか? と思わず問い正したくなる内容に仕上がっているのである。アスカさんがガンダムSEEDのフレイに昔の自分を重ねて説教したり、カガリと意気投合して親友になったりするのもグッとくる展開。
 第2次・第3次αと続くZシリーズの1作目はユニット単体ではなく小隊編成制で戦う仕様になっているのも、個人的にポイントが高かった。後半になると20チームくらい小隊組まなきゃいけないのでめちゃくちゃ大変なのだけど、カプ厨の自分としては好みのキャラと機体で小隊組み放題でよだれ垂らしっぱなしだったのである。初号機・弐号機でLAS小隊組むのはもちろん、アムロとキラで師弟っぽいツーマンセルにしたり、後半はジャスティスとストライクルージュのアスカガコンビとか、特殊台詞聞くために好き放題やってた。小隊名まで命名可能で、もし実家にPS2残ってたら厨二病全開の恥ずかしい名前の小隊が大量に登録されたまま残っていると思われる。
 人類補完計画は結局ゲンドウさんの暗躍で再度発動寸前まで行くのだけど、アスカさんとの同棲イチャラブ(個人の感想です)でメンタル最高なスパシンになってるシンジ君を依代にするのは無理があるよ父さん…と思った。ちなみに、ガンダムのニュータイプ論とエヴァの人類補完計画の考え方は真逆で相性がよく、シャア・アズナブルとの関係を引き合いに出して「結局分かり合えないなら、最初から心の壁を取り払って補完されておけばいい」という碇ゲンドウに対して、「人は傷つけ合うからこそわかり合おうと努力する!」というアムロの返しは最高にアツい。少年主人公たちにボッコボコに文句垂れられるゲンドウさんはちょっとかわいそうになるくらいなのだが、ジュドーの「理屈はいいからとりあえず今までシンジにしてきたことを謝れ!」がまぁ一番正論だよなと今も昔も思ったりする。
 あ、ゲントさんが操る初号機コピーは、もちろんシンジ君とアスカさんのユニゾンキックで62秒でフィニッシュです。

まとめ

 ミノフスキークラフトは初号機と弐号機につけるんだ、アストナージ。

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