これで いいの? 課税区域の定め方(16の追加)つくば市

ここには課税するが、あそこには課税しない。
即ち、課税区域がある、それが都市計画税。
その課税区域の定め方を調べています。

つくば市の条例は(16)で紹介しましたが、市街化調整区域の課税区域については、受益者負担金の制度を使っているので、どんな土地が課税対象となるのか分かりませんでした。
その後、受益者負担金の制度を調べて分かりました。課税対象となるのは、宅地と雑種地だけとなるはずです。その根拠は以下の通りですが、複雑でややこしいので少し長くなります。

◎つくば市税条例
(納税義務者等)
第141条 都市計画税は、・・・都市計画区域のうち次に掲げる区域内に所在する土地及び家屋に対し、その価格を課税標準として、当該土地又は家屋の所有者に課する。
(1) ・・・市街化区域
(2) 市街化調整区域における都市計画事業(・・・)である下水道事業により築造された公共下水道(・・・)の処理区域(下水道法第2条第8号に規定する処理区域をいい、研究学園都市計画つくば市下水道事業受益者負担金条例(平成元年つくば市条例第32号)第8条の規定により受益者負担金の徴収を猶予された土地(当該土地に係る受益者負担金の全額の徴収の猶予を受けたものに限る。)の区域を除く。)及びつくば市下水道条例(平成元年つくば市条例第31号)第21条の規定により公共下水道に下水を排除することを認められた排水区域の外の区域
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後半の「及び」以下の部分「・・・排水区域の外の区域」は、その区域が存在するのかどうかも含め、何処にあるのか全く分からないので無視して考えます。
そうすると、市街化調整区域の課税区域は、公共下水道の処理区域から受益者負担金全額の徴収を猶予された土地の区域を除いた残りの部分となります。
その残りの部分が区域かどうか、及び処理区域から除かれる「猶予された土地の区域」が区域かどうかは脇に置きます。
もう一つ、そもそもですが、公共下水道の処理区域は区域なのか?という疑問も脇に置きます。
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○研究学園都市計画つくば市下水道事業受益者負担金条例
  平成元年3月29日条例第32号
(負担金の徴収猶予)
第8条 管理者は、次の各号の一に該当する場合においては、管理者が定めるところにより、負担金の徴収を猶予することができる。
(1) 土地の状況により、徴収を猶予することがやむを得ないと認められるとき。
(2) 当該負担金を納付することが困難であるため、徴収を猶予することがやむを得ないと認められるとき。
(3) 当該土地の受益者が確定できないとき。
(*管理者は、第2条で市長と定められています。)

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(2)及び(3)は例外的な場合に関する定めとなっているので無視します。
残りは(1)だけですが、負担金全額猶予に関する定めが含まれていないので施行規程を調べました。
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○研究学園都市計画つくば市下水道事業受益者負担金条例施行規程
  令和2年3月30日 水道事業及び下水道事業管理規程第26号
第9条 条例第8条の規定により負担金の徴収猶予を受けようとする者は、様式第6号の申請書を管理者に提出しなければならない。
2 管理者は、前項の規定による申請があったときは、別表第2に定める下水道事業受益者負担金徴収猶予基準に基づきその適否を決定し、様式第3号の通知書により当該申請者に通知するものとする。

別表第2(第9条関係)
下水道事業受益者負担金徴収猶予基準
猶予区分            猶予期間          猶予率
1 宅地化されている土地     宅地として利用するまで   70%
2 係争地(証拠書類のあるもの)  係争が解決するまでの期間  100%
3 農地等(田、畑、山林、原野等の現況にある土地)  宅地等徴収猶予の対象として認められなくなった場合は、その日までの期間       100%
4 災害等により自己所有に係る固定資産の全部又は一部について被害を受け、損害があった者       管理者が認定する期間   管理者が認定する率
5 その他特別な事情があり、徴収猶予の必要があるもの  
             管理者が認定する期間   管理者が認定する率
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これでやっと、課税から除く土地である受益者負担金の全額の徴収を猶予される土地が分かりました。その土地は、係争地及び農地等(田、畑、山林、原野の現況にある土地)となります。
従って、市街化調整区域の公共下水道の処理区域で課税対象となる土地は、田、畑、山林、原野を除いた土地、即ち宅地と雑種地だけとなるはず。
以上です。














さて、本当の問題はこれからです。

受益者負担金を猶予する規程(条件)を定めたのは市長で、猶予したのも市長なので、市長が課税から除く土地を定めたことになります。
このようなことを市長が定めて良いのでしょうか? 地方税法では課税客体は条例で定めるとされています。

また、課税対象となる土地は宅地や雑種地となるはずです。そうすると、条例は、間接的に宅地や雑種地を課税要件と定めていることになります。このような定め方は、課税区域を定めて課税するという都市計画税の趣旨に反するのではないでしょうか?

市は課税対象についてホームページで次のように説明しています。
「市街化区域全域と市街化調整区域のうち下水道処理区域内の土地・家屋」

つくば市は嘘をついています。
下水道処理区域内で課税対象となるのは宅地や雑種地だけ、とホームページに書くのは不味いと判断したのでしょう。つくば市はこのよう課税は違法だと認識していると思います。

条例の複雑な定めの目的は、課税区域を適法に定めているかのように装い、違法と認識している宅地や雑種地だけに課税すること!と言われても仕方がないと思います。このような条例に法令としての正当性はないと私は思います。

課税区域の定め方、これで いいの?


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