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「羨望のクオリア」のドラムとベースを解説する

どうも、はぴやです。

最近急に暖かくなってきましたね。

先週は雪国に居て凍え死にそうだったのに今日の最高気温は25℃ですって。体調崩しそうですわ。


それはさておき。


本日は、昨年10月にリリースされた火星猫有限公司様のアルバム“Flehmenism”より、私が参加させて頂きました楽曲「羨望のクオリア」のドラムとベースについて解説出来ればと思います。

※こちらの楽曲は現在各種サブスクにて絶賛配信中です。是非聴いてみてくださいね!!


1.打ち込みにおいて1番大切なこと

最初から結論を言うと、

「人智を超えたプレイを絶対にしない」

これに尽きます。

どの楽器においてもそうですが、いくら打ち込みだからと言って絶対に有り得ないようなフレーズを叩かせるのはダメです。

例えば、「シンバルとスネアとタムを同時に叩く」とか。ドラマーが困っちゃいます。

特にこういう打ち込みでなるべく生っぽさを表現する際、突然エグいフレーズが出てきちゃうと、せっかく頑張っていい音源で打ち込んでも不自然な感じに聴こえてしまって、リアリティが無くなってしまいます(電波とかバリバリ打ち込み!って感じの楽曲に関してはそんなことはないかもしれません…!)。

なので私は、生楽器を打ち込む際はなるべくそのフレーズが実現可能かどうかの裏を取った上で打ち込んでいます(ドラムはもちろん、ギターベース等は指板上で可能かどうかなど調べたりしています)。


2.使用音源について

まず、ドラムは「BFD3」を使用しています。

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これは去年導入しまして、とても気に入っております。

シンバル類は最初から入っているものとSabian Bulletのものを混ぜて、セットはYamaha Oak Custom、スネアはSignature Snareよりスティーヴ・ガッドモデルを採用しています。

BFDのエキスパンションとしてOakとMapleを所有しておりますが、より太い音を出したいな!という時はOakの方を使うようにしています。

あとスネアに関してはBatteryのスネアをレイヤーして使っています。BFDのスネアの帯域だけでは足りない部分があるので、それを補ってもらっています。

BFDはマジで優秀!!


そして、ベースに関しては言わずもがな「Trilian」を使っています。

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Trilianのフェンダージャズベースの再現度の高さは本当に神です。私のベースはほとんどの楽曲をTrilianにお任せしております。言うことがないです。優秀。


3.打ち込み詳細 〜ドラム編〜

なっさんからのドラムのオーダーは「佐野康夫みたいな感じで!」だったので、全体的にはそのようにして、尚且つ私がリスペクトするドラマーの方々のプレイングと自分のオリジナリティを少しずつ加えて作りました。

ともかくこの楽曲は速くて鋭いため、1コーラス目は鋭く、2コーラス目からはこの楽曲の持つ雄大さを出すために、2コーラス目のAメロからビートをハーフにすることによってそれを表現しています。

それと対比する様に、1Aはスネアのクローズリムを細かく刻むことによってよりスピード感を感じられるようになっているかと思います。

サビ終わりのめちゃくちゃ速いフレーズに関しては、がむしゃらに叩いているわけではなくて、バスドラムをスティックで叩いていない音符の間に入れてます。これはゴスペルチョップスから表現を盗んでます。

ビート内においてもスネアとバスドラムが一緒になっている部分はほとんどなく(2A(1:44-)に関しては例外です。雄大かつ推進力を出すためにこのような奏法にしています)、速いフレーズを速く鋭く聴かせるためと、スネアの2、4をぼやかさないためにバスドラムとスネアを同時に叩くことを避けています。

2サビ後のInter部分の静かなところに関しては、リアルタイムでライドシンバルを鍵盤で叩き、そのあと若干クオンタイズをかけております。Cubaseはこのクオンタイズについて、100%の精度ではなく微妙なズレを残したりすることができるのでとっても便利。

Inter後半はなっさん指定のバスドラムパターンで、これがすごく気持ち悪い(笑)。フィルも3連を用いたりすることでこの部分のリズムの重さを更に増させています。


こんな感じで、あとは頂いたオーダーになるべく忠実に!をモットーに打ち込みました。デモで頂いた段階で結構完成度高かったので、ドラムも打ち込みやすく非常に楽しかったです!


4.打ち込み詳細 〜ベース編〜

こちらもなっさんから「ベースは渡辺等さんを参考にお願いします!」というオーダーを頂いておりました。

私は外国のベーシストはもちろんですが、日本のベーシストにもかなり影響を受けておりまして、渡辺さんは本当モロに受けていたため、いつもやってる感じね!と思い気楽に打ち込みました。ドラマーはかなり特定の方に影響を受けているため、逆にこの人っぽくお願い!って言われちゃうと結構難しく、指定を受けた方の参加楽曲を片っ端から聴いて再現しております。

私のベースラインのモットーは、

「出るとこは出て、引っ込むところは引っ込む」

これです。

例えばサビなどを聴いて頂ければ分かりますが、歌のメロが動いているところは割と単純な動きをして、歌のメロが切れた部分はかなりラインを動かしています。Aメロの前半もバスドラムに追従して大人しくしています。

しかしBメロに関してはかなり動かしています。メロに対して対旋律を取るようにベースラインを動かしています。メロを引き立たせるような形でベースラインに動いてもらっているのには大きな理由があります。

ドラムと同じく、リズムの中核を担っているベースという楽器には、ドラムと違って音階を持っています。リズムを出しながらメロの引き立て役になれる、それがベースです。

音階を持って動けるので、1コーラス目と2コーラス目など、同じ部分の繰り返しをする際は少しずつベースラインを変えています。1、2番同じだと曲が単調になっちゃいますしね。ドラムだとパターンの関係からあまりそういった表現は難しいですが、ベースは遊びやすいのでつい変えがちです。ドラムもコピペすることなく打ち込めば1、2番で違ったニュアンスを手に入れられますが…!


ベースもなっさんが最初からある程度ベースを打ち込んでくれていたおかげでめちゃくちゃやりやすかったです!!


5.最後に

こんな感じで「羨望のクオリア」はぴや担当分は出来上がりました。

生楽器主体のポップスは、ストリングスなどオケ系ももちろん大事ですが、どんな曲でもリズム隊(ギター、ベース、ピアノ(鍵盤)、ドラム)が楽曲の核となってくると思います。なっさんの曲はどの曲もアレンジ・ミックスがとっても洗練されてますし、彼自身がギタリストであるのでギター、ベースのプレイもとてもよく、ドラムへの理解もめちゃくちゃあるので、他の楽曲を聞いても核となるリズム隊がしっかり聴こえてきます。そんな彼にこの楽曲のベースとドラムを任せて頂けたのは非常に嬉しいです。

もうともかく、楽曲の根幹から素晴らしいし、完成度も非常に高く、私自身としてもめちゃくちゃ打ち込みが上手くいったので是非聴いてほしいです!!


そして!

こちらの楽曲「羨望のクオリア」のベースとドラムのステムを公開致します。

誰でも見られるのは少し…と思いましたので、今回は有料(300円)にて頒布致しますので、もし興味のある方はご購入頂けますと幸いです。


それでは、またお会いしましょう。


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