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24 里帰り出産

「里帰り出産をさせてください」私は本家の伯父さん、伯母さんを前にそうお願いしました。

伯父さんは難しい顔で腕を組んでいます。

長い沈黙の後、「それは難しい相談だね・・・ウチも決して余裕がある訳ではないから・・・」と伯母さんがつぶやきました。

伯母さんから見れば、私は義理の弟の娘で、血のつながりのない姪になります。

実の娘ならともかく、血縁関係のない私のお願いを聞く義理はありません。また伯母さんには、親子2代に渡って迷惑をかけられたという思いもあったのでしょう。

未成年後見人として最後のお仕事を終えた伯父さんが「おれがしてやれることは、ここまでだ。」と言った意味。その意味を、私は痛い程噛みしめていました。

その時、本家のおばあちゃんがスッと部屋に入ってきました。私達が本家でお世話になっていた時は、何かと口やかましく、小言ばかり言われていましたから、私は思わず身構えました。

本家のおばあちゃんは私の方は一切見ないで、「アレ、ほれ、それ、どこにやったっけか?」とその辺をガサゴソと探し始めました。

本家のおばあちゃんは90代の半ば。伯父さんも伯母さんも70代。世間的にはもう「老人」です。

唯一の「実家」と言える場所の現状を見た私は、それ以上何も言えなくなってしまいました。

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