〜カレーは日本を救う〜カレーの街よこすか20周年シンポジウム、登壇。
今回、「カレーの街よこすか」をキーワードに町おこしを官民連携して続けてきた横須賀市。その20周年を記念してシンポジウムが行われた。
素晴らしい取り組みだなあ、席が取れるのなら取材に行ってみるかな、など他人事風にみていたら、横須賀市市観光局さまよりパネルディスカッションのファシリテーターとして登壇いただきたいとオファーをいただいて驚いた。どうやら神田カレーグランプリの中俣さんが裏で推してくださったらしい。光栄だ。
それはなかなかに素晴らしい会で、会場のホール、160名のキャパシティをオーバーする来場者数に圧倒される。皆さん期待と興味を持って集まっていただいているようで、良いものにしたいという気持ちがグッと高まってくる。
主催代表は横須賀市市長、上地克昭氏。来賓は海上自衛隊横須賀地方総監、杉本孝幸海将こお二人が演台でご挨拶をされる。これも大変なことだ。こういう方々が地域おこしのこういう会合でご挨拶いただけるというのは他の地域の運営者にも大きくよい影響を与えるものではないかと感じる。
よこすかカレー大使でもある一条もんこさんの司会進行の元、「カレーによるまちおこしの今後のあり方」という好テーマで登壇が神田カレー街活性化委員会の委員長、中俣拓哉さんのお話しを聞いた。
熱量高い、成功事例の話といろいろな苦労、今後の展望に30分の講演があっという間であった。
のちのパネルディスカッションは関東地域でカレーをキーワードとした町おこしを積極的に行っている5都市、横須賀、神田、下北沢、柏、武蔵小杉(順不同)から活動団体の代表に登壇をいただきお話を伺うスタイル。大変に興味深い話がたくさん飛び出した。
カレーの街よこすか事業者部会 副部会長 鈴木 孝博さん
カレーを使った町おこしで日本で一番成功している事例であると感じているのが横須賀市。そのなかでもやはり苦労する部分があり、現在でもイベントと町おこしを継続していく上での新しいアイディアを模索しているという。トップを張り道を切り開くものの大変さをお話の中から知ることができた。
神田カレー街活性化委員会 委員長 中俣 拓哉さん
神田も大変大きな成功を収めているが、そこまで至る歴史と積み上げた努力は想像以上である。マイスター制度を作った後に起こった、委員会も予想をできなかったマイスターたちの意外な寄与、貢献、献身などの話は大変印象的で面白かった。これこそコミュニティという話で皆さんも大いに参考になったはずだ。
下北沢カレーフェスティバル 代表 西山 友則さん
下北沢は戦略の緻密さやコミュニケーションをシステマチックにスムースに行うためのアイディアが秀逸で大変勉強になる。カレーだけではなくいろいろなテーマで下北沢を盛り上げていらっしゃる西山さん。そういうスタンスのもとに他の街にない知見が蓄積されるのが大きな価値であろう。
かしわカレー図鑑 編集長 波木 香里さん
柏は唯一コアになるイベントを持たないスタイルで、逆にそれこそが大変に参考になる部分が大きかった。フリーペーパー、ZINのアワードで2年、大賞を受賞している「かしわカレー図鑑」の強みは非常に参考になった。数字を見つめる確かな目も大切だと感じた。なにより波木さんのセンスが光る誌面作りは素晴らしい。
武蔵小杉カレーフェスティバル 代表 奥村 佑子さん
武蔵小杉は代表の奥村さんが個人で取り組み、その中で少しづつ人の心を動かして仲間を増やし、という現代においては超人的な努力を必要とするゼロからの町おこしの組み立てを達成しており、その話には圧倒される。コミュニケーションを作り出すパワーと手法に近道なしという説得を感じた。
各地域にそれぞれ地域的、住民的特性があってそれが街を形成している。その空気を掴み、それぞれのアプローチで町おこし、コミュニケーションというテーマを着実に掘り起こし、具現化している皆さんには本当に頭が下がる思いである。
会場の皆さんに質問や意見を伺う場面も作ったのだが、ちゃんと積極的に意見をおっしゃってくださる方、ディスカッションをきちんと咀嚼してその上で質問をしてくださる方ばかりで、客席と壇上、なんというのだろうか、グルーブ感じる心地よい一体感が生まれていた。
ファシリテーターとして皆さんのお話を引き出す狂言回しをお引き受けしたが、とにかく面白かった。わたし自身が皆さんの話が面白くて、それで?つぎは?と興味のままにパネリストのみなさんにお話を伺った1時間となった。結果若干とっちらかってしまった感も残ったのだが、概ね登壇者の皆さん、会場の皆さんが楽しんで興味を持ってお話を聞いてくださった様子でほっとしている。
この1時間を終えて、皆さんがお待ちかねの一条もんこさんがレシピから起こし、仕込みからご本人自ら腕を振るった横須賀をテーマとしたカレーが会場の皆さんに振る舞われた。
横須賀スパイスカレー、これがなかなか大したもので非常においしい。完成度が高いのだ。よこすか野菜である大根、赤と紫の2種の大根を使ったスパイスキーマカレー。
大根の歯応えが素晴らしい。
煮込み料理のイメージがどうしても強く出るカレーという食べ物であるがそういうなかに大根が、それもしゃきっとしたまま気持ちの良い歯応えで入っているというのは新鮮だった。
辛さも必要十分にあり、しかし意地悪な辛さではないのは、これはチリよりも黒胡椒を前に出したがためなのか、と推察。
ホールスパイスがガリッときて大根がシャキッ、実においしい。
その大根の食感を最後までこだわり、開演前ギリギリまで大根の投入タイミングと段取りを気にする一条もんこさんはプロの顔をしていた。
また、展示であるが注目すべきものがあった。SSH指定校(Super Science High School)である県立横須賀高校の生徒さんたちが研究している「カレーとICT」の研究成果発表の掲示。かなり幅広い研究テーマに取り組む県立横須賀高校の研究の中に「カレーとICT」というものがあるのはなんとも楽しい。ちゃんとサイエンスと地元とが融合したテーマでその選択のセンスに感心する。
とにかく盛りだくさんで充実した1日であった。
登壇者の皆さんがきちんと未来を見据えて活動されていること、同じ目線の高さであること、カレー、食というものの力と地域、コミュニケーションという失われつつある部分、とても大切な部分にフォーカスしていらっしゃることがわかったことが印象的で、なおかつ安心をした。
さて、ここから先は各地域との連携やその波及である。
本当に楽しみな未来が待っている。
主宰の皆様、来賓の皆様、ご来場の皆様、運営チームの皆様。展示をしてくださった学生の皆様。会場運営の皆様。大変に素晴らしい場を作っていただき誠にありがとうございました。
この会がカレーや地域コミュニティーの新しい出発点になることを切に願っております。
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