深夜。あなたは今日を振り返り、また新しい朝だね。
いいタイトルだ。
深夜あなたは今日を振り返りまた新しい朝だね
深夜。あなたは今日を振り返り、また新しい朝だね。
句読点が打たれることでそこに時間が生まれる。
これはnegiccoのKaedeのソロデビューアルバムのタイトルだ。
そしてジャケットがすばらしい。
水平線の置かれている位置がすばらしい。
その上に置かれるタイトルの配置がすばらしい。
そして音楽を聞く。
心地よく聞き流せるような音楽。
ぼんやりと聞く。
ふとジャケットに目を向ける。
ぼくは聞き流せなくなる。
風に髪を乱して、こちらにハニかむ女性。
そこに音が重なると、音楽はびっくりするくらいに立体的に鳴った。
そこに奥行きが生まれて、時間が生まれていた。
negiccoにそこまで詳しいわけじゃない。
Kaedeという名前もはじめて知った。
たまたまCD屋で見かけて、試聴しただけ。
調べると背景にゆれる波は、新潟の海。
negiccoの活動拠点。
海を背にこちらを見ている。
日本地図を浮かべれば、新潟を通して、日本を見つめている。
それはnegiccoらしい。たぶん。
夜と朝に筆跡が宿ることでまた奥行きが生まれている。
それが右と左にある。
夜と朝の間に立つ女性。
夜の方に振り向いているのか、朝の方に顔を向けようとしているのか。
いずれにしろ彼女は笑っている。
素敵だ。
音楽がはじめてレコードになって、手に取れる物になった時、音楽に今まで持っていた愛着とはまた違う愛着がそこに生まれただろう。
そこに絵や写真が置かれた時、物として愛された音楽と空間を織り成し、そこに生まれた奥行きはまた新たな愛着を生んだだろう。
そういう、ぼくが生まれる前のこと、知る由もない懐かしさを、思い出させてくれるような気がした。
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