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プロ野球戦力分析(DeNA編)

  6月19日に開幕が迫った日本プロ野球。今日は昨年度セ・リーグ2位、横浜DeNAベイスターズ(DeNA)について分析する。

•投手陣の入れ替わり


 投手陣はE.バリオスや中後悠平ら、育成一人含む7投手が退団。新外国人補強は先発候補の右腕M.ピープルズ(米 /インディアンス)のみ。ドラフトでは2位で左の先発候補坂本裕哉(立命館大)、3位で右腕の伊勢大夢(明治大)、7位で高卒右腕浅田将汰(有明高)を獲得している。先発、中継ぎ共に平均年齢が若い為、戦力に大きな変化はないといったところだ。


•先発は左腕王国。クローザーも盤石。ただ…


 昨年リーグ2位でCS1stステージ敗退のDeNA。チーム防御率はリーグ5位の3.93。先発陣は、エースで2年連続開幕投手の今永昇太(27)、昨年ユーティリティとして復活し先発に再挑戦するかつての開幕投手石田健太(27)、昨年怪我で6勝(5敗)止まりも活躍が期待される濱口遥大(25)はいずれも左腕。いずれも大卒入団1年目から活躍している。また、同じく左腕の東克樹(25)は1年目の2018年に11勝(5敗)で新人王を獲得しているが、左肘の状態が思わしくなく、トミー•ジョン手術を受けて今季絶望と見られている。来季以降の復活に期待。

 その左腕三本柱とも言える今永、石田、濱口に加え、大卒ルーキーの坂本裕哉(23)が1年目から活躍すれば面白い。高卒3年目で日大三高時代には当時早稲田実業高で現日本ハムの清宮幸太郎との豊富な対戦経験がある櫻井周斗(21)も、ラミレス監督に先発候補として期待されている左腕である。
 他にも、昨年大卒ルーキーながらローテーションを守って7勝(6敗)の上茶谷大河(24)、社会人出身で昨年15試合で防御率5.00ながら6勝(5敗)の2年目大貫晋一(26)、昨年5勝(6敗)の巨人出身サイドハンド平良拳太郎(25)、等々、今名前を挙げた右腕や、その他にも若手右腕が先発ローテ入りを目指している状況である。左腕先発が充実している為、右腕が充実すると優勝にぐっと近付く。

 救援陣は右腕クローザーの山崎康晃(28)が昨季61試合3勝(2敗)30S4H、防御率1.95で2年連続2度目のセーブ王と盤石。ホームでの防御率が良化し、安定感が増した。プレミア19でもクローザーとして世界一に貢献しており、名は全国に轟いている。昨年74試合5勝(4敗)33H、防御率2.51でセットアッパーに定着した4年目の外国人左腕E.エスコバー(28)も年々凄みを増している。CSでは打たれてしまったが、信頼は変わらない。

 ただ、その他の救援陣は、実績はあるが昨年安定感に欠けたケースが多く、苦しんだ。チーム防御率がリーグ5位とパッとしないのもその為で、先発防御率が4.04でリーグ5位ではあるが、救援防御率も3.80でリーグ5位なのである。チーム奪三振はリーグトップの為、改善の余地がある。
 右腕では昨季71試合に登板しながらも防御率4.33と安定感を欠いた三嶋一輝(30)、42試合で防御率5.15だった外国人S.パットン(32)の復活が最大の鍵だ。53試合で防御率4.80ながら69.1回で81奪三振と、ようやく頭角を現した国吉佑樹(29)もいる。そこにもう後がないかつてのセットアッパーサイドハンド三上朋也(31)が復活すれば怖いものはない。昨季32試合で防御率1.86と復調したベテランサイドハンド藤岡好明(35)も必要なピースだ。そこにルーキーの伊勢大夢(22)が加わると面白くなってくる。
 左腕はエスコバー以外の救援陣は石田と櫻井以外昨年はいなかったと言って良い。しかも今季は二人共先発入りを目指している。昨季16試合で防御率5.11だった砂田毅樹(25)の復調が待たれる。二軍では28試合で防御率0.93だっただけに、まだまだやれるはずだ。昨年途中に楽天からトレード移籍した濱矢廣大(27)は今季が勝負。エスコバーの負担を減らせるか。


•野手陣の入れ替わり


 主砲で主将だった筒香嘉智がポスティング制度を行使し、メジャーリーグ、タンパベイ•レイズに移籍。その他、中川大志、西森将司ら育成一人含む6選手が退団している。投手同様、戦力整理が盛んに行われている。
 そんな中、新外国人選手としてT.オースティンを獲得。メジャー4年間で209試合で打率.216ながら33本塁打を放っており、内野手登録だが外野も守れる為、ポスト筒香として左翼での起用が想定されている。確実性が課題だが、オープン戦が好調だっただけに、現在はどうなっているか。そして、2018年途中トレードでオリックスに移籍しながらも何故か昨オフで戦力外通告を受けていた高城俊人捕手が復帰。伊藤光、嶺井博希、戸柱恭孝といった実績ある3捕手の負担を減らす働きが期待出来る。
 また、ドラフトでは1位で高校No.1遊撃手の森敬斗(桐蔭学園高)を単独指名。高卒ながら総合力の高さが売りで、一年目から勝負出来る。6位の蛯名達夫外野手(青森大)はラミレス監督から期待されていたが骨折で離脱中。早期復帰が待たれる。4位の東妻純平捕手(智弁和歌山高)、5位の田部隼人内野手(開星高)は将来性に期待。


•得点力をどう上げるか


 チーム打率.246はリーグ5位、本塁打数163はリーグ3位、得点596はリーグ3位。ここから筒香が抜ける為、得点力は下がる可能性が高い。ただ、盗塁数40は5位ヤクルトの62と比べて22個も少ないリーグワーストの数字。確かに重量打線が魅力だが、リードオフマンが固定出来ていないこと、足の速い選手が少ないことが明らかである。その上、犠打81もリーグワースト。もう少し下位打線に繋ぎの意識が欲しいところだ。そして、失策数63はリーグ2位と一見守備力が高いように見えるが、N.ソト、筒香、石川雄洋といった見えないエラーをする選手が多い為、実際の守備力はそうでもないのである。

 個人別の成績では、N.ソト(31)の141試合43本塁打108打点が光る。打率が前年の.310から.269に落ちているのが気になるが、2年連続本塁打王と、初の打点王を獲得している為文句の付けようがない。ただ、在籍2年で8失策→6失策と守備が上手いとは言えない為、起用法を考える必要がある。
 また、日本球界8年目、DeNA6年目になるJ.ロペス(37)は昨年142試合で31本塁打84打点だが、打率が.241。ベテランになってきていて、世代交代が迫っている。長打力は健在だが、4番や5番が中心ながら得点圏打率が.266と低く、107三振、18併殺打は自己ワーストの数字で出塁率も3割を切っていることを考えると厳しいものがある。怪我で114試合しか出場出来なかった正三塁手宮崎敏郎(32)も、今季活躍出来なければ厳しい立場になってきそうだ。

 ただ、センター争いが神里和毅(26)、梶谷隆幸(32)、桑原将志(27)というハイレベルな争いになっていること、柴田竜拓(27)、大和(33)で二遊間を組めば鉄壁であること、新主将の佐野恵太(26)の勝負強さが増していることなど、好材料も多い。右の次代の主砲候補、伊藤裕季也(24)、細川成也(22)の長打力開花にも期待したいところだ。


•今季期待の若手選手


投手:伊勢大夢(22)
 サイドハンドに近いスリークォーターから最速151km/hの速球を投げるリリーフタイプ。三上朋也が一年目からクローザーで活躍したように、救援では即戦力だと思っている。
 最近のDeNAは大卒、社会人の投手を一年目から積極登用する傾向が見える為、伊勢のような使い勝手の良いタイプは重宝されそう。連投による故障にはくれぐれも注意。

野手:伊藤裕季也(24)
 昨年二軍で91試合で14本塁打、一軍でも21試合で4本塁打というロマン溢れる主砲候補。守備面でも一、三塁手が中心ながら実は二塁手も守れるマルチな性能。元々確実性はある為、まずは二塁打の数を増やして打点を稼ぐ意識を持ちたいところ。4番を張れる才能は十二部にある。中村紀洋のようになってくれれば最高だ。

•優勝への条件


 右腕エースの確立、救援防御率の良化、絶対的リードオフマンの誕生。この3つだろう。現状、右腕エースに一番近いのは上茶谷であると思っている為、2年目のジンクスに陥らないことを祈る。また、救援防御率良化の為にはまずはエスコバー、三嶋、山崎の負担を減らすことにかかっている。三上、砂田、パットンがどれだけ復調するか。そして、リードオフマンは神里。現状センター争いで遅れを取っているが、走塁能力の高さは魅力。打の梶谷、守の桑原、走の神里。果たしてどうなるか?


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