★今日の問題★

 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。ただし、その審判により補助人に代理権を付与する行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら? 」
建太郎「これは条文を覚えているかどうかだけの問題だよな」
胡桃「そうよ。次の条文を覚えていれば分かるわね」

民法
(補助人に代理権を付与する旨の審判)
第八百七十六条の九 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。

(保佐人に代理権を付与する旨の審判)
第八百七十六条の四 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 家庭裁判所は、第一項に規定する者の請求によって、同項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。

胡桃「じゃあ、設問は正しいのかしら? 」
建太郎「正しいな」
胡桃「ブー。間違いよ」
建太郎「えっ。何で? 」
胡桃「設問には、ただし、その審判により補助人に代理権を付与する行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。とあるわね。この規定、今見た条文のどこに規定されているの? 」
建太郎「……。どこにもない? 」
胡桃「勘違いしやすいところね。ちなみに、第十三条第一項に規定する行為の一部とは何のことか分かるわね」
建太郎「もちろん、保佐人の同意を要する行為のことだろ」

民法
(保佐人の同意を要する行為等)抜粋
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。

胡桃「そうね。何度も出てくるから、もう覚えたわね。そして、押さえたいことは、代理権を付与する行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限られているわけではない。ということね」
建太郎「そうだったのか」
胡桃「これは、保佐人の場合も同じよ。保佐人に代理権を付与する旨の審判について記した民法第八百七十六条の四にも、代理権を付与する行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限られるとは書かれていないわよ」
建太郎「そうなんだな。代理権を付与する旨の審判をすることができる。とあるだけで、その対象となる行為については限定されていないと」

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

https://new.novelzidai.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?