★今日の問題★

 家庭裁判所は、民法第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら? 」
建太郎「これは条文を覚えているかどうかだけの問題だよな」
胡桃「そうよ。次の条文を覚えていれば分かるわね」

民法
(補助人の同意を要する旨の審判等)
第十七条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

建太郎「民法第十七条1項そのままの出題だな」
胡桃「ちなみに、第十三条第一項に規定する行為の一部って何のことか分かるかしら? 」
建太郎「つまり、保佐人の同意を要する行為のことだよな。その一部についてのみ、補助人の同意を要する行為として設定することができると」

民法
(保佐人の同意を要する行為等)抜粋
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。

胡桃「そのとおりよ。ちなみに、民法第十七条の条文でもう一つチェックしたいことがあるわ。補助人の同意を要する旨の審判は、オプションだということね。つまり、補助人の同意を要する旨の審判をしない場合もありうるということよ」
建太郎「あっ。そうだな。補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることが『できる。』となっているんだな」
胡桃「補助人の同意を得なければならない旨の審判をしない場合は、どうなるかしら? 」
建太郎「その場合は、代理権だけ付与するという形になるんだっけ? 」
胡桃「根拠条文はどれかしら? 」
建太郎「次の規定だな」

民法
(補助開始の審判)抜粋
第十五条
3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。

(補助人に代理権を付与する旨の審判)
第八百七十六条の九 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。

建太郎「つまり、補助開始の審判は、補助人の同意を要する旨の審判又は補助人に代理権を付与する旨の審判とともにしなければならない。とある。どちらか一方の権限のみを付与するという形でもよいと」
胡桃「そうね。『又は』となっているからよ。もちろん、両方付与することも可能とされているわ」
建太郎「うん。すると、補助人の権限は、どの審判を選んだかによって、異なるわけだな」
胡桃「そう。一人一人違うということになるわ」

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

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