★今日の問題★

 制限行為能力者であることを黙秘することは、民法第二十一条の詐術に当たるのか? 判例の考え方を述べよ。

胡桃「10秒で答えてね。よーいどん!」

建太郎「おう」

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒……

胡桃「10秒経過。どうかしら? 」
建太郎「一般的には、詐術に当たらないということだよな」
胡桃「そうね。判例の考え方を確認しておくわよ」

 思うに、民法第二十一条にいう「詐術ヲ用ヰタルトキ」とは、無能力者が能力者であることを誤信させるために、相手方に対し積極的術策を用いた場合にかぎるものではなく、無能力者が、ふつうに人を欺くに足りる言動を用いて相手方の誤信を誘起し、または誤信を強めた場合をも包含すると解すべきである。
 したがつて、無能力者であることを黙秘していた場合でも、それが、無能力者の他の言動などと相俟つて、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、なお詐術に当たるというべきであるが、単に無能力者であることを黙秘していたことの一事をもつて、右にいう詐術に当たるとするのは相当ではない。(最判昭和44年2月13日)

民法
(制限行為能力者の詐術)
第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

胡桃「この判例で注意したいことは、黙秘することが、全く詐術に当たらないと言っているわけではないということね」
建太郎「うん。黙秘するだけで詐術に当たる場合もあるんだな」
胡桃「どういう場合か読み取れるわね」
建太郎「ええっと。黙秘していた場合でも、それが、無能力者の他の言動などと相俟つて、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときだな」
胡桃「そうね」

※問題は、ノベル時代社の肢別100問ドリルを利用しています。下記サイトから入手できます。

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